9.不思議な音
一学期の中間テストは五月の中旬。それまで大体二週間とちょっとあって、赤羽先輩に勉強を教えれるのはたぶん四回。
一回目は傷付きながらも今さっき終わり、私は上履きから靴に履き替えて後三回の事を考える。
自分の勉強と赤羽先輩の数学をしないといけない。幸い簡単だから、全然辛くもなんともないけど、問題は教える時で……
「はぁ……」
赤羽先輩と仲良くなりたい。ため息を吐きながら、一言心の中で言葉を溢す。だけどそもそも、赤羽先輩が私と仲良くなりたいと思っていなければきっと叶わないわけで。
私は仲良くなってる未来が全く想像出来なくて、なんだかがっかりして、とぼとぼと学校前のバス停へ。
そんな中、今まで気にも留めてなかった事に気が付く。どうしてこんなにも、赤羽先輩にこだわりを持っているんだろうかと。
そんな疑問を感じた時、私の心の中で不思議な音がした。
◆
赤羽先輩に初めて勉強を教えてから、三日が経った。
今日は私の説明をちゃんと聞いてくれるだろうか?文句を言われないだろうか?そんな事をぐるぐると寝る前に考えてしまい、私は久しぶりに眠いなと思いながらも授業を受けて、帰りのホームルームが終わる。
そして、いつもより更に重い足取りで教室を出て図書室へ歩き出す。
「石松さん、今日も赤羽ちゃんをよろしくね」
「はい」
「ふふっ、ありがとう」
図書室に着き、桜井先生と軽く話してカウンターに座り、数学の問題冊子を眺める。
今日は前回より難しいなとそう思いながら頭の中で軽く問題を解いていると、扉が開き赤羽先輩が私を睨んで隣へ。
「赤羽ちゃん。それじゃ今日も勉強しましょうね」
「……チッ」
スマホを弄り始めるより先にかかった桜井先生の言葉に赤羽先輩は不機嫌そうに小さく舌打ちをしながらも、ささっと用意された問題冊子に視線を移す。
それを見て先生は笑うと、
「それじゃ、解いてみて。赤羽ちゃん、石松さん」
前回と同じ事を言われ、私も先輩も問題を解き始める。
二分程で私が先に解き終わり、先輩も遅れて解きシャーペンを手から離すと、桜井先生の丸付けが始まる。
「赤羽ちゃん。家で勉強したの?」
丸付けをしながら聞いた先生は無視をされたにも関わらず笑って、私と先輩の点数を教えてくれる。
「赤羽ちゃんは三十点。石松さんはまた百点よ。それじゃ石松さん、お願いね」
先輩の点数が上がっているのに驚きながらも、問題冊子が返され、私は先輩の近くに寄る。
すると何も言われず、チラッと見ると睨まれていて、舌打ちをされなかっただけましと思い私は先輩が間違えた問題の解説を一人していく。
公式を丁寧に書いて出来るだけ分かりやすい言葉で伝えて、反応はないけど前より少し慣れたのかやりやすくって、私は時々先輩を見ながら解説をしていった。
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