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異物



翌未明、宿で支度を終えて待機していると建物に人が入る気配を感じる。

床の軋みの音から大柄な男と判断する。金属のぶつかる音から全身鎧とわかる。

足音に対し、片足を踏み出した時のみ余分な金属音が聞こえることから腰に剣をはいている事がわかった。抜いてはいない。人数は1人。

感覚は鋭敏である。問題無い。


数階分の階段を登る足音と部屋までの足音の後扉が叩かれた。

匂いでサルバであると確認できた。

隣のナウラは腰の短剣に手を伸ばしている。

弟子の感覚も問題無い。


「どうぞ」


ナウラが声をかけると扉が開いた。


「シンカ殿、数日ぶりだ。迎えに来たぞ」


扉を閉めるとサルバは口を開いた。


「シンカでいい。人前では角が立つだろう。我らもそれなりの応対をするつもりだ」


「頼んだ身としてはいえ申し訳ないが、気遣い痛み入る」


「して?」


「うむ。其方達はカヤテ様専属の薬師として近くに控えて貰うこととする。兎馬を用意しよう」


「不要だ。食事は分けて貰えるのか?」


「問題無い。天幕は2人用でいいか?」


「問題無い。我らは何をすれば?」


「ロボクをよく知る薬師としてあらゆる会議でカヤテ様の背後に控え、気になる点があればカヤテ様に耳打ちを頼みたい。良いか?」


「笠を被ったままでも良いならば」


「問題無いだろう。カヤテ様には伝えておく」


「後は」


「取り敢えずは。もう出られるか?」


問われるとシンカは頭巾と口当てを着け、笠を被った。

焦げ茶の瞳と眉間のみが露出する。

ナウラも同じく最後の装備を身に纏う。

彼女は漆黒の瞳だけが唯一空気に触れている部位となる。

木の皮を巻いた背嚢を背負うとサルバに目を向けた。


「怪しい風体だなあ。では、いいな?」


返事は頷くだけとした。

宿を出る。部屋自体は昨日精算を行い引き払う旨を伝えていた。

上客だったのだろう。責任者の男が未明にも関わらず控えており頭を下げられた。


街を北に向けて歩む。人気は無く閑寂としていたが、冬を目前に控えた空気にヒリヒリとした緊張感が漂っていた。


門を出ると街から少し離れた位置で闇の中大量の松明が焚かれ、忙しそうにそれぞれが動き回っていた。シンカは街から出ると複雑に絡まり合った自身に対する危機感の内一つがすっと消えたのを感じた。


根拠も何も無い何とも言い難い感覚だが、シンカはこれを信じている。

青鈴軍に加わると直ぐにカヤテの元に案内された。

数人の人間に取り囲まれ、見た事がある銀色の鎧に袖無しの青い外套を羽織った出で立ちであった。

左腕を背後に回し右手を開いて腹部に当て、頭を俯かせながら右膝を折った。


クサビナでの貴人に対する礼である。


「薬師よ。よくぞ召喚に応じた。我らはこれより赤鋼軍と諸侯軍と合流し、ロボク王国のアゾク要塞を攻撃する。森やロボクに詳しい其の方等に意見を聞きたく考えている。意見があれば忌憚無く述べよ。直答を許す」


「は。シンカと申します。お引立て誠に有り難く、就きましては我らの力尽き果てるまで尽力を誓わせて頂きたく存じます」


口布に加え、僅かに声音を変えることにより声を元のものから乖離させている。声だけを聞いてシンカであると判断できる人間は居ないだろう。


「まず、グレンデーラより北に10里で赤鋼軍と合流する。その後更に10里先の国境でランドルフ・モルドバル伯率いる諸侯勢と合流する。何か懸念はあるか?」


「人の数が多ければ多い程魍魎は襲う事を躊躇います。しかし蟲だけは数に関係無く襲って来ます。蜂や蟻の巣近辺を避ければ被害は無いでしょう」


「場所は分かるか」


「2箇所ほどは。此処から北に6里程、街道から半里の位置に赤目鎧蟻の巣が。この近辺は急いで通り抜けた方が宜しい。次に赤鋼軍との合流地点近辺に八咫火蜂の巣が」


騒めきが起こった。

驚愕の声、恐怖の声だ。


「幸いにして八咫火蜂は縄張りが狭く、ただ通過するだけであれば被害は出ないかと。しかし合流をこの近辺で行うのは知識を得た今賢くありますまい」


八咫火蜂は凶悪な魍魎だ。

巨大な赤い蜂だ。尻から毒を飛ばし獲物を鈍らせる。毒が付着した箇所は火傷のように爛れ、一般的には治す術が無い。

攻撃的で気付かずに近くを通った商隊が全滅する事がよくある。


「うむ。では伝令を出し合流位置を北に1里ずらすよう伝えよ。薬師、他にはあるか?」


「ロボクに危険な箇所があるかは先行して確認をさせて頂ければと」


「まて!」


突如女の声で静止が掛かった。

カヤテの右手に立っていた女騎士がいきり立って怒声を上げていた。


「カヤテ様!薬師風情の言を誠と考え策を立てるのですか!この者が我々を陥れないという確証は無い筈!剰え軍から抜け出るとの事!我らに不利になる様話をし、逃げ出すのかも知れません!」


女の考えは間違ってはいない。シンカが青鈴軍を陥れようと考えて発言をし、それをカヤテが信じてしまえば取り返しの付かない事になる。


とは理解しつつも望まずに此処に来ているシンカにとって、その言いは癪にさわる物であった。

だがシンカが口を開く事は無かった。


明らかにカヤテが怒りを堪えていたからだ。


「シャーニ。シャーニ・グレン」


シンカを扱き下ろす女騎士の名を呼び、口を閉じさせた。


「お前の言う事は私とて認識している。だからこそ此の者を呼んでいる。私が、呼んでいるのだ。此の意味が分かるか?」


「は……しかし此の者は平民で………」


「平民だと何なのだ?その平民より知識が無い私やお前はどうして魍魎から兵を守れば良い?此の者の言う通りにせず被害にあった場合お前は如何に責任を取る?」


「恐れながら、私は無条件で信じるのは危険だと申したのです!」


「平民を侮辱する発言があったがな。で、どうするのだ?」


「私が責任を負い処罰を、死して償います」


「巫山戯るな!お前一人の命で賄える被害ではない!下手をすればグレンデルの滅亡の危機だ!グレンデル一族郎党老若男女皆処刑せねば国中より兵を差し向けられる!分からぬ貴様では無いであろう!」


「それは信じて被害にあった場合でも同じでしょう!」


「私が信じている。言うつもりは無いがその根拠も有る。心配は分かるがこれについてはとやかく言わせん」


言い切ったものである。


「では、一つだけお願いがあります。問題の地点に斥候を出しても森に飲まれるのがおちでしょう。此の者に兵を付けて兵の目で確認をさせるのです」


「ふむ。………薬師よ。問題ないか?」


「あります。我々は街道を先行するつもりはありません。森を行きます。その兵士は我々に付いて来る事は出来るのでしょうか?素人が呼び寄せる魍魎から守っていてはロボクに先行するどころか鎧蟻の巣にも辿り着けないでしょう」


「………それは確かにそうでしょうね。では私が付いて行きます」


カヤテは顔を顰めていたが、他の者も似た様な懸念を抱いているのであれば落とし所はこの辺りだろうと考えているものと見え、長考の後に首肯するのだった。


シンカはこのシャーニという女の体調に意識を向けていた。

カヤテに諫言するにあたり体温変化や鼓動の変化が穏やかに感じられた。

或いはシンカを周囲に受け入れさせる為の芝居である可能性もある。


シンカはいざとなれば置いて行けばいいと軽い気持ちで了承し、直ちに出立するべく匂いの少ない保存食を受け取って、ナウラと余計な一人を連れ夜明け前の畑地を抜けて森へ分け入って行った。




グレンデーラより青鈴軍が発って二日後の事であった。


夕刻外壁の東門を閉じる準備を衛兵が行っていると沈みかけの夕日を正面にして旅人がグレンデーラに近寄って来た。


たった一人で。


目深に被った外套の頭巾から細い顎が見て取れる。白く、そして細い顎だ。

その白さはアガド人の白さを上回る。

皮膚の下が透けて見えるのでは、と懸念される程白かった。


唇は薄く形が良く、色合いも肌に引きずられる様に薄桃色で、血が通っているのか疑わしい程であった。

鼻梁は高く細く鋭利だった。


肩幅や背丈から女であると衛兵達は判断した。とびきり華奢な女だ。しかし身長は5尺半はある。

門に近づく女に対し、兵が一人立ちはだかる。


「グレンデーラに如何用か。顔を見せよ」


旅人は無言で頭巾を取った。

何と無しに兵達には予想できていたが驚く程整った顔立ちであった。


頭巾の下には金細工かと思う程美しい緩い巻き毛の金髪が隠れていた。朝日に照らされる麦畑から豊穣を司る精霊が人の形を取ってやって来たと言われても信じそうだと、兵士達は皆考えた。

こんな髪の色を衛兵達は皆見た事も聞いた事も無かった。


しかし無条件に町へ入れるにはその見目が余りに異様であり、立ち塞がった一人は後ずさりながらも剣に手を伸ばしていた。


女の目は流麗で切れ長な目であった。瞳は晴天の青空の様に薄く澄んでいた。

しかし目に灯る意思は妖艶であり何処か怪しい雰囲気を漂わせていた。


兵士には妻子が居た。凡庸だが幸福な日々を送れていると考えていた。

直感で、今の自分の幸せを失わずにいる為には此の女に深く関わってはならないと感じていた。

近くに居た同僚の中にも何人か同じ様に感じたものが居た様で、冷え始めた気温の中額にじんわりと脂汗が滲んでいた。


「人探しの旅をしております。街に入っても宜しい?」


何を考えているのか全く分からない瞳を僅かに細め、口元に笑みを浮かべた。

爬の蛇の類いがもしも嗤う事が出来たとすれば此の様に嗤うのではないかと兵士は思った。


それ程までに女は胡散臭かった。


精霊の化身かと思われる程の美貌であった。だがそれを帳消しにし、且つ美貌の印象を悪く煮詰めさせる程に女は不吉であった。


「お前、な、名前は?」


「イーヴァルンのヴィダードと申します」


「イーヴァルン?」


「貴男方でいう所の村の名前よぉ」


鈴を転がす様な耳に心地のいい声音だ。

口調も柔らかく丁寧だった。

だが、どうしても兵士は此の女の視界から早く逃れたかった。


「故郷でヴィダードとは愛という意味合いを持ちます。………ですのに、貴方はどぉしてそんなにも私を恐れるのでしょお?」


気付くと兵士の目と鼻の先に女の顔があった。


「お、恐れてなどっ」


「風が教えてくれます。どうしてでしょお?貴男方にとって私は魅力的では無いのでしょうか?里でも、貴男方の村や街でもそうでした。ねえ、兵隊さん?」


ヴィダードという女は兵士より背が低かった。6尺程の背丈である兵士の鼻先に頭頂部がある。

しかし気付けば耳元に囁かれていた。更に近寄り、爪先立っていた。


「と………通れ。グレンデーラでは悪行を働けば厳しい処罰が下る。心せよ」


なんとか絞り出す様に告げ女が通り過ぎるのを見送った。

女の背が見えなくなると兵士は体から力を抜いた。抜く事が出来た。

全身が緊張による脂汗でしとどに濡れそぼっていた。

今日は職務終わりに酒は飲まずに足早に家へと帰り妻と子を腕に抱こうと誓った。


イーヴァルンのヴィダードはグレンデーラに入ると真っ直ぐに薬の卸問屋へ向かった。

店の男は頭巾を被ったままのヴィダードに対し胡散臭げな眼差しを送るが特に何も言う事は無く応じた。


「今此の街に腕の良い薬師は居ますか?」


店の男は妙な質問と感じた様で訝しげな表情を浮かべる。


「なんだ?うちを通さず直接買おうってか?」


「いいえぇ。薬師の知り合いを探しているのです。怪我に使えばたちどころに治る様な薬を作れる薬師です」


店の男は顎を撫でながら一つの小瓶を眺めた。


「知っている様ですねぇ」


にたりと頭巾の奥で嗤う口元を目に留め男は後ずさった。

ヴィダードは可憐にころころと嗤う。


「その薬師はまだ此の街に居るのかしらぁ?」


「………あ、ああ………」


「あらあらぁ!漸く足取りを掴めたわぁ!ありがとうね、おじ様」


ぬっと男の元に顔が突き出された。頭巾の中の瞳と目が合った。

男はその時あらゆる可能性を考え、なるべく此の女と関わり合いにならずに済む方法を取った。


「ま、まだ此の街に居るかは分からんっ!その者が薬を最後に売りに来たのは10日も前だ!二日前に青鈴軍が出立した時に多くの薬師が従軍した!その者が今も尚街にいるか従軍しロボクへ向かっているかは俺には………」


「ふうん?そうですか。情報をありがとうございますねぇ」


女は微笑むと踵を返して店を去った。

男は汗だくで息を吐きながら探し求められている北方出身と思わしき薬師に同情した。


ヴィダードは口元の笑みを堪える事が出来ないまま街を歩んだ。宿を取り、その後どうするか考える事に決めた。


「あなた様ぁ。漸く近くまで来られました。はやく私(わたくし)を抱きとめて下さいねぇ。あなた様のヴィーはずっとずっとお会いできるのを楽しみにしておりましたぁ」



ロボク王国の王都モルンパーチ、その一角に有る王城で謁見が行われていた。

枯れ木の様に朽ちつつある国王ユリウス3世に二人の男が謁見を行っていた。


一人は40代後半のかさかさとした見た目の痩せた男。宰相のマリク・ケンネルだ。


もう一人は20中程の美麗な優男で、名はルドガー・レジェノと言った。若き宰相参謀である。


王城の謁見の間は絢爛で、贅が尽くされていたが、何処か寒々しい印象があった。


ユリウス3世は80を過ぎた老人であったが、老人故の偏屈さを身につけた上にクサビナ王国に対して妄執を抱いていた。


叶う見込みが微塵も無い大国に対する執念は人心を失うのに一役以上の効果を持ち、諸侯はとうに国王を見限っていた。


ユリウス3世は幼い頃に父王に付いて訪れたクサビナの富んだ、麦の黄金色に輝く大地を此の歳まで忘れる事が出来なかった。

美しく輝く清流イブル川流域に築かれた強大な王国。

青く浮かび上がるグレンデーラ、黄色く豊かなファブニーラ、そして白亜の王都ケツァル。


対して自国の見窄らしく貧しい事。

幼心でユリウス3世は自国を恥じた。

王子という立場でなんとか豊かな国に変えようと腐心した20年。


しかし痩せ衰えた土地は黄金色に変わる事は無かった。

父が他界し、王位を継承してからその劣等感は豊かな土地を手に入れる事に執心する様になる。


そして10年前。

ユリウス3世は老いてからようやっと産まれた一人息子を戦争で失った。

息子に軍を指揮させ、クサビナの土地を切り取らせ、華々しい継承を行わせる予定だった。万全を期した行軍だった。


しかし息子達は赤と青の軍勢の前に破れ、産まれたばかりの孫を残し多くの物を失った。その中には諸侯の忠誠心も含まれていた。


ユリウス3世は朽ち果てるだけだった。

そこにこの宰相マリクが策を持って来た。完全な策に思えた。いや、完全だった。


精強と名高い鉄鬼の団が壊滅するまでは。

ミトリアーレを捕える事が出来なかったがまだ可能性はあった。グレンデルを憎むファブニル一族と、グレンデル一族の強い影響力を懸念するクサビナ宰相と通じグレンデル領を切り取る策は万全に思われた。


だが結果はお粗末な物で、魍魎に蹂躙され、たった一度の機会は失われた。

そして今や精強な兵がアゾク要塞へと迫っているという。


「陛下。アゾクは屈強な要塞で御座います。然しものクサビナ軍とは言え容易に落とす事は出来ないでしょう。西のラクサスと結べば………」


「ラクサスは……動かぬ……」


ユリウスが援助を求めたラクサス王国は使者を持て成したものの手ぶらで城から追い出したと言う。

ユリウスは既に絶望していた。

国王はそれ以降口を開く事は無かった。

マリクとルドガーは場を辞してマリクに宛てがわれている部屋に赴いた。

人気の無い閑散とした城内であった。


「陛下は最早当てには出来ぬ。我が身は自身で守るしか無いのぉ」


マリクは椅子に掛けて呟いた。


「然しもの諸侯も自らの土地が危機に瀕しているともなれば協力を惜しまないでしょう」


王軍は既に先の戦で壊滅しその数は5千を下回っている。諸侯は力を結集しなければ土地や権益を失い、最悪処刑を待つ身となる。大国相手に降伏は意味を成さない。

ルドガーは時間を掛けて諸侯と面識を持ち、そうした認識を植え付けて行った。

恐らくクサビナは諸侯の命などに価値は見いださないだろう。

クサビナは豊かな国だ。大陸の中央に位置し、資源が豊富で交通の要所でもあり、豊かな大地に発達した農産業まで持っている。

ロボクの痩せた土地など必要としていない。


何故此処まで格差の有る大国に執心し度重なる攻勢を仕掛けるのかルドガーには理解が出来なかった。


「ルドガーよ。アゾクは落ちるであろうか?」


「幾らクサビナと言えど、アゾクに1万の兵が籠れば容易には落とせないでしょう。私が赴き指揮を取ります。鉄鬼の団残党を私の護衛に付けて頂けるでしょうか?後は王軍5千、諸侯勢5千。これを私の自由に動かせる様手配は可能ですか?」


宰相マリクは自身の参謀を信頼していた。

彼の献策は常にマリクを助けて来た。


「なんとかしよう。なんとか防いでくれ」


「必ずや」


草臥れた宰相の部屋を出たルドガーは一人考える。

ルドガーはロボクの弱小貴族の3男として生を受けた。

弱小国の弱小貴族の3男。ロボクでその立場であれば、普通ならそこいらの農夫と変わらない将来が待っている。

だがルドガーは聡い子供であった。良い見目と頭を駆使し、人に好かれ非常に巧みに立ち回り、始めはその賢さを求めた周辺貴族の婿という立場を手に入れた。


だがルドガーの肥大した自尊心は弱小国の中堅貴族の跡取りという立場を良しとはしなかった。

知識を取り込み美しい相貌に牙を隠して来た。

始めに牙に掛かったのは自らの妻であった。15の折に婿に入った先の妻は能力も見た目も自身に見合っていないと考えていた。


3年の忍耐の上、計画的に事故に遭わせた。レジェノ家の跡取りとして宮廷に出入りするうちに作られた人柄で味方を増やし、やがてより高貴な人々との付き合いを得られる様になると、とうとう宰相と面識を持ちその信頼を勝ち取るに至った。


先のマニトゥー大使暗殺から端をなす一連の騒動はルドガーの入れ知恵であった。

策が破られた事を知った時は衝撃を受けた。

如何に自分が狭い世界で生きて来たのかを思い知った。


ルドガーは未だに、自分はより高みへ登る事が出来ると考えている。




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