okie-dokie-oaktree-orcishdress-号泣でっしゅ
ありがとう!楢の民、オークのお洋服で感動を!
色々と試した。おそらくは、こちらの、というには悪魔側なのに肩を持ちすぎだが、ソテー氏の、指や腕の筋肉のおこりから予測して高速の後出しでじゃんけんぽんに勝っていると推理、高い器用さを活かしての筋肉に嘘を吐くフェイントや、連続のじゃんけんぽんで予測を追い付かせない、など対策をしたが
「「叩いて被ってじゃん、けん、ぽん!」」
パァーン
「「ぽん!ぽん!ぽん!」」
パパパァパァーン!
全て失敗。
弾けとび、最早手首足首のフリル群とネクタイ、あとは最後のパンツたるビキニパンツ、だけとなった。
これまでのじゃんけんぽんでドロワーズ、トランクス、ブリーフ、と言うらしい下着たちは全て弾けたが、デザイン性によって少年たちと一部の少女たちの興味をひいたようで、あとでソテー氏の店にいかなきゃ、と諸々メモしていたので試合はボロボロでも商売はボロ儲けである。ファッションショーとしては完勝してるのかもしれない。
相手は最後まで我々を見捨てなかった最後の神様、そしてここは神明裁判の場。
何か手品があると思っていた我ら人類の浅はかさよ。
全て、ただただ運否天賦によってソテー氏は負け続けていたのだ。
「人の子よ、お前の祈りは届かないようだ」
「ピギィ。まだです。まだ」
やたら伸び縮みするビキニパンツを引っ張って端を肩にかけ、気合いを入れたソテー氏。肩と股で美事にVの字を描くビキニパンツ。たすき掛けのようなのりでビキニをそんなのばされても変態度合いが増すだけである。
「まだまだぁぁぁぁぁ!」
「その意気だけはよし!」
是非とも購入して癖歪み忍者に履かせたい。いや、着るといった方が正しいな。だって上も下も隠せているんだから。これはワンピース水着みたいなものだ。フリル着けてもらおうかな。
可愛いフリルつけたら逆に恥ずか、艶や、イヤら、いや、いいや、もう取り繕わない。エロい。このビキニのパワーで裸よりエロく、そしてフリルで可愛くすることでよりエロくなる。
パァーン!
フリルが1つ弾けた。フリル群を失えば、あとはネクタイとビキニパンツだけである。…どっちが先に弾けるんだろうか?やはり紳士たるもの、最後までネクタイが?
「ピギィ。なぜ、勝てないのです」
「ここは神明裁判の場だぞ人の子よ」
パァーン!
「祈りが砕けずとも、意志が困難を振り払おうとも、自分の感情を叩き潰し、本心を覆い被せているお前は、この叩いて被ってじゃんけんぽんで勝つことはできないよ」
パァーン
「……自分は守れなかった」
パァーン
「モンスターの自分を、救ったあの人を」
パァーン!
「罪滅ぼしでなくて、」
パァーン!
「何だというのか、」
パァーン!
「このぽっかり空いた穴が、」
パァーン!
「人の子よ。それは喪失感、というものなのではないか?罪悪感であるならば、それは心にのし掛かるものなのではないか?」
パァーン!
やはりパンツが先か!だよな!
「喪失……ピギィ」
パァーン!
ぶっ飛ぶネクタイ。倒れ伏すソテー氏。何故ダメージゼロのはずなのにめっちゃ疲弊してるのだ。場の雰囲気で酔った気分になる下戸の様なものか?
いや、それだけ全身全霊で戦っていると言うことか。
「おかしいな。何故全裸になったのに裁判が終わらない?心のネクタイでも締めている。とでも言うのか?」
確かに、全裸に汗だっくだくなのに終わってないぞ。
「ピギィ、ピギィ。そうか、僕は、奥方に、ビアンカさんに、恋をしていたんだな……ピギィ。ピギィ。ピギィ」
大量の汗に混じって、大粒の涙をその円らな瞳からポロポロ転がしていくソテー氏。
「神よ。叶うならば、あの2人が幸せな未来を見せて欲しい。それが僕の祈りだ」
「それかお前の本心か?奪いたい、犯したいと思うのが人の子の性ではないのか?」
「舐めるな神よ。例えそれが僕の醜い欲望だとしても、それが僕の本心だとしても、浅ましい僕の本質だとしても、僕が真に願うのは、愛し合う人たちの平穏と幸福だ。何故なら僕は、誇り高き人類の一員だからだ。僕は、僕ら楢の民は、変わり果てた愚かな獣ではないぞ。いままでもこれからも、邪念を振り払う意志を持つ人類だ」
パァーン!
ソテー氏の肉体が弾けた!!バラバラに、満開の薔薇の様に、真っ赤に、七花八裂飛び散る巨体。
「なにぃ!?人の子よ、お前!」
「ありがとう神様。今一度、今度こそ間違えない。その為に、悪魔とさえ契約したことを台無しにする所だった。今度は、自分の気持ちに嘘を吐きません」
いつの間にか、悪魔との契約で若い肉体に戻り、渾名でなく真に魔王と称する様になった時にか、ソテー氏はすっかりと若返った体の上から精巧な、老いた自分そっくりの《服》を着ていた様である。素材は自身の古い肉体、とかなのだろうな。神の目をも欺く見事な技術だ。流石、服飾の魔王。
そりゃダメージゼロでも疲弊もするよ。先程までの汗や涙はその服から染みだしたものだったのだ。
弾けたその服の中から滝の様な汗で、涙で、テラテラと光る、無食子の、楢の民と自称する彼らの幼生が姿を表す。
ゴツゴツと威容の楢の木とツルツルの綺麗な団栗の様に、丸ごと筋肉の塊である猪と丸々よちよちの可愛いウリ坊の様に、彼らの幼体は成体と違いそれはそれは愛くるしい禾穀の幼子に近い容姿をしている。このあたり、人類の一員である証拠とも言える。
後にTバック、という下着と知るパンツ1枚で、果敢に挑むソテー氏。
「うおおおおおおお!叩いて被ってぇぇぇ!」
「「じゃん!けん!!ぽん!!!」」
泣きの1回、泣き虫幼生、大泣きの妖精が渾身の祈りによって、最後の最後で初めての、
パパァーン!
アイコになった。
凄まじいエネルギーの奔流で闘技場に土煙と布切れが舞う。
「訓練所の女神官さまはサラシとフンドシで2点、対するソテー氏はお尻丸出しパンツの1点!ソテー氏!惜しくも」
「いや、よく見てくださいビューティーさん。まだ裁判が終ワってません!」
居ねぇなと思ったら、邪聖少年ビューティーが試合の実況をしていた。スーサイドのスーちゃんも解説とやらの看板提げてその横に居る。他のパーティーメンバーも運営か何か手伝ってんのかね?
土が落ちつき、そこに姿を表したのは、無花果の葉を股に付けた幼可愛いソテー氏と、
何故か全裸の訓練所おねーさんだった。いや、何でだよ!あんたフンドシどうしたよ!?
「実は、1枚のサラシを胸と股で巻いたあとに切って分断しただけなのだ。実質1つの装備だから一気に弾けた」
すげぇな。残機ゼロで戦ってたのかよ。流石おねーさんズ最強のおねーさん。ちなみに最恐は宿屋。最狂は図書室。最胸は墓場である。みんな最きょうなのだ。俺が勝手に呼んでるだけだが。流行れ流行れ。
ところでザンキゼロってなんだ?
まあ、いい。最後の最後で大逆転。ソテー氏が美事、勝利を掴んだ。裁判なので勝訴、だろうか。
「我々は、死と闇の女王は、より強い願いに応える神である。人の子の願いが、神に届いたのだ。誇れよ」
「ピギィ。おお、神よ。ありがとう、ピギィ。ありがとうございます」
葉っぱを付けた非常にファッショナブルなスタイルで号泣する妖精みたいな可愛い幼生。とても趣深い。パンティ、じゃない、パーティーに咥え、おっと、加えたいぜ。




