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フリーター看護師

 看護師。


 それは日本において、看護を専門とした教育を最低3年間受け、国家試験に合格することで厚生労働大臣の認可を受け、診療の補助や療養上の世話をすることを専門とする医療職である。


 男女平等の価値観が浸透し、社会で働く女性も増え続け、働く看護師が増加している昨今、その需要はいまだに高い。その理由は、高齢者の増加による、高齢化社会である。就職先となる医療・福祉施設は多く、引く手数多の看護師は就職先さえ選ばなければほぼほぼ就職ができる職業と言えよう。


 そんな世の中で、看護師の国家資格を持つ身でありながら、その資格を活かさずフリーターとして生活しているのが、俺である。




 俺は松本祐(たすく)、23歳のフリーターである。

 高校時代、部活で怪我をして気が滅入っていた時、看護師に元気付けてもらったことがきっかけで、看護の世界を目指すようになった。そして、滑り止めの私立大学看護学部に入学、何事もなく4年間のカリキュラムを修め、看護師国家試験に現役合格を果たした。そして新卒で、フリーターである。


 就職できなかったわけではない。就職活動をしていなかったのである。

 というのは、大学の教授から大学院進学を勧められたためだ。3年の後期、看護師の実習を無事乗り越えた頃の話だ。前期の科目を担当していた非常勤のーー研究機関に勤めているーー教員から、授業姿勢やテストの成績の良さからその能力を買われ、進学を勧められたのだ。

 当然、能力が認められて悪い気はしない。むしろ気持ちいい。しかも、普段からお世話になっている教授からなどではない。普段は研究機関に勤め、非常勤で教えに来ているだけの大学の、いち学生にわざわざ進学を勧めるというのは、それほど自分の能力を認めてくれているということであろう。学業でこれほど褒められていると実感した経験は今までになかった。


 有頂天になった俺は親に進学したいと頭を下げ、国家試験の勉強と併せて院試験の科目の一つである英語も勉強し始めた。残念ながら、俺の大学には大学院がなく、外部の大学院を受験することとなった。

 親に面倒を見てもらいながらの学生生活続行という形だ、せめて授業料が低いところを目指そう。

 ということで公立の大学の院の看護学専攻を目指すこととなった。大学院は進学する者がそれほど多いわけではなく、大学入試に比べると難易度はいくらか低い。そのため、公立の大学と言ってもレベルが滅茶苦茶に高いわけではない。いくつかの大学をピックアップし、目指す大学の教授に連絡、アポを取って面談を行い、そして夏の院試験の日を迎えた。


 そして結果は、不合格である。



 不合格となったのは夏だ。そこから就職先を探しても十分に就職はできた可能性はある。しかし、大学によっては冬にもう一度院試験がある大学もあった。ただの看護師という将来から、院卒で教授にもなり得るという将来という人生逆転の機会、みすみす逃すということはできなかった。それに、就職活動は春から始まっており、夏になったらすでに人気な病院の枠は埋まっている。院に一直線しかない。



 そして冬の院試験、不合格である。その瞬間、俺のフリーター生活は決定した。



 まだ就職先は探せば見つからなくもない。だが、軒並み不人気、ブラック、新人教育の質の悪さに定評があるような病院ばかりだ。無理に就職して、わざわざリアリティショックを受ける必要もあるまい。それに、看護師の国家資格は腐ってなくなるものでもない。持っていればいつでも就職できる。




 そんな余裕をかまして、フリーター生活を送っている看護師ーーの資格を持っているだけーーの俺は、大阪駅の書店で、本を探していた。フリーターとはいえ、あくまでも浪人生、院試験に向けた勉強の参考書と、ついでにラノベを探していたのだ。文庫本のラノベが陳列されている棚、背表紙に書かれた題名を流し読みし、面白そうなタイトルはないかと視線を右から左へ、上から下へ、そして右へ半歩進んでを繰り返す。


 そして、その中に奇妙な本があった。


 明らかにラノベではない。表紙は赤黒いハードカバーで、革のような材質の表面、書店に並ぶにしては妙に歴史を感じる汚れがあり、サイズは漫画のサイズくらいで分厚さは辞書くらいだろうか。文庫本と並べると、明らかにサイズも色も雰囲気も異なる。誰かが本を棚に戻すのを面倒くさがり、文庫本の棚に突っ込んで置いたのだろう。

 たまにスーパーなどでもこういった場面には遭遇する。お菓子の陳列棚にパンなどが置かれていたり、買おうとカゴに入れ、後になって戻そうとしたら綺麗に品出しされて、戻すことができず商品と商品の間に申し訳なさそうに突っ込まれていたりということは間々あることだ。普段、そういった場面であればスルーするところだが、今回はその本を手に取ってしまった。

 本屋でこういった場面は珍しい。それに背表紙には文字か記号かわからない題名らしきものが書いてあったが、何の本かはまったくわからなかった。ちょっとした好奇心で本を手に取る。日本で売られているなら、日本語でのなんらかの説明文でも載っているだろうと表表紙、裏表紙と確認してみるが、表表紙に背表紙と同じ文字ーーもしくは記号ーーしか書かれていない。


 そして本を真ん中のページあたりで開いてみる。そこにはやはり謎の文字がーー横書きでーー並んでいる。だがその文字の形はどうやら手書きらしい。行が若干歪み、同じ文字と思われるものも形が少し違う。


 「なんだこれは…。」そうつぶやいて文字の羅列を眺めていると、だんだんと文字が歪み出す。そして文字が浮き上がってきた。某アニメ映画で、神様を客とする温泉で働きたいという少女の名前を奪う瞬間のように。そして目眩がしてくる。意識が遠のくのを感じ、体全体がフラフラとしてきて倒れそうになる。


 貧血か…?とりあえず本を戻してーー。 俺はその場で気を失った。

 いかがでしたでしょうか。

 いくつか作品を作り、ことごとく失踪しているワタクシ。なんとかこの作品は続けたいと考えている所存でございます。

 この作品は、作者が看護学生であり、もし看護師が異世界に行けば、看護師レベルの医療知識でも医者になれるのでは!?と思い立ち、書き始めました。

 作者は、最近ラノベにハマりだした、ただの看護学生です。大学の文学部を出たりとか、文章で秀でた能力があるわけではまったくございません。むしろ高校時代は理系でした。ですので、使い方を間違えている言葉や記号、ダラダラと長い文章など、お見苦しい文章があると思いますが、是非、今後も楽しんでくれたらなと思います。

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