14.居場所
五月から六月になった。図書委員の仕事には完全に慣れ、赤羽先輩とも仲良くやれるようになって、高校生活は私にとって超が付くほど順調。
けれど一つ。嫌とまではいかないけど好きじゃない行事が今月あるらしく、クラスの中がいつも以上にガヤガヤしている。
「そろそろチャイムが鳴るわよ。席について」
担任である永野先生が教室に入って教卓に向かいながら、皆に声をかけ全員が席についたタイミングでチャイムが鳴り、週に一回毎週火曜日の最後の一時間にあるロングホームルームが始まる。
「今日は体育祭の競技について決めてもらうわ。この学校は何個か競技がある内、一つは必ず出ないといけないから、ちゃんと体育委員の説明を聞くのよ。分かったかしら?」
先生の言葉に何人かが軽い返事をして、体育委員が前に出てくる。
「それじゃ、取り敢えず今年の体育祭でやる競技を黒板に書きまーす」
クラスの中でも結構明るい方の女子が黒板につらつらと競技の名前を書き始め、皆わいわい喋りながら自分が出たい競技を楽しそうに決める。
二人三脚からパン食い競争やリレーに障害物競技。そこそこ競技の数はあって、私は一人でも大丈夫なすぐ終わる競技に絞って頭の中で決める。
「それじゃ、適当にやりたい競技の下に名前を書いてください。別に一個だけじゃなくてもニ個三個出来るので、いっぱいやりたいのがある人は好きにしてもらって良いですよー」
体育委員の言葉に皆立ち上がって、黒板に名前を書いていく。
クラスの中の明るい人達が前で固まって少しじゃれあい、席に戻り始めたタイミングで私も前へ。
そして、運が良い事にやる人がそんなにいない、障害物競争の下に自分の名前を書いて、そそくさと席に戻る。
それから、やる人が多く定員オーバーになったパン食い競争の人達が集められてじゃんけんが始まり、負けた何人かが外れる。
そうして特に揉めることなく全員の出る競技が決まると、次は今年の体育祭のスローガンの案を決めることに。
でもなんやかんや、体育委員が明るい人なだけあってクラスの明るい人達が中心になり意見を出し合いすぐに案が纏まった。
結局、私は一言も喋る事なくロングホームルームが終わり、体育祭だからと盛り上がっている人達を羨ましく思いながら、帰る準備を終わらす。
運動がもう少し得意だったなと心があまり浮き立っていないけど、不思議と図書室へ近付く度にそんな事どうでも良くなって、自然と少し口角が上がってしまう。
そんな私は体育祭をするよりも図書室にずっといたいなと、叶わない願いを抱きつついつもの様に一番乗りで図書室の扉を開けた。
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