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第二王子の初恋 1

本編では書ききれなかった、クリストファー王子の話です。

クリストファー王子が、アンジェリーナ・ローゼンクロイツ公爵令嬢に初めて会ったのは七歳の時だった。

今後王宮で王妃教育を受けることになった為、父であるローゼンクロイツ公爵と共に、クリストファー王子とその母、マリアンヌ妃に挨拶に来たのだ。

深い紫色の大きな瞳に、月の雫を溶かしたようなプラチナブロンドの髪の美しい少女だった。その容貌は、立派な髭を蓄えた強面の公爵よりも、どちらかというと、公爵の妹にあたるという王妃にそっくりだった。



「お初にお目にかかります。ローゼンクロイツ公爵家の長女、アンジェリーナにございます。以後、お見知りおきを」

鈴がなるような声でそう言って、淑やかに淑女の礼を取るアンジェリーナは、クリストファー王子と同じ七歳だというのに、随分と大人びて見えた。



ローゼンクロイツ公爵とアンジェリーナが退室すると、マリアンヌ妃はクリストファー王子を側に呼び寄せて言った。

「クリストファー、いいですか。アンジェリーナ嬢はゆくゆくは王妃になる令嬢。つまりは、貴方の将来の妃になる令嬢です。これから仲良くするのですよ」

「かしこまりました、母上」

マリアンヌ妃の言い付けに、クリストファー王子は特に疑問を覚えるでもなく素直に頷いた。


-あの子が、僕の婚約者か。可愛いし、ローゼンクロイツ公爵が後ろ楯になってくれるなら、悪くないな。



その日以降、クリストファー王子はアンジェリーナと度々、王宮で顔を合わせるようになった。

第一王子であるフェルディナントと共に、歴史や政治、語学、マナーやダンス等を学ぶ際に、アンジェリーナも加わるようになったからだ。

アンジェリーナは非常に優秀な令嬢だった。

クリストファーやフェルディナントは、理解力が高く記憶力もいいと、常々、教師たちから褒められていたのだが、その学習スピードに遅れることなく、アンジェリーナはぴったりとついてくる。

おまけにアンジェリーナは、二人の王子達との勉強の他に、王妃になる為の勉強までしているというのだから、クリストファー王子は頭が下がる思いだった。



「アンジェリーナ嬢はまさに、王妃となる為に生まれてきたような令嬢ですな」

「いやはや、アンジェリーナ嬢が支えて下されば、クリストファー殿下の王位は安泰ですな」

口々にアンジェリーナを褒め称える、マリアンヌ妃の取り巻きや親戚にあたる貴族達の言葉に、クリストファー王子は、自分のことでもないのに、何となく誇らしい気持ちになった。



勉強の時間だけでなく、王妃が二人の王子を招いて後宮の庭園で催す小さな茶会。そこにもアンジェリーナは参加するようになり、クリストファー王子とアンジェリーナが共に過ごす時間は更に長くなった。



同年代の子どもが周りにいなかった二人の王子は、すぐにアンジェリーナと仲良くなった。



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