Cat-Sit Rat-Fat Bat-shiT4
「検証の結果、カボチャの光源から延びている怪物の影の長さは、どう移動しても、たとえ怪物があなたの証言通り地下水路を潜り抜けて行ったとしても、我々が最初に目撃した長さ、つまりこの積み上げられた木箱より上にまで伸びていた長さから、地面スレスレまで縮むということは物理的にあり得ないんですよ!例えば、怪物が変身能力を持っていて、ちょうどあなたくらい小柄にでもならない限りはね。ずばり、あなたが怪物です!バライロ=デイズさん!長靴脱いだら肉球ピンク色なんですね!」
名探偵ビューティーの独壇場だ。そしてお前の言うとおりそのネコが怪物だとしたら危険なんだから肉球ぷにぷにするのやめなさい。
「ふむ。わたしが怪物か。そうだとも言えるし、そうでにゃいとも言えるかもしれにゃい。おっと、わたしとしたことが、公爵夫人のネコか物理学者のネコみたいにゃ事を言ってしまった。にゃがぐつを脱いでしまったせいかにゃ」
確かに長靴を脱いだせいで、どう見ても人間みたいな座り方するただのネコちゃんだからな。
「ネコチャンと言うんですかい?可愛い生き物ですね。野菜スティックくうかい?」
マーティンお前、天敵だぞ。と思ったが這鼠刺はネズミのモンスターってだけでネズミそのものじゃないのか。同じサイズのちっちゃい生き物同士がわちゃわちゃしてて可愛いもクソもないというか、可愛いしかないというか。犯人探ししてるときにほんわかしないで欲しいぜ。
「なあもう合体解いていいか?いくら悪実で男とワいえ、見た目可憐な女の子の上に二段肩車は見てて気の毒になるんだガウ?」
「ライ麦畑さん力持ちですよね。私、パーティーで1番重いはずなんですが」
「エリーゼどのってそういうのほんとに気にしないでゴザルな」
実は怪物の影の長さを検証するために下から癖歪み忍者、ズタ袋少女、スーちゃんの順で肩車して怪物ごっこしていたのだ。さっきからずっとな。推理中から締まらない絵面だったからこのほんわかした空気も仕方ないのかもしれない。
検証の為に張り付けていた幌を剥がす。一部の建物同士を結び、そこにエリーゼの魔法《暗転》で隙間を埋めて、というか拓けた場所で《暗転》を使っても薄暗くなる程度しか効果が無いのでその補強として幌布で日光が入らないようにしていたのだが、それを解く。
「ふむ。すっかり朝ごはんを食べそびれてしまったにゃ」
「豪胆だにゃ。豪胆だな。もしくは呑気か。犯人に疑われてんのによ」
「にゃに、今日の夕方頃にはわかることさ。その時に疑惑が晴れ、もしくは確信に変わる」
「いや、どっちなんだよ」
「ふふふ、真実は見え方によって変わるものさ。ネコの目のように」
上手いこと言ったつもりか。
「わたしはバライロ=デイズ。誇り高き長靴をはいたネコの流れを汲むもの。職業は《赤の賢者》。短い付き合いににゃるとは思うが、にゃに、決して怪しい物ではにゃい。よろしく頼むよ」
「ひゃわ!まだ下ろしてる途中!危ないでゴザル!なぜ触った!?」
「いや、今回セクハラしてないなと思って」
「ふふ、はにゃしを聞いて。さみしい」
だってにゃんか煙に巻いてくるんだもん。嫌。




