Elise-conversation-かんばせ-Genovese!
エリーゼは真っ青な曰く付き!
邪聖少年の言うように、2パーティーはそのまま割れ、1組は広場に待機、もう1組が貴賓室に入っていった。あの雌個体が例の女傑だった場合、《雌伏》を看破されてそのまま負け戦になっていた可能性があったので格上雌個体が外待機組みで良かった。扱い不遇ならマジで女傑かもしれん。とりあえず中にいる連中から始末せねば。
屋根伝いに貴賓室まで移動し、暖炉の煙突に潜む。わふわふと話し声が漏れてきた。
「姉上にこんな汚れ仕事はさせられぬワン。運動場の一番芝生がツヤツヤな所にご案内しておけ。少しは寛いで貰わねば、ワン」
外待機は最上級待遇だったようだ。狗尾草の価値観がわからん。仲良しじゃね?致命的な弱点なのか?
隊長がこいつで、副隊長の姉上とやらに気を遣いすぎて、組織として機能不全おこしてるから仲良しとは言えない。みたいな頓知が利いた話なのかね?
「さあ、ニンゲンよ。吐け。吐かねばこうだ!わふ、わふ」
誰かを捕まえてきて尋問しているらしいが、打擲の音と呻き声が聞こえる。拷問に変わったか。煙突から暖炉へ逆さまに顔だけ出し覗いてみる。
特大のビーフジャーキーで顔をはたいていた。
「食べたいか!食べたいか!吐かねばお預けだ」
「知らないです。知らないんです。お腹すきました」
凄い罪悪感湧いてる。こんなにほのぼのした種族を狩りまくっていたのか俺は。天罰が下るぞこれ。後でみんな解放して、ここを去ろう。今バレると面倒だからこいつらは始末するが。それが悪漢倫理観。それとこれとは話が別なのだ。
合図代わりにナイフで隊長っぽいキツネ色の奴を仕留め、奇襲をかける。調度品の振りをしていた邪聖少年がジャーキーに涎を垂らしていたブチ柄短毛種を切り裂き、テーブルの天板裏に張り付いていた癖歪み忍者が、新たに手に入れた仕込み刀を尻から挿し込み、尻尾のくるんとした個体の内臓を掻き回す。忍者が装備出来る武器は限られているので、この浅い層の砦で入手出来たのは幸運だ。教官っぽい忍者狗尾草がもってた
残り3匹もさくっと倒し、捕まっていたやつの縄と被っていたズタ袋をほどく。
蝋の肌に燐光の様にぼんやり輝く髪。どの人類とも特徴が合わないなら大体そいつは附子だ。
「う、美しい。こんな美しい人達にビーフジャーキーで叩かれていたのですがワン?」
何故か語尾が感染っている。とりあえず、胸を触った。
「ひゃわー、ついに直接的な手法に」
「違う違う。お前をさらったのは狗尾草で、俺達は助けた側さ。今のボディタッチは男か女か確かめただけだ。うちは男むさいパーティーだからな。やっと華やぎそうだぜ」
「どちらにしろ触った理由がサイテーでゴザル。ていうか胸の有り無しが判定基準だと、授乳中の貴殿はだいぶオンナノコでゴザイヤンイヤンつねらないでそこはこれ以上開発しないで」
「この目が潰れそうな美形三人が男むさいとか言われたら私の存在価値が直葬なんですが」
「乳繰り合いは後だよB兄ちゃん。外の連中が怪しんでる。おっと、お名前、お聞かせ願えますかお嬢さん」
頑なにつねりながらも邪聖少年の紳士っぷりに舌を巻く。少女を安心させ、護衛しつつ移動する腹積もりなのだろう。気配りの達人だ。
ついでに癖歪み忍者の開発地区にも舌を巻き巻きする。頑なになってきた。うむうむ。
昼なのに、一等地の運動場でゴキゲンに走り回る狗尾草が居ないのだ。怪しまれて当然だな。室内に入ってくる前に仕込みを済ませねば。この癖歪みの肉体のように十全な仕込みをな!
「ご丁寧にどうも。私はエリーゼ。緑髪のエリーゼ。リッチと《魔女》の附子なんですよ?」
ふむ。礼儀正しい子だ。神との約束たる兄弟姉妹の保護だが。こういう子ばかりだとやる気も湧いてくるな。
ところで、ジェノベーゼってなんだ?




