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お姉様の力

私の可愛い姉の門出の前日である

今日このこの頃

なんとか手紙を完成1歩手前までは持ち込むことができた。

2歳児を演じて手紙を書くと言うのは相当難しかった。

程よく字を歪ませ、2歳児らしさを出すというは

非常にセンスが問われる。

尚且つ1発勝負だ。

僅かな監視がつかない時間をつき父の部屋に潜入しているとなると尚更だ。


まぁそんなこんなで今手元にその手紙があるわけだが普通は洋封筒にでも入れて蝋で蓋をする手順を踏むべきなのだろうが今はその設備も材料もない。


だがその解決の目星はもうついている。

それは父が私への土産として

持ってきたあるアクセサリーだ。

察しのいい人ならわかると思うが

そうロケットペンダントだ。

それを1目見た時から

その青ベースの宝石が埋め込まれたデザインは

ピクシスのロングの銀髪と父親譲りの山吹色の眼球

貴族の娘ゆえの美白その全てに調和するような逸品に一目惚れし現在の状況においてもまさしく神の一手だと言えるものだ。


だがそれを使う上で1つ大きな問題がある。

それは場所だ。

父が私への土産として持ってきたのはよかったが

2歳児に与えるにはまだ早いとしてスポンジ性の

物質とともに額縁に入れられ手の届きようがない部屋の壁の家族の絵の横に部屋の彩りとして他の宝石と共に取り入れられてしまっている。

だがこの2週間、別に何も考えていなかった訳ではない

作戦はある。

その作戦には、この屋敷随一のポンコツメイドこと

「くみちゃん」

を使う。


くみちゃんが私の部屋にくるのは、10〜12時の昼飯までの遊び時間だ。

最年少ということもあり彼女に一任されている。

まぁあとは見てもらった方が早いだろう。


三度ほどのノックの乾いた音が響き部屋に彼女が入ってくる。

「ペティリア様、ご遊戯の時間ですよ〜」

「わぁくみちゃんだぁ」

「ペティリア様は今日もお可愛いですね」

「くみちゃんは今日もぼんこつぅ?」

「もぅペティリア様までひどいですぅ」

「私これでもお屋敷長いんですよ〜」

そう、なんでもくみちゃんは私が生まれる3年前に7歳の頃に両親を失って路頭にまよっていた所を領地の視察にきていた父に拾われたらしい。

一時期は年が近いということで学院への付き添い

メイドとして名が上がっていたがポンコツすぎて

姉様直々に却下されたらしい…

「くみちゃん、今日はあれで遊びたい」

「これですか?素敵な宝石たちですね!」

そう言って壁から取り外した額縁を床におき開き

こちらに差し出してきた。

「くみちゃん、この宝石なぁに?」

「それは、まほうせ…」

彼女の言葉を遮るかのように扉が叩かれた。

「ペティリア様、くみを少々お借りしてもよろしいでしょうか」

「え〜まぁいいよ」

「すいません一時外します」

そう言って、手短に額縁を閉じて壁にかけ直し

部屋を出て行くのを横目に私の手にはガッツリと

ペンダントが握られていた。

「作戦通り」

そう、くみちゃんはポンコツ故にミスが多く

このように私との遊び中でも、メイド長直々に

お説教されることが多い…いや毎日だ。

本当は由々しき事態だが

今にいたってはこれは二度とはない好機

ポンコツ故に注意力も散漫だ

ペンダント一つさりげなく取るのは造作もない

私はただその額縁さえ目の前に置いてくれれば

あとは待つだけでいいのだ。

だがここで非常事態だ。

隠す場所がない。

今の私の格好はペニッチュそしてその下に

ペチコート

前世ならば迷わずパンツにでも入れていたが

この時代の子供の内は下着をほぼ履かない

部屋のどこかに隠すと行っても

この部屋には、ベットとクローゼットそしておもちゃ箱くらいしかない…

ん?いやベットでいいではないか

私としたことがいつもの隠し場所がないだけでこれほどまでに取り乱すとは

まだまだだな

そんなこんなしていると

くみちゃんがノックもせずに帰ってきたかと思うと

これはなんとも興味深い

物流的に絞られたと思うくらい

しわしわに疲弊したくみちゃんがそこにはいた。

何をされたか想像もしたくもない…

「くみちゃん、だいじょーぶ?」

その1言で我に返ったくみちゃんが

一瞬にしてつやっつやに戻った…

「(なにそれこわい…)」

「ペティリア様どうかいたしました?」

「べちゅに?」

「あ〜ぁそういえば宝石でしたね」

「それはもういいや」

「はぁそうですか」

危ない危ないペンダントが無くなってていることに

気づかれると努力が水の泡だ。もう時間もないんだ

勘弁してくれ


まぁそんなこんなで

その場は乗り切り

前日のためドタバタしている家族とは別で

各自で昼食を食べ一眠りし夜ご飯のだいぶ前に起き

監視の目が届かない内にピクシスの部屋へ

赴いた。

扉をノックしても反応がない

「お姉さまぁ?」

扉を開け、中を除くとすっかり私物が片付いた

真っ暗な静かな部屋でポツンと何かで明るくなっている勉強机で黙々と何かの本を読みふける

6歳とは思えないほど可憐な少女がいた。

外から入る光に違和感を覚えたのか

こちらに気づいたようだ。

「あっペティどうしたの?

ペティが来るなんて珍しいですね」

「こっちにおいで」

言われるがまま彼女のお膝に座る。

「おねえ…」

「ペティこれを見て」

言葉を遮るように彼女の持っていた本の1ページが

目の前に現れる。

どうやら上級水魔法のページのようだ。

「これはお母様が嫁入りする前に使った

お父様を射とめた魔法なんだって。」

「私、思うの魔法は、領民を私達家族を繋ぎ止めて

くれるって。だから私は魔法を学びたい、次期領主としてこの平和な街を守る力がほしいの」

「あぁごめんペティにはまだ難しかったね。

何か言いかけてたけどごめん遮っちゃったね」

「うんん、姉様すごいすてきだね

  あっ、これあげたくて」

「これはペンダントかしら?

  なにか入れてくれたの?」

「おてがみ、いれたから

   馬車でよんで」

「ないしょだよぉ」

「わかったわ、これは秘密ね!」

そう言って微笑む彼女の笑顔にメッセージにこめた

意味すら霞んでしまうほどの暖かい安心感を感じた。



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