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4.憂鬱

 月曜日の放課後から曜日は変わり、木曜日。


 何かあるわけでもなく授業は全て終わり、私は少し重い足取りで図書室へと歩いて行く。階段を上り廊下を歩き、図書室の扉に手をかけて開けると、すでに中にいた桜井先生と目が合い、ニコッと微笑みを向けられる。


「ふふっ、来てくれたのね。赤羽ちゃんが取り敢えずは嫌われなかったみたいで、安心したわ。もう少ししたら来ると思うから、仲良くね」


「はい、頑張ります」


「力を抜いて、石松さん。あなたなら、きっと大丈夫よ。それじゃ、私はこれで。バイバーイ」


 手を振られたので小さく手を振り返して、図書室を出て行った桜井先生を見送る。


 そして、静かな図書室を見渡し前はカウンターにいたとき暇だったので、本でも読めば暇を潰せるだろうと思って、近い本棚から一冊気になった本を手に取り、カウンターへと座る。


 しばらくすると、勢い良く扉が開いて赤羽先輩が入って来て、私を睨んだ後隣へと座る。


「なんでいるんだよ」


「えっ、えっーと……」


 低い声で呟かれた声に私はびびって体を縮こませていると、もう一回睨まれてそれっきり何も言われなくなる。


 私は制服のスカートをぎゅっと掴んで視線を彷徨わせながらも、どうしてか答えないとと思い少し時間は空いたけどチラッと赤羽先輩を見て答える。


「……仕事、だからです」


 私の返事に赤羽先輩は無反応で、スマホをずっと弄っている。


 昔も他の人相手に時々こういう事があったので、私は視線を下に落としてしょうがないと心に言い聞かせ、そのまま先程取った本を開く。


 そうして二回目の放課後の時間が始まり、スマホを指で弾く音と本のページを捲る二つの音だけが図書室に響き、時間は重くゆっくりと過ぎていく。


 一ページ、また一ページと本を捲り、どれぐらい経っただろうか。扉が控えめに開き、視線を上げると私と同じ制服を着た女子二人と目が合い固まった後、ぎこちなく赤羽先輩に視線が一瞬移る。


 でもすぐに視線は私に戻り、そそくさと私の方にやって来て、本を差し出される。


「本の返却を、お願いします」


「分かりました。ちょっと、待ってくださいね」


 貸出表から渡された本の題名を見つけて、返された事を記録しすぐに顔を上げる。


「ありがとうございました」


 私のお礼の言葉に仲の良さそうな二人は軽く頭を下げて、足早に図書室を出て行く。


 私はそれを見送って、再び本に視線を落とす。それからは、誰一人として図書室には来ず放課後は終わりを告げる。


「おい、出ろ」


「はい」


 音楽が響く中、図書室の扉を指差した赤羽先輩に私は返事をし、読み終わった本を本棚に戻し私は図書室を出る。


 気まずくて重い時間から解放されて、どこか心が落ち着くと同時、この先もずっとこれなら憂鬱だなと思いながら赤羽先輩が扉の鍵を閉める姿を見て、私は歩き出す。


「待て」


 するとゾクッとする一言が後ろからかかり、振り向くとすでに真後ろにいた赤羽先輩にぐいっと胸ぐらを掴まれて、顔がくっ付きそうな距離で命令された。


「お前、もう来るな。分かったな?」

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