中世風異世界で、チートを使わずにマヨネーズ無双をするには色々と課題が多そうです

問題はマヨネーズ無双であって、マヨネーズの再現ではありません。

マヨネーズは卵と酢と油があれば出来るそうなので、材料の確保が出来れば再現は問題ないと思われます。

問題なのは、マヨネーズを市場に出して大人気となる展開です。

これは止めておいた方が良い気がします。

理由はいくつかあります。

その前に、日本で一般国民が卵を気軽に食べられる様になったのはいつ頃からかご存知でしょうか？

昭和３０年代みたいです。

１９５０年代なのですね。

それまでは、卵は庶民には気軽に買える物ではありませんでした。

戦前からマヨネーズもあったみたいですが、随分と高嶺の花だった様です。

日本ですら、戦後にならないとマヨネーズで無双するなんて無理でしょう。

だって、原料を満足に集められないのですから。

卵が大量に生産され、普及した理由は簡単で、アメリカから莫大な量の飼料が輸入され始めたからです。

飼料と共に近代的な養鶏技術、鶏種の導入がなされたので、日本でも庶民が卵を気軽に食べられる様になったのです。

異世界でマヨネーズを普及させるには、まずもって飼料、養鶏技術、産卵率の良い鶏種の作出という条件が必要となります。

ちょっと厳しくないですかね？

まずもって、飼料の生産が一番の難問です。

家畜に飼料として穀物を与える前に、人間が飢えているのが中世レベルの世界だからです。

家畜に穀物をやってたら、多分暴動が起きますよ。

当時、人口は農作物の収量に大きく左右されると思われます。

人類の人口推移のグラフを検索してもらえれば分かるかと思いますが、産業革命付近から徐々に増え始め、農業革命以降に人口爆発です。

産業革命で何が変わったかと言えば、蒸気機関を使った農業機械の発明ですね。

これで、これまでよりも少ない人数で土地を耕せる様になりました。

農業革命とは、化学肥料と化学農薬、それに適応する品種の改良です。

それら無しには近代・現代社会はあり得ません。

産業革命など程遠い中世レベルの世界であれば、例えばチートで農産物の収量を増やしたとしても、増やした分だけ人口が増えるのに留まるでしょう。

飼料には回せず、鶏なんてとても飼える余裕はありません。

養鶏の技術には色々とありますが、鶏は短日条件で産卵が抑制されるみたいです。

要はお昼が短くなると卵を産まなくなるのですね。

ですので、現代では夜の電灯が必須です。

夜を明るくする事によって産卵数の低下を防いでいるのです。

ファンタジー世界であれば、魔法で明るくする事も出来るかもしれませんが・・・

後は鶏舎の構造ですかね。

鶏は新鮮な空気や水が無いと病気に罹りやすいので、その辺りは大事です。

集団で飼うと病気が蔓延しますが、そこらは回復魔法で良いのですかね。

品種改良も大切です。

代表的な品種は白色レグホーンとブラウン系でしょうか。

品種改良は古代から行われていますから異世界でも行われている可能性が高いですが、集団としての産卵率、産卵数の向上を目指した品種改良を行う必要があるでしょう。

因みに、産卵数自体の記録は、日本の育種家が作出した個体の記録で、一年で３６５個らしいです。

でも、個体の記録を誇っても仕方ない。

養鶏場では集団の産卵率が大切なのですね。

平均値が大切です。

以上の事を踏まえると、マヨネーズ無双は難しいのではないでしょうか。

精々、王侯貴族豪商の間だけで持て囃される程度に留めるべきかと思われます。

贅沢品で良いのではありませんか？

話は変わって、マヨネーズが異世界人に毒という設定です。

科学的に考えると、マヨネーズは油を卵黄によって乳化した物質ですので、原料の諸成分が化学変化を起こした訳ではありません。

ですので、もしもマヨネーズが毒であれば、そもそも卵が毒か、油が無理か、お酢を拒否するのか、どれかに該当すると思われます。

組み合わせによって毒となるのであれば目玉焼きも無理っぽいですし、目玉焼きのドレッシングにお酢を掛けたら毒になってしまいますよね。

生卵がヤバいのなら、可能性はありそうです。

異世界人は卵を必ず加熱して食べる、とか。