プロローグ:婚約破棄とルミナ覚醒
伯爵令嬢ルミナ・ベルフォート――その名を聞けば、誰もが気品と優雅さを思い浮かべる。しかし、今日、その名は屈辱の渦に飲み込まれることになった。
元婚約者、レオン・ド・ラフォール――侯爵家の嫡男で、ルミナの許婚であった男が、冷笑を浮かべながら婚約破棄を告げたのだ。
「もう、君との婚約は解消だ。君は口うるさくて耐えられないし、魔道具に夢中で…令嬢としてありえない。他に、もっと品行方正で魅力的な女性がいる」
レオンの声は冷たく、広間の空気は凍りついた。社交界の誰もが驚きと興味で見守る中、ルミナの胸には怒りと羞恥、そして一瞬の孤独が渦巻く。
銀色の髪を揺らし、ルミナは一歩下がる。だが、瞳には揺るがぬ決意の光が宿っていた。緑色の瞳が、燃えるように輝く。
「……私は、私の道を進みますわ」
肩を正し、深く息を吸い込む。たとえ婚約を失い、周囲からの冷笑が降り注ごうとも、ルミナは自らの力で未来を切り開く。
手には愛用の魔道具の設計図が握られている。幼い頃から夢見てきた発明と研究――それこそが、これからの人生を照らす光になる。
屈辱を跳ね返すために、ルミナの心の奥で静かに炎が燃え始めた。
「私の冒険は、ここから始まりますの」




