okie-dokie-valkyrie-dress6
「その、おねーさんは、スゴかったでゴザル?」
「ああ、やばかったぜ。夢にでそうだ」
「そんなに」
地獄の修行だったな。1日でこんなに成長するとは思わなかったから得難い幸福だけどよ。勘弁してくれよ物語じゃねーんだからよ。ね、眠い。何とか栄養だけは接種したが、しかし汗やら汁やらでベトベトなので風呂も行っときたいんだけど、癖歪み忍者に運ばせるか?眠い。
「あの貴殿、拙者、最近お茶に誘われてるオナゴがいるのでゴザル。悪いかなと思ってたんだけど、でも拙者、貴殿以外を知らないから、経験のためにもちょっと今度デート行こうと思ってるんだけども」
「んあ?ケイケン?そうだな。ケイケンは大事なことだ」
「ほ、ホントにゴザル!?じゃあお風呂の時に返事しに行くでゴザル」
「風呂、おれも連れてって。眠い。寝てるから体洗っといてくれよ」
「御安い御用でゴザル!」
よし、風呂問題はこれで解決だな。起きたらベッドで朝焼けでも拝んでるだろうさ。
霧が肌に纏わりつく…?肌寒く、耳などはひんやりと冷たいが、焼け石に埋もれた微熱が爪先を暖め、腹に接している人肌が心地いい。涼やかで良い塩梅だ。
ここは、風呂か?なんだ、途中で目が覚めちまったのか。
「ひゃわ!貴殿、おっきしちゃいました?」
「うはー」
「しっ、離れて離れて、でゴザル」
「ん、見ねえ顔だな。知り合いか?」
「う、うん、忍者仲間なのでゴザル。ほら、さっき言ってたお茶する予定の」
お茶?全然記憶にねぇ。コンプレックスのせいで今まで友達も出来なかっただろうし、癖歪みも青春しなきゃな。
「まだ寝みぃわ。2度寝するから朝になったら起こしてくれよ」
「あ、いや、朝というか、いえ、わかったでゴザル」
「ライ君、さっきまでよりパゥワーアップしてるけど、中々に歪んでるねぇ」
「ちょっと、まだ揺らさないでよおっきしちゃうから。あ、貴殿がね?」
何か楽しそうだな。何よりだぜ。
次に起きたら昼過ぎだった。よっぽどキツかったんだな。あの修行。思ってたのと違うが、1日休みだと宣言しておいて良かったぜ。
宿仕事してる労働者たちにセクハラしつつ外に出た。富国強兵が目的の我が国なので、この初心者の街1も基本的に食事はタダで、てか体造るためにメチャクチャ食わされるんだが、さっかくだし修行で屋台やってる少年少女たちに金を落としてやろう。商人職人連中とは仲良くなって損はないしな。街中じゃあ属性関係ねぇし。
「これ何だい?食感がやたら良いけどよ」
「芋を加工したんです!そのまま食べるとお腹壊して死んじゃうやつなんですけど!」
「なんてもの食わせてくれてんだてめぇ!」
「ちゃ、ちゃんと毒抜きしたし自分で実験しましたよ!美味しいでしょ!?美食のためなら死んでも良いじゃない!?」
「《錬金術士》系だろお前!?臭いでわかるんだからな!、」
全くとんでもないもの食わされたぜ。うまかったけどよ。
「あ、貴殿!」
「うふふ、おはようございまーす」
屋台街を物色してたらピチピチくノ一スーツを着た癖歪み忍者と、隣に網タイツ着た、いや、何だこいつ。ホントに同年代かってくらいピチピチの忍者がいた。
「あさ、あいや、お風呂の時の記憶あるでゴザル?こちらルーシーどのでゴザル。今日デートしてるのでゴザル」
おお、何か記憶があるような。青春だねぇ。はた目には発育の良い少女2人が仲良しイチャイチャしてるだけにしか見えんが。ふむ。これは使えるな。
「貴殿!その姿は!その姿はヤメテ!」
「うふふ、お帰りなさいライ君、陰陽を合一しようねー」
へにゃりとした顔で帰ってきた癖歪みピチピチくノ一モドキの前で、わざわざ網タイツ買ってきて今日会ったルーシーの姿に変身してお迎えしてやった。
なんか、凄い泣きじゃくった。
「ううー、もう、もうマトモに顔が見れないよぅ」
「いや、悪い。そんなに傷つくとは」
悪ふざけが過ぎた。ごめんなさい。
枕に埋めたまま目だけでちらりとこちらを見る癖歪みピチピチ褌。
「買って」
「へ?」
「ルーシーちゃん、カッコいい忍具いっぱい持ってる。羨ましい。俺も欲しい。貴殿、お金持ってるでしょ。俺に買って」
いや、まあ、それで機嫌が直るなら安いもんだけど。
「ホント!?えへへ、貴殿、だーいすき!でゴザル!」
うん。何か、騙された気がする。でもかわいいから許す。




