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アスモデウス-明日のデウス-昔日のリリス!2

「チキチキ!天秤チキンレース!わーぱちぱちー」


 最後の第9試合。その試合内容を受付おねーさんが楽しそうに発表した。他のおねーさんならば可愛いらしいだろう拍手などの所作も、彼女がやると裏社会のボスが相手方を皆殺しにするときの合図にみえるから不思議だ。

 本人は一番まっとうな、俺みたいなサキュバスからすれば天敵な方であるのだが。


「この吊り天秤は普通の天秤ではない。本来重さの存在しない、形のないものを量ることができる」


 ほうぉ?神様らしい持ち物だ。


「例えば、『私のビーちゃんへの愛情』」


 ズゴン、と音がして天秤の片方の皿が闘技場にめり込んだ。重てぇな!


「こんな具合だ。このチキンレースは、形のない何か、を交互に言っていく。地面に皿がついたら負けだ。」


 試しに何か言えと促されたので、お返しに『俺の受付おねーさんへの愛情』と答えた。

 ピコン、とちょっと、反対側の皿が揺れた。受付おねーさんの重い思いの乗った皿は地面にめり込んだまま離れない。


「そしてこんな風に、軽すぎるものを量って天秤が傾かなくても負けだ」


 あ、受付おねーさん、俺側の皿に体重かけて無理やり天秤を均衡にした!いや、愛情少なくてごめんなさいだけどよ!拗ねるなよ!


「つまり均衡か、自分の皿が相手方より重くなるようなものを量らないと負け、ということになる。ルール、伝わっただろうか?」


「おねーさん、それまで量ったものって皿に残り続けるのかい?」


「ああ残る。だから量る数が増えていくと予想が狂っていくぞ。後になるにつれ、軽いものでは思ったように傾かなくなる」


 その重い軽いが形のないものには存在しないんですがね?そんなあやふやな話は勘弁してくれよ。言葉遊びというか、個人個人の胸三寸じゃねえかよ。…ああ、いや、そうなのか。まさに。


「よし、善いぜ。まずは俺に先攻くれよなおねーさん。そんくらいのハンデくれよ?」


「ああ、よかろう。でも気を付けろよ。『ビーちゃんの私への友情』とかだと直ぐゲームオーバーだぞ」


 どういう思考だよ。「あれ?ビーちゃんの愛情少ない。そっか、あの子は私に友情を感じていたんだな。だからか」っ感じか?いやなポジティブさだなぁ!


「まずは、『ライ麦畑の…雄っぽさ』」


 ユラリ、と少し傾いた。善し。これが『男らしさ』だと傾き過ぎるかもしれないと思ってこれにしたが、正解だったかもな。行動は男前なところもあるが、見た目はどう考えても雌っぽいからな。微量に雄っぽさがあると判断してくれた天秤に感謝しなきゃだぜライ麦畑よ。

 そして何よりも重要なことが知れた。これならこの試合、勝てそうだ。


「ふむ。こちらの番か。こう微量な重さで渡されると、こちらも微量で返したくなるな。ならば、『教会女神官の胸』」


「おおい!やめろぉー!なんでバラす!?」


 母性的な要素大事だからな。俺らの前だと着けてない日も多いが、人前で活動するときはめちゃくちゃ詰め物してるからな教会おねーさん。寄せて上げる?それはそれなりのものを持ってないとそもそも出来ないんだよ。ゼロにいくら足してもゼロだからな。本当に絶壁だからこの人だけは。


「くっ。『狗尾草(コボルト)の落ち着き』」


 天秤がこちらに少し傾く。私は忙しない狗尾草(コボルト)以下!?おっぱいは落ち着きはらってるわよ!沈黙よ!と叫び声が聴こえたが無視する。


「ふむ。『武器屋女神官の男を見る目』」


「おおーい!やめロォォ!誰か!あいつの口封じテ!?どんどん味方を抉っていくゾ!」


 どこ吹く風で仁王立ち。無敵かよこの受付おねーさん。

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