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光羽の魔導姫〜婚約破棄から始まる冒険と恋〜   作者: 夜宵


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第11章:一年後の約束——光羽の魔導姫と辺境伯家

辺境伯家・アッシュフィールド領。

一年という時は、静かに、しかし確実に二人の距離を近づけていた。


ルミナ・ベルフォートは、領内ギルドの宿舎に居を構え、日々魔道具の改良や研究に没頭していた。

魔力擾乱事件後の後始末も終え、ギルド内での信頼も厚く、彼女の名は「光羽の魔導姫」としてますます広まっていた。

事件のとき、自分の作った魔道具を偽物で陥れようとしたレオン・ド・ラフォールの浅はかさを知り、毅然と対処した経験は、ルミナにとって大きな自信となった。


カイルは次期辺境伯の兄・セドリックを補佐しながら、領内ギルドの運営に追われる日々。忙しくも充実しており、ルミナとの生活のリズムも自然と整っていた。



---


ある夕暮れ、宿舎の書斎で二人は静かな時間を過ごす。

窓の外では森を渡る風が木々を揺らし、夕陽が長い影を室内に落とす。


「……一年、本当にいろいろあったな」

カイルは微笑み、ルミナの手を軽く握る。

その手には、魔力擾乱事件後の苦労や、ギルドでの成功を経てもなお変わらぬ温かさがあった。


ルミナは頷き、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じる。

「はい……あの事件で、私の魔道具や名前を汚そうとする人もいました。でも、こうして守ってくれる人がいる」

視線を上げてカイルを見つめる。

「カイル様……ずっとそばにいてくれてありがとうございます」


カイルは柔らかく微笑み、ルミナを膝に引き寄せる。

膝の上にルミナが座り、二人は体を寄せる。

「君を守るのは当然だ。これからも、ずっとそばにいる」

ルミナはその言葉に顔を赤らめつつも、自然と笑みを返す。


カイルはそっと彼女の頬に触れ、甘くも誓いめいたキスを落とす。

ルミナは小さく息をつき、目を細める。

「……私、これからもあなたと一緒に歩いていきます」

「その通りだ。君はもう、誰にも傷つけさせない」

二人の心に刻まれる誓いは、言葉以上に確かで、静かな夜に溶けていった。



---


翌日、アッシュフィールド家では結婚式の準備が進められていた。

館内にはロイランの元気な声が響き、マリアナ夫人の笑顔、エレーヌの穏やかな気配が二人を優しく包む。

ルミナは魔道具や式の演出について熱心に意見を出し、計画をたてる。


「君の発想力は、いつ見ても本当に天才的だ」

セドリックが魔道具の説明に熱心に耳を傾け、ルミナの工夫や成果を称える。

エレーヌも「まさに光羽の魔導姫ね」と優しく微笑む。家族の温かさが、ルミナの心にじんわりと染み渡った。


「ルミナお姉ちゃん、カイルおじちゃんと遊ぶ!」

元気いっぱいのロイランに、ルミナもカイルも微笑む。

一年の間に築いた絆と信頼が、館の中でさらに温かく広がる。


ルミナは結婚式の準備のため、ドレスや装飾の打ち合わせを進めながらも、心の奥で一年間の出来事を振り返っていた。

あの魔力擾乱事件、レオンの浅はかな陰謀、ギルドでの認められた日々――すべてが二人の間に揺るぎない絆を作り上げていた。


「……結婚式、楽しみですね」

「もちろんだ。君と、皆の前で誓いを立てる日を待ち望んでいた」

カイルの言葉に、ルミナは自然と笑みを浮かべる。


夕方、二人は館の庭に出て、少しだけ静かな時間を過ごす。

柔らかい風が吹き、星が空に輝き始める。

ルミナは手を握るカイルに顔を寄せ、彼の頬にそっとキスを落とす。

「……一年間、本当にありがとうございます」

「いや、こちらこそ。君と過ごせた一年が、俺の宝だ」


心を通わせた時間は、この一年で無数に積み重なっていた。

互いの胸の内に、事件を乗り越えた自信と、未来を共に歩む覚悟が静かに宿る。


夜、部屋に戻ると、ルミナはカイルと向かい合い、再び手を取り合う。

「……明日はいよいよ結婚式ですね」

「そうだな。これからは、二人で築く日々の本番だ」


頬にキスを交わし、穏やかな笑顔で互いを見つめ合う。

アッシュフィールド家の温かい家族と、ギルドでの信頼、そして互いの愛――すべてが二人を包み込み、甘く、静かで幸せな夜がゆっくりと更けていった。


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