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10.淡いブルー

 最初の一回以外はもう先輩に何かを言われるわけでもなく、何かをされるわけでもなく、結局先輩と仲良くなんてなれないまま、三日に一回の勉強会が終わり中間テストに突入した。


 高校最初のテストだからか簡単で、私は余った時間に赤羽先輩はちゃんと出来ているんだろうかと、ずっと先輩の事を考えて……やっぱり思う。


 ちょっとだけでも、仲良くなりたいと。


 ◆


 中間テストが終わって初めての図書室。どうやら桜井先生はおらず、私は一人本を手に取りいつもの様に座る。


 そうして、赤羽先輩の座る椅子を眺めて今日も来るかなと思わず思い、私は自分でもびっくりして、急いで本に視線を戻す。


 人の事なんて生まれてから今まで、あまり気になったことがないのに赤羽先輩だけはやっぱり気になって……


 余計な事が頭の中を支配して、中々本に集中出来ずにいつもの何倍も遅い速度で文字を追っていると、扉が開いて私は思わずそちらを向く。


 入って来たのは案の定赤羽先輩で、すぐに目が合い睨まれ、私は急いで視線を戻す。


 先輩はいつもの様に隣に座るとスマホを弄り出し、私は気になった事を聞いてみようと、本を読むふりをしてタイミングを見計らい、しばし静かな時間が流れた後、決心して口を開く。


「あのっ、先輩。テスト、どうでしたか?」


「あ?」


 私の言葉を聞いて低い声で一言返した先輩に、私は怯みどうすれば良いか分からず視線を落とす。


 先輩はやっぱり、私と仲良くしたくないのだろうか?


 どうやったら仲良く……


「……チッ。お前、何がしたいんだよ?」


 私が黙り続けていると赤羽先輩の舌打ちが聞こえて、私に話しかけてくる。


 それに私は驚きと嬉しさとが混ざって赤羽先輩の方を向いて、返事をする。


「わ、私は、先輩と仲良くなりたいですっ!」


「きもっ」


 本心を真剣に言うと先輩は不機嫌になって、嫌そうな顔で一言私に返してくる。


 その一言が私の心を抉り、我慢する暇もなくぶわっと涙と言葉が溢れ出る。


「……なんで?」


 泣き顔を先輩に見られるのが嫌でまた視線を下に落とし、スカートに涙を溢しながら私は手をぎゅっと握る。


「お、おい……」


 先輩の戸惑った声が聞こえるけど私は何も思わず、ただひたすらに泣く。


 悲しくって苦しくって、やっぱり私は誰とも仲良くなれないんだと。


「何泣いてんだよ」


 戸惑いが焦りに変わり、少し優しくなった先輩の声。そんな声に私は心の中で時々聞こえる誰にも言えない言葉が爆発して、口から溢れ歯止めが効かなくなる。


「どうして……どうして誰も私と仲良くしてくれないんですか?私……何かしたんですか?皆、酷いです」


 今まで新しいクラスになる度に見て見ぬふりをしてたけど、本当はずっと他人が怖いくせに誰か一人で良いから私に話しかけてくれて、仲良くなってくれるとそんな他力本願の願望と期待があった。


 でもやっぱり駄目で、仲良くなりたいなって初めて思った先輩に自分から話しかけてみたけど、結局きもがられて結果が変わらない。


 私は誰とも仲良くなんてなれない人間なんだと、もう全部どうでも良くなって涙が止まった時、気だるげに声がかかる。


「はぁ……分かったよ。仲良くすりゃ良いんだろ」


 私はその言葉にどうすれば良いのか分からず黙ったまま涙を拭いていると、続けて赤羽先輩が言う。


「ほら、連絡先。交換するぞ」


 何気ない一言だけど私はその言葉に一気に嬉しくなって、止まった涙がまた溢れ出し、ついでに笑みも溢れ顔を上げて謝罪とお礼を言った。


「色々とごめんなさい。でも、ありがとうございます。先輩」

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