天使
カレーを食べ終わった私は
満腹感はなかったが満足感はあった
カレー屋を後にして歩き出した
「さてとそろそろ、勉強始めますかぁ?」
ダイスケがつまようじをくわえながら
ゆっくり歩きそう話してかけてきた
私は疑問に思っていた事を聞く
「あの店員さんは?死んだ人ですか?」
ダイスケは右手を顔まで上げて
手首を使い またぁ という素ぶりをして
「ははは〜〜、違いますよー。あれは天使です、定時の仕事以外に働いて徳を積んでいるんですよー」
「天使?あの店員さんが?普通の若い男性でしたよ?天使ってもっと天使!って感じじゃないの?それに徳って何ですか?」
ダイスケはつまようじをぽいっと捨てる
床に吸い込まれる様につまようじは消えた
「やっぱりそう思うよね〜、私も最初はそうだったなぁ〜、絵本に出てくる様なハダカで背中に羽の生えた天使、それが天使のイメージでしょ〜」
そう話しながら奥へと歩き出した私も後を追う
「実際は普通の人間と変わりませんね〜、女性もいるし年老いた天使も居ますね〜、そして徳を積んで下界に降りるために働いているんです」
「下界に降りるため?やっぱり下界でなにか天使的な事するんですか?」
私はてっきり恋のキューピッドや
天国へと旅立つ人のお迎えかと
想像していたがどうやら違うみたいだ
ダイスケはまたも笑っている
「ははは〜〜、違いますよ観光ですね〜、天界にも無い物があるんですよね〜、四季とかです 寒い 暑いって概念が天界ではないんです。なので私達の受け持っている日本は、天界屈指の人気スポットなんですよ、雪祭りなんてツアーが出来るほど人気ですよー、でもたまに徳を積んでないのに下界に降りて、堕天しちゃう天使も居るくらいです」
確かに天界は暖かくてとても過ごしやすい
私はこっちの方がいいのだが、、、
ダイスケは話しながらまだ歩いている
タワーの展望台の様にぐるっと
回れる様な作りになっているみたいだ
途中でいきなりダイスケの足が止まった
「話しながら歩いて喉乾いたなぁ〜、スタパでコーヒーでも飲もうか?」
喉が乾くという概念はあるみたいだ
私は無言でゆっくり頷く
ダイスケがまたも壁に向かって
「スタパ!」というと
そこの壁がスタパとなる
またも下界と変わらないが
店員は頭に天使の輪が浮かんでいる
「抹茶フラペチーノトールで」
ダイスケが早々に甘めの物を注文している
「私も同じので」
またもテーブルからすぐさま出てくる
席に座ってダイスケと話しを再開する
「私からしたらここが天国なんですが、天国はもっと良い場所なんですか?」
ダイスケがふふふと笑って
「基本的にここと変わらないよー、ただ神様業務があるのか無いのか。の違いくらいかなぁ〜」