blackwhite partynight paladinknight8
「ゴザザザザザザ!効かぬ効かぬぅ!進化の秘蹟の前には何人の攻撃も通らぬでゴザルゥ!」
我がサキュバス妹のムトプアのしょじひんはてっぽうだま、だった。これはダメージが蓄積される代わりに攻撃力が上がる強力なしょじひんなのだが、こちらの虹のしょじひんは進化の秘蹟。
正しい進化を否定し、最終進化前のあぐもんの耐久力、生きる力を格段に上昇させるるアイテムなので、てっぽうだまの威力上昇分を相殺して有り余る力を虹は手に入れているのだ。
これにより、虹の切り裂かれた腹は割かれたままに歯が生え舌が生え、下半身の第2、いや第3の口となりムトプアに噛みつき攻撃。また、上半身も、てっぽうだまの効果がのった猛攻撃に対応するために、三面六臂の大活躍、文字通り、手6つ、顔3つに変化した。
無限に進化する虹と徐々にダメージが溜まっていく妹では勝ち目は後者にはない。未だに戦闘が続いてるのは敢闘精神の賜物ってだけだ。勝負あったな。
「気を抜くなよ!相手はお前をコピーしてる!致命の一撃の場合、逆転もあるからな!キチンとかわせ!虹!」
「ゴッゴザルゥ!」
レベルアップと違ってこのような肉体の変化は異常扱いのようで再召喚したら虹の姿形は戻ってしまうのが残念である。あわよくばこの姿の虹で場外乱闘したいのだがな。
「ムトプア、これが最後の一撃だ。賭けに出るぞ!」
「ゴザムムッ!その構えは!?」
「いっけぇー!断固帳消し拳!!!」
虹の固有スキルすら使いこなすか!
流石は純正のサキュバス。恐らくはテレパシーによって、うちの虹から記憶を読み取り、自身の育成者ハンエイに使えるスキルの情報を渡していたのだ。虹の固有スキルにはエスパー忍者らしい一撃必殺の効果のものが複数ある。
しかし、既存のスキルも固有のスキルも把握しておきながら今まで決定打に欠ける既存スキルばかり連発していたのは、俎上の鯉の悪あがきではなく死中に活の我武者羅。一心不乱の電光石火、一点突破で暴れるため。
なるほど、こちらを無節操に進化させて動きを鈍重にし、この一撃を通す作戦だったのか!
しかし、無駄だ。虹はその虹色に輝くだけのただのマフラーをムトプアに投げつけ目隠しとし、そのまま己の似姿の心臓を貫いた。《神の恩寵》に頼らない人の技術
「なるほど、たしかにあぐもんファイトにおいては無双の強さだろうよ。しかしスキルの組み合わせ、運用のみが兵法の全てではない。こればかりは経験の差か。千年ほど早かったでゴザルな。小僧に小娘」
優勝を称える大歓声に包まれファンサする俺と虹。最近は投げキッスですらドレイン出来るようになったのでチュパチュパと間接粘膜接触しつつ表彰の準備へ向かう。
「さっすがでゴザルー貴殿!いやぁー、仕事切り上げて様子見に来て良かった。あ、ビューティーどの、極秘任務中だから拙者が観戦に来てること、主神にはナイショ、でゴザルよ?」
「ええええー!ライ麦畑ここにいるぅー!?いや、てっきり、え、じゃあ虹は何者ー!?」
…?何か邪聖少年ビューティーの叫び声が客席から聞こえた気が。気のせいか?
「ゴゴゴ、ゴザーザッザッザッザッ」
虹が高笑いとともに控え室へシャワー浴びに向かう。ふむ。これは、労うためにも背中とか流してやらねばなるまい。背中の前とか背中の前の下とかも念入りにな!!




