片翼
片翼でも飛べない私が悪いのだ
羽を毟り取って散らした君に
驚く程に怒りは無い
片翼と引き換えにでも
有り余るものを教わった
翼があるものは飛び立って行く
毟られる度の痛みに見る表情は
無垢なままに欲していて
奪われていながらに嬉しかった
片翼でも飛べない私が悪いのだ
翼が残っているのに飛び立てない私に
私は苛立っているだけで
羽はまた生えてくる
翼はまた両翼になる
私は飛べることを知っている
君を乗せて飛びたいけれど
それはしないよだって
大空を舞う自由という孤独
その凍土の痛みに晒したくはない
そうして散り散りにした片翼に
埋もれて居てくれ