okie-dokie-valkyrie-dress2
翌朝、武器屋のおねーさんにたまたま在庫あったから見せてもらったくノ一用の装備。ピチピチのゴム製らしき謎素材でとんでもなくとんでもなかった。もちろん諸々サイズが合わないのでお試しに着てもらっただけだが、この素材で癖歪み忍者により似合うものを仕立てたら、もう冒険が薔薇色の日々になるだろうな。これが一目惚れというやつか。
「貴殿の食い付きがスゴイ。これ買うでゴザルおいくら万z?」
「素材が特殊だからナ。素材を持ち込んでくれたらお前用のやつをつくれるゼ」
かくして、素材収集の為の冒険が始まった。毎回訓練やらで何となく潜って、なし崩し的に他国の街まで行って大事になっているので、たまには目的を持って潜り小事を成すのも良いだろうさ。
くノ一装備をつくるために護謨玉埃黴とやらを倒して回収することになった。
この前の這鼠刺がいた層よりやや深い位置に生息しているのだが、ここのモンスターも深さに伴ってやや強いくらいで鎧袖一触、無食子その他を蹴散らしていく。たまに這鼠刺たちが隙をついて死線に飛び込むので無駄に難易度があがってこまったが。
「マーティン!お前もかぁぁ!」
「救世主さま!おかえりなさい!そして死ねぇ!」
「死なないでぇ!罪悪感がぁ!マーティィン!」
何とか殉教者をつくらずに済み、護謨玉埃黴の生息地にたどり着いた。細い脇道を通ると、所々の岩の裂け目から大量の護謨玉埃黴が湧き出てくる。物量で制圧する戦略らしい。ついでに波乗りするように華麗に這鼠刺も現れるがサーフボード代わりの鍋ごと遠くにぶん投げて避難させた。
このダンジョンじゃ後で甦るとわかっても罪悪感で信徒を肉には出来ん流石の悪漢も。…罪悪漢。ふむ。今生1の面白さかもしらん。
「いや、面白くないよ死ぬほどB兄ちゃん!そんなことより敵が厄介!」
「ゴムみたいにブヨブヨで、打撃も斬撃も効かんでゴザル!」
颯爽と前に出る、元さすけつことスーサイドのスーちゃん。
「ワタシの研ぎ澄まされた剣で、…せいっ」
ぷよんっ。
「ワフッ。こりゃかなワン」
ボールで遊んでるイヌにしか見えないよスーちゃん。
皆が護謨玉埃黴による大量のボール風呂に苦しむ中、一角だけ燐光が溢れて焼きゴムを量産していた。ズタ袋少女の魔法が窮地を救う。
「魔法は効きました。でも焦げ臭くて素材につかえないかもですおふくろさん教父様」
いいよお母さん呼びのバリエーションは!それよりも、素材は気にせずとりあえず焼こう。余り立ち入らない場所なのか倒しても倒しても後続がくる。
「貴殿!!?護謨玉埃黴たちが…!」
なんと!合体してキング護謨玉埃黴になった!
なんでだよ!
「魔王め、貴様の思い通りにはならんぞ!我こそが王!玉埃黴の王なり。タダでは貴様に帰依せん我を倒してみよ」
お前もしゃべるのかよ!やめろ帰依すんな!菌類にすら会話されたら、あとはナニをヤれるんだよ俺たちは!絶対植物も話しだすだろ!
「あ、バライロさんの形見の剣なら物理ダメージ入らなくても魂は傷つけるから、素材だけ回収出来て便利じゃないB兄ちゃん?」
やめてくれ邪聖少年よ。せめて相手に生き返る余地がないとお兄ちゃんもう戦えない。生命皆兄弟。あ、そっか、ドレインして搾り殺そう。




