(129 β ――集え、七つのヒロイン。そして、ハーレム合体!)
ありがとうございます。
こちらは129話までを踏襲した、おまけ要素な「129β話」です。
「あれ? 私なんで、時計塔広場にいるんだっけな?」
明るい陽射しのなか、エリがぽつんと広場に立つ。
ただし、当人はどうしてここにいるのか、思い出せない様子であった。
――そこへ。
「エリのお姉ちゃん、やっほー」
「あ、ココアちゃん」
ふと後ろから、手を振り現れた幼女ココア。
エリはその可愛さにほっこりする。
――そこへ。
「あら、エリさん、ご機嫌麗しゅう」
「へ? ラティさん!? どうして、ここに!?」
驚くエリに、黒き魔法士の少女ラティスがにこやかに微笑む。
――と、そこへ。
「人間の女。全然人間のアレク来ない。どうしてだ?」
「あ、ガザニアさん」
いつからいたのか。
竜娘ガザニアが尻尾をふりふり、退屈そうな顔である。
「ごめんなさい。たぶん、もう少しで……って、あっ、そういえば、私ってここでアレクを待ってたんだ……け?」
「にゃあ。なら、アレクの旦那じゃにゃい、ニャーはお呼びじゃない子にゃーねー」
「うわ、知らない人が来た!?」
エリの横から、ひょいと現れた活発そうな少女。
帽子を被る少女は、竜娘とはまた違う細く白いそれをふりふり。
「お、お名前を聞いても?」
「ニャーのとこの家訓にゃと、名前を尋ねるなら、まずは己の名をにゃ乗れ! って教えにゃ」
「す、すみません。初めまして、私はエリです」
「ニャーはニャーにゃ」
「ココアもにゃーにゃ」
幼女が両手をグーにして、楽しそうにじゃれた。
――と、そこに、である。
いつの間に紛れ込んだのかわからないままに、白い人影が増えていた。
「ちなみに、ウチはハタチ以上ミソジ未満のお姉さんで、よろしく~」
巫女なお姉さんが、そう自己紹介する。
「ま、また知らない人だ……」
とくに人見知りなエリでもないが、どことなく居心地の悪さを感じる。
そんな気持ちで、辺りを見回すと、そこに安心できる顔を発見した。
「わ、ヨーコさん!」
エリの声に、とことこ落ち着いた様子で歩み寄った、ぱんだ亭店主ヨーコ。
「なんだかねえ……」
「どうかしましたか」
「いやさね。ここに集まる娘達を見渡してたら、アタイが、みずみずしい果物の中に混ざる、じなびれた野菜みたいに思えてきたさね……」
「それなら、人族と魔族のハーフなニャ―は、果菜にゃーねー」
「よくわかりませんが、ニャーさんナイスフォローです!」
ヨーコの嘆きに沈黙するしかなかったエリには、話の流れも変わる嬉しいニャーの介入だった。
――と、乙女達がきゃいきゃいしている最中に、奴が出現する!!
「集まったようだな、俺の下僕係どもよっ」
時計塔の上部から、アレクがでで~ん。
とりゃ~と飛び降りてくる。
「よし。では、番号を言えっ」
「え、え? 番号?」
戸惑うエリをよそに、アレクの指示に元気いっぱい幼女が反応する。
「はーい。ココア1号なのだー」
「私は、お兄様の2号でも構いませんことよ」
黒き少女が2号を申し出た。
「なら、ガザニア、3号か?」
「にゃあ、そこは”ぶいすり~”って言わにゃいとダメにゃーねー」
「それ、なんだ?」
「だぶるたいふーん、にゃ。あと、ニャーは4号にゃ」
人間っぽい娘組の番号が決まる。
「ウチは5号で~」
「アタイは、6号さね」
ハタチ以上組の番号が決まる。
そうして、1号から6号までの乙女がエリに注目するのだった。
「じゃ、じゃあ、私は……7号で、よろしくお願いします」
「よし、では、下僕係ども俺と合体だ!!」
「はい? アレクと合体!? え、え、どういうこと??」
混乱するエリをよそに、他の乙女達が『おおー!!』と掛け声を上げていた。
さすれば、である。
――ぴか、ぴか、びかあああちゅううッッ!
辺り一面が眩いばかりの光で覆われた。
そして。
ずどどど~ん。
『だあはははっ。機動鋼鉄巨大戦士、アレクダム見参!!』
アレクの装いをした巨大な鋼鉄の物体。
それが、プジョーニの街を見下ろすようにしてそびえ立つ。
『ぎゃあああ、何これ!? 私、私がアレクで大きくなってるううう』
『アタイもそう人生を語れるほど長く生きちゃいないけど、生きてりゃいろいろあるもんさね』
『立ちあがれ~、立ち上あれ~、立ち上がれ~、アレクダム~♪』
『巫女なおねいにゃん。アレクダムはもう立ち上がっているにゃーねー』
『ココア、び~む見たいー、び~むっ』
『ああ、こうしてお兄様と一緒になれる日がくるなんて、ラティは、ラティは……』
『アレクダム、尻尾ない。動きにくくないのか?』
尻尾がない乙女も混ざる機動鋼鉄巨大戦士。
その影響があったのか。
『う、動いた!?』
そうエリが感じてすぐ、アレクダムが転倒した。
人類にはまだ早すぎた一歩だったようだ。
そして。
『きゃあああ、プジョーニの街がああああ』
――まさか、暴走!?
などなくとも、街の半分を破壊する衝撃を起こしたそれだった――――。
――――。
――。
「はっ」
がばっと、ベッドのエリが上体を起こす。
隣では、すぴーすぴーとココアが寝息を立てる。
「全然思い出せないけど……すんごい怖い夢を見たような気がする……」
そうつぶやいてすぐ、エリが大きなアクビをひとつ。
むにゃむにゃと口を動かしながら、またベッドに潜り込んだ。
つかの間、寝息を立てだしたエリは、再び眠りにつく。
このしばらく後の忍び寄る影を知らずに。
それが、永遠の眠りとなるかも知らずに――――。
ありがとうございました。
今回のお話は、とあるご作品に感化され、カエルも「7人の美少女とハーレム合体してえ!」から書いた勝手に捧げるお話となっています。(`・ω・´)ゞ
楽しんでいただけましたら、幸いです。
また、
なんか感じるものがあるッッ! という読者様がいらしゃいましたら、
その素敵な直感で『スライム・ハーレム』のネット検索をおすすめ!




