1.不良少女
本作もよろしくお願いします。
毎日同じ時間に家を出て特別面白い事もなければ悪い事もなく、ただただ何もない学校での時間を過して帰る。
少学校、中学校共にひたすらそれの繰り返しで、きっと高校も同じだろうと思っていた。
でも、自分の成績に見合った学校はどれも遠くて、電車やバスを使っても一時間以上かかってしまう。
それが私は嫌で、少し高校のレベルを落として家からバスで二十分程と近く比較的校則も緩い『白鷺高校』という所へ進学した。
その結果がこれ。
「ケホッ……ケホッケホッ」
入学してから一週間。周りの皆は大体何個かの仲良しグループになり、毎年のようにあぶれた私は高校生活もまた一人かとどこか余裕ぶっていたところ、久しぶりに風邪を引いてしまい、家で寝込む羽目に。
これで高校もボッチが確定。今までと同じでここまでくればもう悲しいとか寂しいとか、そんな事は思わない。
むしろどこか安心している自分がいて、じんわりと汗をかいた熱くてだるい体で寝返りを打って、お母さんが置いてくれた冷たい枕の上で私は目を閉じ、口から溢れる乾いた笑みを浮かべながら、独り言を呟く。
「私……何に安心してるんだろう。ケホッ」
◆
結局木曜日、金曜日と学校を休んで、休日は元気に過ごし、もう気が付けば月曜日の朝。
私は学校に行く準備をして朝ご飯を食べ、遅刻にはならないギリギリの時間に家を出る。
「……いってきます」
親はもう二人共仕事で家を空けているので、返事が返ってくる訳もない。けどなんとなく今日は心の中でいつも思っている事を口に出し、私……石松麗羽は家を出てバス停へ。
そしてすぐに来たバスに乗り込み、揺られながらスマホを弄っていると、学校の目の前で止まり、バスから降りる。
その途端、私には程遠い皆のガヤガヤとした喧騒が耳に入り朝から楽しそうだなと思いつつ静かに教室へと歩く。
広くて綺麗な校舎の中、可愛い制服を着た人達とすれ違い、自分の教室の扉を開ける。
そして案の定誰にも挨拶をされる事なく、私は自分の席へと座る。
今日もいつも通りの一日が始まる。誰かに話しかけられる事もなく、話す事もない、退屈な一日が。
◆
先生の話を聞いてノートを書いて、休憩時間はスマホを弄る。気が付けば、いつもと同じ一日が終わり、そそくさと帰る準備を終わらせる。
「石松さん、少し良い?」
すると担任の先生である永野先生に声をかけられて、私は何かしただろうかと首を傾げながら、返事を返す。
「えっと……何ですか?」
「悪い事じゃないわ。少しだけ、話があるの」
「分かりました」
先生の言葉に頷いて後ろを付いて行くと、廊下の端っこの人が少ない場所まで連れられて、先生が立ち止まり私の方に向き直る。
「石松さんが休んでいる間に、係や委員会を決めたの。それで、やる人がいなくって石松さんが図書委員に一応決まったのだけど、嫌じゃないかしら?」
担任の先生は私の顔を見てほんの少しだけ言いずらそうな表情をしつつも、一通りの説明をして私に確認を取ってくる。
今まであまり学校を休んだ事はないのでこんな経験は初めてだけど、私は別に何か思う所もないので、迷う事なく首を縦に振る。
「はい、全然大丈夫ですよ」
「そう。ありがとう、助かるわ。それじゃ取り敢えず、図書室に案内するわね」
私の返事に先生は良かったとばかりに笑うと、また歩き私はそれに付いて行く。
「石松さん、何かあったらいつでも相談してね。それと体調は大丈夫かしら?」
「もう元気になりました。先生、ありがとうございます」
親以外に心配されて、ちょっと嬉しくって思わず笑って振り返った先生の顔に言葉を返すと、先生は目を見開いた後すぐに前へと向き直り、ほんの少し間を開けたあと、短く言われる。
「気にしないで、石松さん」
それからはお互いに口を開かず静かな時間が続いて、校舎四階にある図書室へと着き、先生が扉を開けてくれ中へ。
するとそこには優しそうな女性の先生と、ピアスをしてスキンフェードで余った暗めの長い金髪を後ろで結んでいる、見るからに不良の私と同じ制服を着たおそらく先輩であろう人がいて……
「あら、永野先生と、そちらは?」
「私のクラスの図書委員、石松さんよ」
「こんにちは」
軽く担任の先生が紹介してくれ挨拶をすると、優しそうな先生にニコッと微笑みを向けられると共に、不良の先輩がゾクッとするような怖い視線で私を思いっ切り睨んで来た。
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