アスモデウス-明日のデウス-昔日のリリス!4
「オマエ?契約するノ?オマエガ?」
「そうよ。この私に2度は言わせないで」
「いや、だって、またあえるダロ?」
「その時の私はもう私じゃない。私はこの私のまま、何度だってライくんを愛したい」
「そりゃまた傲慢だナ!いいゼ☆」
「それにしても、B-Tって何の略なのかしら?」
「ああ、確かハンドル」
「いいえ、言わなくて良いわ。自分の事だもの。ほとんど別人とはいえ、本質は同じ存在のはず」
「……さっき自分で私じゃない言うたじゃン」
「そうね、B-T、ブレイカブル-タナトス、踏破される死。我が前では死すら脆く崩れ去る。私ならこう名付けるでしょうね。ふふん。昔の私もなかなかやるじゃない」
「アー、ウン、セーカイダゼー☆」
「なら私は反転して、一文字進むからU-C、アンブレイカブル-ケイオス、未踏の原始。頑なに変わらないもの。私は、この愛の為に使命を捨てて、この私を拾う」
「え、ルーシー?ユーシー?もう一度言ってみて」
「合ってるわよ。そして二度は言わないわ。私と、あの子だけが呼んで良い名だもの」
「俺様、滑舌が悪くてごめんだけどルーシーって言っタ?ユーシーって言っタ?多分どっちもりゅーしーって聞こえてるんだと思うんだけド」
「だからそれで合ってるから大丈夫よ!」
「ううン、じゃあルーシーで登録するからネ知らないからネ」
「ええ!」
「ううーん。傲慢だナァ」
ルーシーちゃんの記憶、はるか遠い過去生のそれが入り込んできたようだ。
女神官と悪魔の神前試合が終わり、見事俺含む悪魔チームが神様側を下したので俺が主神に代替わり、ということになった、らしい。
正直俺は神とは名ばかりの半分以上人に近い存在で主神なんて器じゃ無いので、教会地下で悪魔合体の儀式をすることになった。
かつて、《死神》エリーゼが死んだ未来で、狗尾草のスーサイドがトチ狂って実行したこの悪魔合体は、普段は使役している召喚獣とかを混ぜ混ぜするために使うものである。
この時スーサイドのスーちゃんはその名前よろしく我が身を擲って、エリーゼの亡骸と自分を合体させ、死んだ彼女の意識を虚無から救いあげようとしたのだ。
もちろん、この時のエリーゼは魂ごと失ってしまっていたので結果、エリーゼの職業、いやさ宿業と呼べる《死神》の性質を受け継いだだけの、どちらにも似ても似つかぬ新たな神が誕生して、エリーゼもスーサイドも救われることなく終わったが。
まあそこは万能超人たる俺が、リボルバーこと歯車生肉の所持するタイムマシーンで皆救って今現在をハッピーエンドにしたわけだがよ。
エリーゼとスーちゃん、更にレアな骨を触媒に合体して《骨と芝生の神》というけったいな存在が誕生したんだ。俺とルーシー、そして女神様の天秤が触媒なら、そりゃ凄い神様が爆誕よ。
俺とルーシーの場合、いつの間にか分裂してたのが元に戻っただけな気もするが。いや、どおりで、いくらなんでも過去生の記憶に抜けが多いと思ったよ。
「再生と停止の神、我が死と闇の申し子よ。ようやくここまで来ましたね」
巨大なカプセルからずぶ濡れで出てきた俺にタオルをかけてくれた教会のおねーさん。口調が違うので神懸かってんだろうな。水気を吸いとりながらそのまま膝を着き拝聴する。
「これ、あなたはもう主神なんですよ。堂々となさい」
うーん。まさかマジで神様になるとは。今までもまあまあ言われてたけど、いよいよ自覚が出てきたぜ。
「死と闇から生まれたあなたは命と光。私から生まれ、またいつか私へと帰るもの」
なんだって?立派で濃厚だって?なんてエッチな発言する従属神だ。主神としては何としてもおしおきせねば。
「あらあら、もう帰ってきたくなっちゃた?いいわ。おいで坊や」
ま、マジで?
「?ええ、マジよ!」
ば、ばぶぅ~!!!




