まさかのカレー
空いた口が塞がらない私を見て
元神の男性はクスクスと笑う
「自己紹介がまだだったね〜。僕はダイスケ貴方はユウジだったよね〜?」
私は今更?と思いながらも
「あ!ハイそうです。よろしくお願いします」
空いた口のまま間抜けに答える
それにダイスケは笑顔で答えてくれた
「病気の事も生まれて何をしてきたのかも、全て知ってるからね〜。マユミさんは残念だったね〜」
私の初恋の相手であった
そこまで見られているなんて
淡い片恋の記憶が蘇って私は赤面してしまった
「病気の薬は天部薬剤部から受け取ってね〜。通院も天部精神科があるから安心して、お腹は空かないからね〜。食べる必要はないよぉ〜、必要はないけど一応食べ物はなんでも揃ってるからね〜」
天部?天界にも色々な部署があるんだ!
食べる必要はないのか
CoCo弐のカレーが食べたいな
そんなことを考えてしまった
ダイスケがニヤリと笑い
「CoCo弐天界支店もあるから安心してね〜、他にも下界と同じ食べ物はなんでもあるから」
この考えを読まれるのはどうにかしてほしい
プライバシーのカケラもない
「あ!じゃあクローズでいきます?一応僕からシャットアウト出来るんですよねー」
そんな機能があるならば先に説明してほしい
「すみませんが、じゃあクローズでお願いします。なんだか恥ずかしいです」
ダイスケはニコリと笑い右手でOKサインを作る
「分かりました、じゃあクローズでいきましょう。ただ不便なので何かあれば、些細な事でも質問してくださいね〜」
私も右手でOKサインを作り
「分かりました。よろしくお願いします、でも私勉強苦手で物覚えも良くないですよ?大丈夫でしょうか?」
私は不安だった
テストでそんなに良い点数がとった事もない
赤点ほどはいかないが50〜70点くらいが
私のテストのとれていた点数だ
しかも神様ってなると
それなりに難しいはずだ
ダイスケはニコニコしている
「大丈夫ですよー、下界の勉強とは全く違いますからね〜。国語や数学なんて教科は出題されませんよー、天界では言葉は全世界共通語なので英語も出ませんね〜」
私は安堵する英語が1番苦手だったからだ
「まずは何をしたいですか?」
ダイスケの突然の質問に戸惑う
「えっ?何かしたい事ですか?えーと」
私はしばらく考えて
「お腹は空いてませんが、あるならばCoCo弐のカレーが食べたいです」
生活保護を受給していた私には
CoCo弐のカレーはなかなか食べられない
少しお値段のするご馳走だったのだ
「でもお金持ってませんが、食べられますか?」
私はおどおどと聞く
またもダイスケはニコリと笑い
「ははは〜、食べ物飲み物全て無料ですよー。全て天部の費用で落とされますね〜、じゃあこっちに来てください」
ダイスケは最初に登って来た
階段に方へ歩き出した
私は少し遅れてゆっくりと着いて行く
なるほど見えてなかったが
確かに下に通じる階段がある
ダイスケは階段の中ほどで振り向き
チョイチョイと手招きして着いて来いとする
私は恐る恐るゆっくりと階段を降りる
階段を降りると何もない
真っ白な広い空間に出る
天井も白い壁も床も真っ白だ
その真っ白な壁に向かって
ダイスケが「CoCo弐!」
少し強めの口調で叫んだ
すると真っ白だった壁はみるみるうちに
CoCo弐の店舗へと変わる
変わるとダイスケはすぐさま店内へ入る
私も後を追って店内へ入る
店内の作りは下界と全く同じだ
カウンター席に座ると
頭の上に天使の輪がある男性店員が
注文を取りに来てくれた
ダイスケは「久しぶりだし僕も食べるか〜、野菜カレーの3辛 量は普通で」
私はいつもの「手仕込みカツの500gチーズミックス辛さは普通で」
店員は手元の機械をピッと入力すると
目の前のテーブルが丸く開き
今注文したカレーとスプーンが出てくる
なんて便利なんだ?
私は驚いて見とれていたらダイスケが
「食べないと冷えるよー」
ダイスケはもう食べ始めている
私もスプーンを取り
久しぶりに食べたカレーは
下界のよりも美味しく感じた