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アスモデウス-明日のデウス-昔日のリリス!

現在いまし、嘗ていまし、そしてこれから来る御方。

 さて、第8試合、糞チートモチモチ畜生に負けてしまったわけだが、


「どうする。今がマーベラス。ベストモディフィケーション。これ以上足し算も引き算もできない」


 負けた方の装備をかっぱらう、という武装賭け試合というか脱衣試合というか、をずっとディアブロこと草臥れ過去形とやっているわけだが、


「腰帯とかでいいんじゃないか?」


「駄目だよ兄さん!そこだけは絶対ないよ!裸に腰帯、そこにナイフ、スリング、ポーチとかのアイテムを吊るしてるのが美しいんだから!」


 と、どの装備奪うかでずっとぶつぶつ悩んでるのだこいつ。

 今俺は外套と籠手を奪われてるので、残りは鍔広な帽子に革手袋に長靴、腰帯と武器達なわけだが、どうやらこの俺の姿に芸術性を見出だしているようだ。まあ、理解出来なくもないがな。


「仕方ない。長靴と帽子にするよ」


 と、手ずから脱ぎ脱ぎしてくれたわけだが魂胆は見えている。脱がしつつ、こっそりかつ大胆に足指の股の匂いを嗅ぎやがった。そういう癖の奴なのだ。遺伝だろうな。父親にして現在ムチムチトランジスターグラマーなサーマモンも、何処からともなく現れて、俺が脱いだ長靴を嗅いでいるからな。

 …こういう時、癖歪み忍者ライ麦畑も現れて帽子についた頭皮の匂いを嗅ぐとかがヲチのはずなんだが、本当に姿を見せないな。何の作業してんだろ。


 いや、そんなこと考えてる場合じゃねえ!あと1試合、しかも勝っても同点になるだけだ!これはヤバい。


「おい草臥れ、最後の魔王は?」


「……もちろん最後は色欲を司っているよ」


 受付おねーさん、性愛ならぬ母性愛の権化だしな。勝てるか?くそっ、俺なら確実に勝てるのにな。


 …ほう?俺なら。


 そうか、俺がおねーさんにすり替われば。


「草臥れ。俺が出る。文句ねぇよな?」


 こいつは昔は乱暴横暴が大好きだったからな。一か八か、恫喝して承諾させてやる。


「兄さん、そう言うと思ってた。わかってるよ。衣装も用意してある」


 世の中ゴネ得だな。俺が同じことやられたらぶん殴るけどな!


 衣装をひっつかみコソコソと選手控え室へ行く。


 控え室には中継モニターに鏡、お茶コーヒーお煎餅ウォーターサーバーが置かれていた。飲める水がこんな簡単に手に入るなんて時代は変わったよな。

 水道も今より遥かに機械化されたものを配備中らしく、あちこちでトンテンカンと工事している。今じゃ榁の民(ジュニパー)と呼ばれる這鼠刺(ラットマン)や未だに狗尾草(コボルト)呼びが根強い粟の民(ミレット)の大人たちも出稼ぎに来ており、もちろん子どもたちは加護による装備を受け取って日夜訓練に励み、人材の交流が盛んになって頼もしい限りだ。


 しかし貰った衣装、何かと過激だな。勝負服こんななのか?ホントに?受付おねーさんよう。


「ビーちゃん、その格好は」


「見ての通りさ。あんたはしばらく休んでな。俺がやる」


「本気なんだな?」


「本気さ」


 ニヒルに笑って闘技場に入る。


 過激な勝負服の受付おねーさん(俺)にざわつく会場一同。神様側に腕を組んで立つ。組んだ腕によりぷるん、っと揺れたのでざわつきが増した。


「いや、ビーちゃんの立ち位置はあっちだぞ」


 呼ばれて振り返る。いや、何でおんねん受付おねーさん!替え玉ってバレるだろーが!


「?替え玉なんて謙遜はよせ。本物だ。過去最高の色欲の魔王だろうな。その衣装も、良く似合っている」


 …なるほど。


「魔王全員集合!」


 瞬時に集まる他の魔王たち。色欲の魔王は居ない。俺だからな!


「てめえらやりやがったな!あの食事だろ!!原因は!!!」


「タダメシより高いもの何て無いんだゼ⭐あと、でぃあぶろとの会話でも代わりに悪魔側で戦うって言ってたダロ?」


 あんな軽口で言質とられただと!?


「んデ、『俺が出る』ってさっき言っテ、そんでその服着テ、最後に『本気さ』って言ったから確定したゼ⭐」


 おいぃ!俺、申し子なの!何で悪魔の尖兵になってんだよ!反逆も善いとこだよ!


「ピギィ。どちらかと言えば殿(しんがり)にして総大将ですね」


 うるさいよソテー氏!すっかり、なんか小さくて可愛くなりやがって。そのムチムチな太ももをハム原木にしちまうぞ!エッチな、エッチなハム原木にだ!


「ざまぁみろぽっと出泥棒ネコ」


 ルーシーちゃんどんどん邪悪な本性が!むしろぽっと出はお前のほうだろ!傲慢の魔王は伊達じゃねぇな!



 全員追い散らし、仕方ないので変身を解く。


 一瞬、予想外の俺参上で会場は静まり、状況の理解と共に拍手と狂乱で爆発した。


「な、な、な、なんとぉー!とんだサプライズです!最後の最後はこの人が参戦だぁぁぁぁ!」


「これはズルいワン!視聴率、いいね!ボタン、共に急上昇中!お子様に見せたくない神様ナンバーワン!BィィィィィTィィィィィ!!」


 当然のごとく、毎度お馴染み、称賛を一身に浴びて観客に手を振る。ふふふ。あ、あいつとあいつ、後で食おう。ウィンクしてやった。ファンサも怠らないのだ。


「ヤると決まったら仕方ねぇ!覚悟しろおねーさん!」 

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