第2章:光羽の魔導姫、ギルドでの挑戦
ギルドの門をくぐった瞬間、ルミナは冒険者たちの熱気と緊張感に包まれた。
声高に笑う者、装備を確認する者、訓練場で剣を振る者――どの姿も生き生きとしていて、ルミナの胸は期待と緊張で高鳴る。
「……まずは、魔道具の実力を見せなくては」
銀色の髪を揺らしながら、ルミナは手に握った風魔法用小型装置を準備する。これからの冒険に向け、最高の実験相手を探していた。
そのとき、広間の中央に立つ一人の男性に目が止まった。
先程広場で、若い冒険者を指導していた人だ。
背が高く、筋骨隆々の体つき。鋭い眼光と落ち着いた雰囲気を兼ね備え、まさにギルドを運営しながら戦う冒険者として理想的な人物――辺境伯次男、カイル・アッシュフィールドだった。
「ふふ、あの方なら、私の魔道具の実験には最適ですわ」
心の中で密かに頷く。筋肉質で美丈夫な体つきに、研究者としての好奇心だけでなく、胸がざわつく感覚も混ざった。
ルミナは一歩前に出て、敬語で声をかける。
「アッシュフィールド様……よろしければ、私の魔道具の試作をご覧いただけませんでしょうか」
カイルは突然声をかけてきた冒険者には見えない令嬢を、眉をひそめて観察する。
「……君、魔道具を使うのか。戦闘でも役に立つのか?」
冷静だが、興味を示す声。ルミナは小さく微笑んだ。
「はい、魔法と組み合わせれば、私一人でも十分に戦えますの」
そして、ルミナは風魔法を起動し、小型装置を空中に浮かべる。装置は軽やかに宙を舞い、複雑な軌道を描きながら正確に動作した。
カイルはしばらく黙って装置を見つめる。
「……なかなかの精度だな」
口元にかすかに感心の色が浮かぶ。だが、好意を示すわけではない。ルミナはその冷静な評価を受け入れ、微笑みを返す。
「ありがとうございます、アッシュフィールド様。まだ改良の余地がありますので、ぜひ試していただきたいのです」
互いに目を合わせる瞬間、ギルド内の雑踏が遠くなるように感じられた。ここで、彼女の冒険者としての道が、確かに始まったのだ。




