okie-dokie-valkyrie-ladies4
そういえばあの時の腹パンしたあいつ、お墓に花持ってきてたな。
あれも秘密の依頼とかだったんだろうか?むむむ。これもしかしてやらかした尻拭いというか、俺は自分のケツ拭きに来たんだろうか。途端に行きたく無くなったな。
水仙の束に鼻先をくっつけながら邪聖少年が後ろを着いてくる。身長が伸びたために鎧や服がキツキツで装備出来ないパーツも多く、脇やら腰骨やら太ももやら晒してしまっている。むむむ。これは趣深いな。
「良く来た悪の子ら。キツめのハーブティーしかないが
飲むかい?」
墓場のおねーさんはデカイ。死を司り、教会の役割を二分する立場である為か、器とか色々とデカイ。身長だけ低いが、少し疲れたような落ち着いた雰囲気とのアンバランスさが趣深い。意外と若いのかもしれない。
「悪魔的に浄化されそうな味だ」
「そう?僕は美味しいと思うけど」
おっと、口に合わないと言ってるわけじゃないぜ。どうしても聖なるものにたいして、尻尾がピリッとくるのだ。悪魔の遺伝子に刻まれるてるのかもしれんね。
「ミルクだせばよいのに」
何言ってんだこのおねーさん。出るわけないだろ。
邪聖少年もビックリした後、鵜論な者を見る目ですこし距離を取った。
「いやいや、変なこと言ってないんだよ?夢魔のクォーターだからさ。イメージ次第で結構融通利くんだよ。君、魅了の時自然と相手を惹き込む様に力発揮してるし。普段から使ってる能力だから。変なこと言ってないんだよ?」
少し草臥れた大人な雰囲気のトランジスタグラマーが慌てて手足をわたわたさせ弁明する。振れ幅があって可愛い。別の部分も振れ幅があってなお良い。ぶれぶれブルンブルンである。
ニヤけていたら邪聖少年が凄い目でこちらを見ていた。匂い立つような邪悪だった初対面の見た目年齢に近づいているので、触れれば切れそうな凄みがある。嫉妬でこんな絵画になりそうな顔が出来るとは。むむむ。趣深い。
「…ホントに出たね」
矛先を逸らす為にほとんどおふざけで半裸に、まあ裸にロングコート着てるだけなので最初から半裸みたいなものなんだが、上裸になって大袈裟に振る舞いながら、この状況を何とか打開せねばと知恵を絞りながら胸を絞っていたら出てきた。結果として話逸らせてよかった。
「ほら言った通りだろう!?ほら、飲みたまえよほら!ほら!」
自分で絞って自分で飲むとか、何か、何故かは言えないが嫌なんだが、過程を無視して今この時だけ見ればトランジスタグラマーなおねーさんがミルク飲めと勧めてくる絵面なので、都合の良いとこだけを切り取ってテンションを無理やり上げて飲んでみた。
「む。旨い」
旨すぎて冷静になった。考えたらこれ便利だな。飲み水の確保って結構面倒だし。半分実体じゃないから出来る芸当なら、肉体から失われるのも魔力とか精気が主だろうし、これ敵からドレインして原料にすればだいぶ冒険が楽になるんじゃないか。
「飲むかビューティー」
「え、あ、うん。…いただきます」
何を錯乱したのか直飲みしだしたが、これは、これは、とても趣深いのでとても良い。母性的過ぎて絵画になるレベルの健全で神聖なあれそれである。
「ふむ。なるほど。ちょっとおねーさん外におさんぽにイッてて貰えます?この時間を大切にしたい」
「何でだよ!ボクの家だぞ!」
ふむ。このグラマーさでボクッ娘か。今夜は実に趣深い。
「…何しに来たのさ君たち」
ふむ。なにしに来たんだっけ?