鏡迷宮
君が君だから……
君が君だからこそ僕はこんなにも愛おしい
だから僕の全てを使ってでもこの鳥籠の中に閉じ込めておきたい
僕は僕に君を渡したくないんだ……
―――そうでしょう?
コポリと、コポリコポリと音がする。
あたしが生命を紡ぐ度に奏でる音の旋律。
あたしがまだ生きてる証でもあり、この狭い世界に閉じ込められている証でもある。
前回の目覚めからさほど時間が経っているようには思えないのに随分長い間眠っていたように感じる。
あたしはこの狭い世界の境界線に手をあてて、その向こうを見る。
誰もあたしの目に写らない事を祈って。
だけど今回の夢はあんまり記憶に残ってないな。いつもならしっかり忘れずに覚えているのに。だからこそ現実の世界であたしの目に写ることが怖くて動いているのに。
……変な日もあるんだな。
「やあ、麗紅。目覚めたかい?」
「誰?」と呟く代わりにあたしの口にはめられている器具から空気が漏れる。コポリと、天に登る。
「あぁ、君が喋れないことはわかってるから大丈夫。第一そんな風にしたのは僕だしね」
「どういうこと?」と呟くことが出来ない代わりに首を僅かに傾げる。その小さな動作でも、目の前の“白い男”には伝わったらしい。ふふと小さく笑いながら手を境界線に当てる。
「相変わらず君は可愛いよ。ごめんね、こんな形で君を閉じ込めて。でも君の能力は必要だし、それに彼が君を求めるから……ね?」
“だから僕の為におやすみ”
彼と視線が絡み合いそう囁かれた瞬間、あたしは次の世界へと飛んだ―――
亀更新ごめんなさい!
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