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横道ついでに妹のことを話し始める仙弥

 

「違う。違うんだ、果穂。これには姫森家とキュウの深い歴史があって、本当に」

 横道に逸れた話を仙弥はお構いなしにさらに逸らせる。

「へぇ?……聞きたいかも」

 果穂もその話に興味を持ってしまったようだった。

「だから小学校の盆踊りの時にカンナと……あ、俺の妹カンナっていうだけど」

「漢字がカッコいいんだよね?」

 キュウがのどかに仙弥の話を盛り立てる。

「そう、神の愛と書いてカンナ。まあ、キラキラネームです。それはいいとして、カンナは小学生の時の盆踊りで迷子になって。それをキュウが見つけてきてくれて。で、二人手つないで帰ってきたの。そっから、ずーっとカンナはキュウに恋してる。だから、お前がぽっちゃりさんだったときから、カンナはお前のことが好きだからね?」

「いつもそんなこといってるけど、僕が仙弥君の家に遊び行った時、最近は特にだけど、カンナちゃん僕と会ってもくれないじゃん」

「だからそれは……お前わかってないよ!!乙女心を!!それは、カンナがガチだから!!うるさい女だと思われたくないから、お前を避けてるの。猫被ってんだよ。もうバレてんのに」

「ええ~、かわいい」

「ね?」

 仙弥の向かい側の女子二人が恋するカンナを想像し、共感しあった。

「で、アンタはどう思ってんの?」

 果穂はこの話にハマってしまったようでキュウに対して話を振った。

「そりゃ、悪い気はしないよ。その話が本当だったら。カンナちゃん、かわいいし」

「お前の好きなヤンキー系の、な?」

「それは……二次元の話だから」

 キュウが笑いながら仙弥を否定した。

「そうなんだよ、コイツ!!……俺がカンナにキュウはヤンキー系の女が好きだって、情報を与えた時があったの。そしたらさ」

 湧いた怒りを鎮め、すぐさま落ち着つきを取り戻した仙弥が全員に向かって話し始めた。

「去年の夏休みだったんだけど、その情報を聞いたカンナはさっそく……」

 仙弥は当時のことを思い出し、笑いながら説明をつづけた。

「金髪に染めまして」

 仙弥とキュウ以外の者たちが驚きの声をあげた。

「突然?」

 果穂が驚きながら仙弥にたずねた。

「そう、突然。もうド金髪。中坊の分際で!!」

 仙弥が笑いから怒りへとすぐさま表情を変えた。

「妹っていくつだったっけ?」

 今度はアツシが質問した。

「二個下。だから、その時カンナは中二で俺たちが高一」

「中二かぁ……中二だったらやっちゃうよなぁ」

 アツシは独特のリアクションでしみじみと共感した。

「好きな男の為にそこまでしたんだよ、妹が。そしたら金髪のカンナに会ったコイツ、なんていったと思う!?」

 キュウはバツが悪そうに黙りこくり、周囲も仙弥の話の続きを静かに待った。

「『前の方が僕は好き』って!!コイツ!!」

「えぇ……」

「最低!!」

「そんなこといったの!?」

「あはははは」

 当事者以外のそれぞれが好き勝手にヤジを飛ばした。

「驚いちゃって。あの……かわいい妹みたいに思ってた子が突然金髪にしたから、引いちゃったの。あと、カンナちゃん髪がすごく綺麗なんだよ。だから、その……」

 キュウはしどろもどろに言い訳をした。

「そのあとカンナの炎の怒りを受けたよ、俺は。赤鬼のように顔を赤くさせて……もう、泣きながら怒ってたね」

「でも、次遊びに行った時には」

「速攻で戻してた。キュウにいわれた次の日には黒髪に。我が妹ながら、誇りに思ったね。テンプレート乙女の行動をしてくれて」

「ええ~、かわいい~」

 女子三人は特にカンナのことが気に入ったようだった。


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