2.唐突
「赤羽ちゃん、やめなさい。石松さん、ごめんなさいね」
「い、いえ」
優しそうな先生が怖い先輩に声をかけると、視線が私からすぐにさっと離れて気に食わなそうな顔をしながらスマホに視線を戻す。
それを見て私は安心しながらも、こんなに怖い女の人もいるんだなと少し見つめていると、優しそうな先生が軽く自己紹介を始める。
「私は桜井美子。図書委員会の顧問をやってるわ。よろしくね。そしてこっちが図書委員長の赤羽亜月ちゃん。こう見えても案外優しいから、嫌いにならないであげて」
「は、はい」
桜井先生の言葉に赤羽先輩は一瞬先生を睨むけれど、それ以上の事はせず図書委員長が赤羽先輩なら、もしかして図書委員って荒れているのかと心配していると、まるでそれを見透かされたように桜井先生は続けて言ってくる。
「荒れてるのは図書委員長だけだから。安心してね、石松さん」
「そうなんですか……なら、良かったです」
桜井先生の言葉を信じて作り笑いを浮かべると、桜井先生もニコッとして、そのタイミングで永野先生が口を開く。
「石松さん。図書委員の事で何かあったら、気にせず相談すると良いわ。それじゃ桜井先生、後はよろしくお願いします」
「ええ。バイバイ、永野先生」
ふふっと可愛く笑って手を振る桜井先生に永野先生も手を振り返して図書室を出て行く。
その背中を見送り終えると、
「取り敢えず、図書委員の仕事について説明するわね」
桜井先生は赤羽先輩を放ったらかし、私に図書室を案内してくれながら図書委員の仕事についてと、図書委員会の説明をしてくれ、大体の事を理解した。
まず、図書委員はそれぞれ六組ある一年生、二年生、三年生から、各クラス一人決め十八人で活動している。
そして活動は二人一組になり、朝、昼休憩、放課後のどれかを三日に一回固定で担当し、その中で本の貸出と返却を記録する事と本の整理の仕事をするだけ。
意外とやる事が少なくて楽。これなら全然問題ないと説明を聞き終わると、いきなり桜井先生が手を合わしてお願いしてくる。
「それで石松さん。嫌じゃなかったら、赤羽ちゃんとペアになってくれないかしら?」
「えっ?」
思わず目を見開いて驚きの声をあげ、はっと思って図書室のカウンターに座っている赤羽先輩を見るけれど、どうやら声は聞こえていなかったらしく肩の力を抜きながら私は迷う。
「何かあったらすぐに言って。その場で叱るから。それに怖い事はされないはずだから、お願い」
桜井先生の必死のお願いに私は考えた末に折れ、渋々首を縦に振る。
「分かりました。良いですよ」
私の返事に桜井先生はニコッと笑うと、嬉しそうな声のトーンでいきなりな事を言われる。
「良かったわ。それなら、石松さんと赤羽ちゃんは放課後の担当をお願い。今日からね」
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