表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光羽の魔導姫〜婚約破棄から始まる冒険と恋〜   作者: 夜宵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/16

第8章:星落つ森で、気づいた想い——命より大事な君へ

ギルドから受けた依頼は、王都近くの「星落つ森」周辺の魔物討伐。

普段は大人しい魔獣《蒼牙狼そうがろう》が最近集団化し、冒険者を襲うようになっていた。


ルミナとカイル、そして数名の熟練冒険者で現地へ向かったが――

到着してすぐ、異様な気配を感じた。


「……魔力の流れ、乱れすぎてます」

「わかるか?」

「はい。まるで……誰かが意図的に刺激したような」

カイルは眉を寄せ、ルミナを自分の後ろへ庇った。

その瞬間――森の奥から、低い唸り声が響く。


蒼牙狼の群れだ。しかも、普通の個体より魔力が濃い。


「……強化されてる?」

「くそっ、誰がこんな……!」


冒険者たちが応戦し始め、戦場は一気に乱戦となる。

ルミナは魔道具で援護し、光の障壁を次々展開する。


しかし――。


「……っ!?」

地面が揺れ、巨大な影が飛び出した。


蒼牙狼のリーダー個体《蒼牙王そうがおう》だ。

通常より一回り大きく、魔力は桁違い。


「危ないッ!!」

カイルが叫んだ瞬間、蒼牙王は一直線にルミナへ突進した。


彼女は反射的に光壁を展開したが、

バキィィン!!

と音を立てて砕かれる。


「……っ!」


振り下ろされる巨大な爪。


間に合わない――そう思った瞬間。


「ルミナ!!!」


カイルが飛び込んできて、彼女を抱き寄せた。

次の瞬間、カイルの背で血が弾けた。


「カイル様……!!」

「大丈夫だ……浅い」

そう言いながらも、その表情は苦痛に歪んでいる。


蒼牙王が再び距離を詰める。

しかし今度はルミナも黙っていない。


「……私の仲間に、手をださないでッ!!」


彼女は腰のホルダーから、まだ試作中の光刃魔道具を取り出し、魔力を注ぎ込む。


――ギィィン……!


光の刃が伸び、蒼牙王の攻撃を弾く。

同時に、カイルが剣を握り直し二人で並び立つ。


「ルミナ、俺の動きに合わせろ」

「はい!」


ルミナの光刃が蒼牙王の注意を引き、

カイルが鋭い踏み込みで懐へ入り――

「はあああッ!!」

その首元へ剣を叩き込む。


蒼牙王は地面を揺らしながら倒れた。


戦闘が終わり、森に静寂が戻る。


しかしルミナは膝をつき、震える声で言った。

「……カイル様、背中……血が……」

「ルミナが無事なら、それでいい」


そう笑った瞬間、ルミナの目から涙がこぼれ落ちた。


「嫌です……そんなの……っ。

私……カイル様を失いたくない……」


普段強気な彼女が、涙を浮かべて必死に訴える姿に、

カイルの胸の奥が強く締め付けられる。


「……ルミナ」

カイルはそっと彼女の頬に触れ、涙を拭った。


「俺もだ。

君が襲われそうになるのを見て……心臓が止まるかと思った。

もう二度と、危険に晒したくない」


ルミナは涙をこぼしながら彼を見上げる。


「……じゃあ、ずっと一緒にいてくれますか?」

その言葉に、カイルの瞳が熱を帯びる。


「君が嫌と言わないなら、

これから先の人生、すべてを共に歩んでほしい」


カイルは胸元から小さな箱を取り出した。

中には、数日前にひそかに選んでいた婚約指輪。緑色に輝く魔晶石がはめ込まれていて、ルミナの瞳と同じ色をしていた。普通の宝石ではなく、魔法を込められる特別な石。光を受けると微かに魔力が揺らめき、指輪自体が生きているかのように光を放つ。


「ルミナ。

俺と——正式に婚約してほしい」


カイルの声は低く、真剣だった。森の静寂の中、確かに、しかし柔らかく響く。


ルミナの手が自然と胸に当たる。緊張で心臓が跳ねる。涙で視界が滲む中、小さく笑ってこくりと頷いた。


「……はい。

私も……カイル様の隣にいたいです」


カイルは慎重に、しかし確かな手つきで彼女の左手に指輪をはめた。

魔晶石が指先で微かに光り、ルミナの魔力と呼応する。まるで二人の絆を確かめるように、柔らかな緑の光が森に揺れる。


指輪がはまった瞬間、カイルはそっと額に口づけた。

初々しくも、迷わない強い決意を帯びたキス。森の風が二人を包み、指輪の魔力が微かに振動する。


「ありがとう、ルミナ」


「こちらこそ……一緒に、歩ませてください」


緑の魔晶石は、二人の絆の象徴として、星降る森の中で静かに光を揺らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ