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え、帰依宣言したあいつパーティーに加えんの?まだ街に呼ばれる年齢でないちびっこを?
「誕生日は間もなくだし問題ないよ。《錬金術士》系だからちょうどよかった。ウチのパーティー後衛いないなら」
そうだな。受け1攻め1、攻撃的ミッドフィールダー2セントラルミッドフィールダー1って感じだもんな。…なんだミッドフィールダーって。セントラルミッドなんて真ん中真ん中って事じゃねぇか。過去生の謎ワードちょくちょく出てくるな。毎回こんな感じだったか?
まあ、いい。1パーティー6人上限で未だに4人+召喚枠1だからな。あと2人欲しかったところだ。中立属性時代のバライロ居たら面白かったのにな。万能型ばっかりの面倒臭いパーティー結成出来たのに。
図書室のお勉強会を終えて次は教会に向かっている。悪属性のくせに、だからこそだが信仰心が篤い奴なので今日は歌を神様に捧げに行くらしい。
この古い古い国では神様が実在しているので、普通の市町村では形のあるものを皆送りがちなのだが、神様は少年少女育てるためにこの初心者の街1を運営しているので物品等の捧げ物は余り喜ばれない。彼らの生活をより良い物にしてくれた方が神様が喜ぶのだ。だからせめて、歌や摘んできた花、手作りした香などを捧げる、というより一緒に楽しみましょう、という体で教会に持ってくいのがこの街の習わしだ。
俺も無手じゃあ申し訳ないから精油を持ってくことにした。入れ違いで教会から出てきた懐かしの腹パン神官を、これ幸いにと腹パンしつつ搾っと魔力精気をいただいてその場で精油を造り出す。事を終えたら腹パン神官が最近遊んでくれないと拗ねたのでイけたらイくわとだけ返し門前に放置して教会に入った。
「B兄ちゃんって、相手の願望を鏡のように映して叶える存在だと思っていたんだけど、だとしたらあの子とんでもないヒトだね」
んあ?ああ、蔑ろにされるのが大好きだからな腹パンは。あいつの資産運用で得た金とか殴って奪うと喜ぶし。本人は寄進してるつもりらしいが。流石に教育上よろしくないので奴の別口座勝手に作ってそこに預けてある。デカイ事業でも興すときに勝手に社長に据えて過労死させてやるつもりだ。泣いて、もしくは鳴いて喜ぶんじゃないかな。
風化しかけの石の祭壇に色とりどりのお供えものがある。ここでは神様と一緒に楽しむ、というべきだか、要はお供え物して一頻り祈って功徳を積むための場所だ。しかし常に人が途切れない場所だな。暇を見つけては祈りにくる熱心なやつらばかりだ。
「お、件のちびっこじゃねぇか。よう、ちっちゃくて可愛いな。突っ込んだら口から出てきちまうんじゃねぇか?何がとは言わんが」
「そ、そんなに発達しているのですか?ちょっと、スケッチしてもよいですか?」
あー、これは錬金術士だわ。
「お花を飾りに来たのかい」
話を反らすために邪聖少年が割ってはいる。こいつ、教会ではこういう下品な会話嫌がるのだ。お澄まし顔しやがって。いざとなれば1番下品に振る舞うくせに。戦闘とかな。
「あ、はい、育てていた薬草なのですが、香草としても使われるので鑑賞と香気で奉納するには一石二鳥だなと思いまして」
信仰に効率を求め、いや、求めても善いのか?錬金術士だし。それにしても花なのに食えるのか。1つ摘まむ。
「あ、お味はいかがでしょうか主よ」
「ふむ、クセ強いな。これ茶にしたら美味そうだ」
「お喜び頂けて何よりです。そして御慧眼。快眠のハーブティーとしても原産地で愛好されてます。今度お持ちしましょう」
「いやいや、わざわざ悪いしな、今度取りに行くよ。ついでに一晩泊めてくれよ。あいや、なに、やましい意味じゃない。本当に快眠効果があるか学術的に興味があるのさ」
まあ、ウソなんだが。こう言っておけば学者様は喜ぶだろう。同好の士と思って油断した隙にてめえの駒込ピペットぷにぷにして俺とお前がコンタミネーションだ。
「兄ちゃん?」
うはぁ、凄い笑顔だ。凄絶である。調子のり過ぎたぜ。




