hot spring winter spot summer of fall
温泉だ!観光地だ!恋真っ盛りだ!盛れ盛れ!
夜になると、宿の女将が手づから料理を運んできた。
蕎麦を麺状にしたものとか、フナやコイの煮物に蕪の漬物等々を1つ1つその雪国育ちな白い手で示し説明していく。
ぷっくり涙袋と泣き黒子がチャームポイントの妖艶な未亡人で、冬の渓谷のような白い喉元も非常にそそられるが、俺は何か違和感を感じた。閃光が閃き、疑問を問うといった具合である。
「みんな、この料理に手をつけるんじゃない!」
「言われなくてもこの、ハチノコとかいうの入ったご飯は無理だよB兄ちゃん」
また邪聖少年は変なものを可愛いとか言ってるのか?
「いや、怖い。食材と目が合った。イモムシって食べられるの?」
魚の目は喜んでほじくる癖に。
「そうか。ビュー兄の生まれたとこって虫いないんだっけ」
草臥れジト目が、口に入れてたハチノコをうべっと茶碗に戻した。いや汚ねえな。食べんなつったけどよ。
食文化の違いに感心しているようだが、お前のところの食生活というか食性も大分おかしいからな。
蕗冬、顔可愛いのに他種族から敬遠されがちなのって、大昔のゴブリン地下帝国時代の遺恨ももちろん有るだろうが、だいたいその悪食のせいだと思うぞ。
地面を掘って出てきたものは神の恵みだからだいたい食える。みたいな宗教観だからな。まあ一昔前まで過酷な環境だったらしいから仕方ないのだろうが。
草臥れジト目の実の父、サー・マモンはド変態で油断ならない中立属性だが、領主として間違いなく名君なんだろうな。
「あらまあ、虫がいないとは想像もつきませんね。でも、遥か北方は魚も獣も豊富と聞きますから、タンパク源には困らないのでしょうね。朕、薪割りで口に糊してた時分には、ちょくちょく出てくるのでボーナスタイムと称して生で頂いてました。懐かしい」
「うげー。ベイビー兄さんも食うのかー」
牝柿母♂のそのエピソード、カミキリムシの幼虫食う食わないよりも王家の人間としては割りと過酷な環境にいたらしきことの方が気になるんだけど。
おいド田舎有力者の息子たちよ。自分ん家と同じ感覚でスルーすな。王子様は薪割りでお金稼がないのだ普通は。
いや、そんなことよりもこの妖艶さとは別で妖しい女将をふん縛り衣類を脱がす。
「やっぱり!未亡人感強いのに純潔っぽさも残っているから妖しいと思っていたんだ!本物の女将はどうした!?そして筋肉の付き具合からまだ齢15くらいだろう。なぜ少年の癖にそんなにも未亡人感強いんだ。何が秘訣だ?温泉か?ハチノコか?大量生産したいぞお前みたいなやつ」
「バレてしまったからには全てお話しいたします。実はつい先日に、山奥でダンジョンが新生しまして、そこから現れた魔物に、この宿の女将である私の母が拐われてしまったのです。明るみにすれば母を殺すと脅された手前、皆様に助けを求めることも出来ず、事件を隠す為にも母の振りをして滞在中は誤魔化そうと……もしかしたら、煎り豆が好物だからかもしれません。暇さえあればパクパクしていて、『そんなに食べたら乳の出が良くなってしまうよ』と母によく叱られています」
「お前、俺たちが去ったあと、1人で救出に向かうつもりだったな。善いな。出来息子だ。しかし何てことだ!未亡人が手篭めにされるなんて社会の損失だ。みんな、直ぐに救出にむかうぞ!豆か!成分を調べさせよう!」
歯車生肉ことリボルバーの奴に調べさせよう!新人類たる蜜蜂薄荷の最初の人リボルバーならば直ぐに結果を出すはずだ。
そして、みんな大好き女顔悪実、性癖多面体で感度三千世界な癖歪み忍者ライ麦畑に抽出した成分を大量投与だ!
「あ、そうだ!エリーゼもソテー氏も麓側だ!未亡人少年!キミ、見たところ野老のようだが、魔法は使えるか?」
全身が美しい銀世界を体現した容姿なので当然、その角も万年雪が積もる霊峰の如く雄々しく二本、側頭部より聳え立っている。確かにこの美しさは乳が出てもおかしくないな。
「……その、恋の魔法なら、得意です」
可愛い。
「充分だ。付いてこい!」
「「「いや、不十分だろ」」」
兄弟たちの突っ込みを無視。未亡人少年の縄をほどき、立ち上がらせる。
「ありがとう。神様」
白牛といば、豊穣を司る神聖な存在として、どこでも有り難がられる供物だな。神様の乗り物としてふさわしいぜこいつは。ぐへへ。




