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第二王子の初恋 2

アンジェリーナが二人の王子と共に王宮で勉強をするようになってから三月が経つ頃には、三人の仲は随分と気安いものとなった。アンジェリーナはその愛らしい外見に似合わず、二人の王子に対して、随分とはっきり物を言う令嬢だった。

王子と言えども、やんちゃ盛りのクリストファーとフェルディナントはしょっちゅうイタズラをしては、その度に二人してアンジェリーナに叱られた。



クリストファーとフェルディナントの機嫌を損ねまいと、必要以上にへりくだったり、嗜めているのか分からない程もってまわった言い回しをする大人達が多い中で、アンジェリーナの叱責はストレートで遠慮がなかった。

それでもクリストファーがアンジェリーナを嫌いにならなかったのは、言い方はキツくとも、彼女の言葉が自分達を思ってのものだと分かっていたからだった。



「ねぇ、フェルディナント。アンジェリーナは、僕達に対して遠慮なく物を言うけど、仮にも公爵家の令嬢があんなストレートに感情を露にして大丈夫かな?」

「アンジェリーナは、いつも僕達の心配ばかりしているけど、彼女の方こそ心配だね」

本音は笑顔の裏に隠して、勿体ぶった言い回しをするのが是とされる貴族社会において、アンジェリーナは浮いてしまうのではないか。

心配して、クリストファーとフェルディナントは王妃に相談したことがある。

二人の話を聞いた王妃は、嬉しそうに笑って答えた。



「まぁ、あの子もあなた達の前では、そんな年相応の態度を取るのですね。安心しなさい、アンジェリーナはあなた達二人といる時以外は、きちんと公爵令嬢らしく振る舞っておりますよ」



王妃の言葉に、よくよく思い返してみると、確かにアンジェリーナが遠慮なく叱責して来るのは三人でいる時だけだった。

大人達の前では猫を被っているのかと、クリストファーが一度聞いてみたところ、怒りで頬を赤く染めたアンジェリーナに物凄い勢いで怒られた。

本当は色々言いたいことがあるらしいが、他の人間の前で容赦なく叱責すれば、クリストファーとフェルディナントが侮られると、我慢しているらしい。



真剣に向き合ってくれるアンジェリーナの気持ちが嬉しかったことと、両手を腰に当てて、ぷりぷりと怒るアンジェリーナの表情が可愛かったこともあって、クリストファーはフェルディナントと共に懲りずにイタズラを繰り返した。



クリストファーとフェルディナントの母親は王家に嫁ぐ前から仲が悪く、彼女達の実家もお互いの家を敵視しており、常に張り合ってきた。

クリストファーとフェルディナントの関係は良好だった為、ことあるごとに、フェルディナントに負けてはならないと繰り返す母親や親戚の貴族達に、クリストファーは内心辟易していた。



常にクリストファーとフェルディナントを比較してくる大人達と違って、アンジェリーナは決して二人を比べるようなことはしなかった。



ーこのまま、フェルディナントとアンジェリーナ、三人でずっと仲良くしていられたらいいのに・・・・・・。

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