神様不在
「神様業務ってなんですか?」
私は当たり前の疑問を聞いてみた
ダイスケはゆっくりこちらを振り向き
「神様業務ってのはね〜、そのままの意味さ、神様の仕事をする場所だよー。例えば自殺しても助かったり、大規模な災害でも命が助かる人がいるよね〜?あれは全部神様が1人1人助けているんだよね〜」
そう言うとダイスケは座り込みはじめた
ぶつぶつと何か言っている1人の男性を指差す
「あの人なんて今助けている最中だね〜、何か紛争でもおきて、きっと助ける人とそうでない人とを選別しているんだよね〜」
私は驚いた1人の神様が1人1人を助けている?
もっとこうパパッと不思議な力で
助けられるのではないのか?
「助けられるのには基準みたいなのあるんですか?もっとこうチャチャッと助けてあげれば効率良いと思うんですが?」
ダイスケは座り込みあぐらをかきながら
顔の前で何度か右手を左右に振る
「無理無理、無理なんだよね〜、神様って言っても万能じゃないし、出来る事は限られているんだよね〜、天災とかは防げないし疫病も防げない。あれは地球が起こしてる自己防衛なんだよね〜、細胞の話しはしたよねー?細胞の防衛本能から増え過ぎた癌細胞を間引きすることなんだよね〜、だから神様でも防げないのが現実、でもおきた天災とかからは1人1人を選んで助けてあげるわけ、神様も楽じゃないねー」
私は立ったまま指差す
「じゃああの話しているグループは?何をしているんですか?何かの会議?」
ダイスケは少し下を向きゆっくりと
ため息をしながら左右に首を振る
「あれは何もしていない。ただ話しているだけのグループだね〜、発展途上国や紛争の絶えない国があるよね?その国の担当神だよー」
私はまた驚いた
「え?じゃああのグループの国は今神様不在って事ですか?助けてあげられる命を見てないって事ですよね?」
少し感情的になって話す私を
ダイスケは優しい笑顔で見ている
「そうだよー。助けてあげられる命を助けないで、談笑しているんだよね〜、日本生まれのユウジには理解出来ないだろうけど、命の大切さは国によって価値観が違うのさ、生きるよりも死んだ方が楽な国もあるんだよね〜、悲しいけどこれが現実かなぁ〜」
私は納得出来ない
命の価値は皆んな同じ様に扱われるべきだ
しかし生きる事が地獄な国もある
それらを考えていると
複雑な気持ちになってきた