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2話~猫被り佳人とまだまだ未熟な若者達~

なにか違和感あるなぁと思いながら執筆していたのですが

ふとキャラクターの設定見直すと主人公の名前を間違っていました。

Oh…

主人公の名前を間違えて執筆し続ける作者なんて他にいるのでしょうか。

早い段階で気づいてよかったです(笑)

すでに読んでくださった読者の方はすみませんm(_ _)m

ブックマークしてくださっている方がいるのにこの失態!本当にすみません。

ブックマークしてくださっている方ありがとうございます。

読んでくださった方ありがとうございます。

まだ完結しないよ?

第二話

 冒険者ギルド。

 依頼をするものとそれを請け負う者との間に立ち、仲介を行う仕事の斡旋所。



 冒険者達はここで依頼を見定め己の力に見合った仕事を見つけ日々の糧とする。


 

 冒険者の花形とも呼べる仕事は主に魔物の討伐になる。そのため上を目指す冒険者は常に危険が付きまとう。しかしその分報酬はでかい。成功すれば地位も金も名誉手に入る、夢の大きな仕事と言えた。



 実際はそんな甘いものではないのだが、夢を見てここの門を叩いてやってくる若者は日々絶えない。



 そして冒険者ギルドの設置されている国は多く、この大陸だけでなく別の大陸にもその勢力を伸ばしている。そのため冒険者ギルドに登録している人数は一国の人口を優に上回っている。冒険者ギルドとは非常に大きな組織であり、この世界に欠かせない大きな歯車の役割を成していた。



 メレスは冒険者ギルドに来ていた。護衛の任務までまだ日数があるため依頼を見定めに来ていた。



 掲示板に張り出されている依頼を一つ一つ確認する。ここに張り出されてある依頼の中ではメレスに見合ったものは見つけられなかった。



 そのため最新の依頼の中で良いものは無いかと尋ねに行くメレス。受付に近づくと男女混合のパーティーが受付嬢の職員となにやらもめていた。

 


 「なんでだめなんだ!もう次のランクの依頼を受けてもいい頃だろう!」



 男は声を荒げるが受付嬢は動じない。このぐらいの事は荒くれ者が多いこの冒険者ギルドでは日常茶飯事の出来事だった。



 「何度も言いますようにお客様の実力が足りていないとこちらで判断いたしましたので、こちらの依頼を受理することはできません。何卒ご理解とご協力をお願いします。」



 そう冒険者は依頼を自由に選択することはできない。もしそのパーティーが実力不足だと判断されたらその依頼の受理をギルド側が断ることができるのだ。



 難易度制限制度と言い、冒険者達に無謀な挑戦をさせず死なせないための制度なのだ。特に中堅入りたてのような者達は自身の力を過信し、強敵に挑んで身を滅ぼす事がよくある。



 外で勝手に挑む分には問題ない。決して推奨できるものではないが、ギルド側は依頼の絡まないプライベートにまで干渉はできないからだ。



 だからせめて無茶をしようとする冒険者達を受注の段階で止め、生存確率を上げようというのがギルド側の考えだ。実際にこの制度導入後生存率はあがり、高ランクの冒険者も増える結果になったのだ。



 この結果があるため基本的にこの制度に対する理解は冒険者側にもあるのだが、なかなか次にステップアップすることができずにこうやって焦りで文句を言う冒険者も多いのが現状だ。



 「確かに貴方達はCランクに近い実力ではありますが、このクエストは貴方達では荷が重すぎます。せめてもうひとりメンバーがいれば話は別なのですが。」



 男のパーティーは4人構成だった。男女それぞれ半々だ。剣士の格好をした高身長の男が一人と短剣を持った軽身な女が一人、こちらは恐らくシーフだろう。そして杖を持ったローブ姿の魔法使いの女に弓を肩にかけ矢筒話を背負った弓士の男がいた。



 バランスのとれた構成といえた。先程の話の内容からすると、この男のパーティーはCランクの実力に近いDランク冒険者であり、今受けようとしているクエストはCランクのもの。



 比較的簡単なCランククエストならギルド側は発注できなくもないが、今冒険者達が受けようとしているのはCランクの中でも難易度が高いもののため、最低でもメンバーをあと一人用意できないとギルド側は危険と判断し発注はできない。というところだろうか。



 「あと一人とか都合よくいるわけねーだろうよぉ・・・」



 男の声には先程の大声とは違い弱々しい声音だった。長く揉めていたのだろう。受付嬢が折れないため、男は諦めようかと考え始めていた。



 Cランク冒険者は一人前の証である。そんな者がたまたま一人でここにいるとはあまり考えられないし、知り合いも今は冒険に出かけていてこの街にいない。だからと言って実力の足りていないDランク冒険者を連れて行く訳にはいかない。



 せめて自分達と同等はないと仲間に加えることはできない。そしたらもう1パーティー増やす合同にするかだがそうすると分け前ががくんと減ってCランクのクエストを挑戦する意味もなくなる。八方塞がりだった。



 「ここは諦めて素直にDランクのクエストでいいんじゃない?Dランクのものでも探せば報酬のいいものもあるわよ。きっと」



 シーフの女が剣士の男にそう言うが、踏ん切りがつかないのか考え込む。



 「私ならちょうど空いていますよ」



 4人の後ろから声をかけると突然の事で一斉に体をビクリとさせて驚いた。



 「きゃっ」


 

 中でもローブの女は声を出して驚いていた。突然自分の背後から気配も無く声をかけられれば当然そうなる。



 「空いてるってことは…パーティーに加わってくれるってことか!?」



 びっくりしたことで一瞬思考の止まっていた剣士の男はようやく理解するとその言葉に食いついた。



 「えぇ、私もちょうどCランクあたりのクエストを探していましたので」



 「ほんとうか!やったぜ!これでようやくCランクに挑戦できる!」 



 一瞬本当に同行できる実力なのか疑問に思ったがメレスの言葉でCランクに近い実力のものとわかるとガッツポーズを決めて喜んだ。



 他の3人も剣士の男ほどではないが確かに喜んでいた。そしてパーティーに一時加入のため受付嬢の前に立つ。

 


 「では手続きを行いますのでギルドカードの提出をお願いします」



 一部始終を見ていた受付嬢は自分のすることをすぐに理解しメレスに手続きに必要なギルドカードの提出を求めた。メレスは懐からギルドカードを取り出し受付嬢へと渡す。



 「では審査及び手続きに少々お時間を頂きますのであちらにお掛けになってお待ちください。終わりましたらこちらからお声を掛けさせていただきます」



 受付嬢は中央の広い椅子のあるところに手を向けて指し示すと、ぺこりと綺麗に腰を折り礼をすると奥へと消えて行った。五人は中央の椅子の近くに行くと自己紹介をすることにした。



 「俺はこのパーティーのリーダーを務めているシギル・レイルノット。剣士の前衛だ。今回はこのパーティーに入ってくれてありがとな。っていってもまだ審査段階だけどな」



 剣士の男はシギルと名乗り礼を言う。赤い髪を短く刈り上げた頭に身長190を超える大柄な男だった。



続いて横にいた盗賊の女が話し始めた。 


 

 「私はデビィ・プーラン。見ての通りシーフよ。よろしくね」



 デビィと名乗ったシーフの女はシギルとは頭一つ分程度の差で、メレスと目線の高さが近い。女性にしてはやや背が高いといった印象だった。すらっとした体型に、肩を超えたあたりまで伸ばした金髪。気の強そうなややつりあがった目もマイナスの印象にならず彼女は美人だった。


 

「私はミエル・パロールです。えと、よ、よろしくお願いします。あっ、魔法使いをやってます」

 


 おどおどとぎこちない挨拶をしたミエルは自身の身長を超える木の杖を両手で抱えて若干縮こまっていた。小柄で細身な体つきでかわいらしいが、どうやら人見知りする性格らしい。今は銀の色をした前髪で目を隠している。



 「…ディスター・カーイット」



 メレスよりやや背の高い男はそれだけを口にすると目をそらしてしまった。失礼な態度にリーダーのシギルがフォローに入る。



 「悪い。こいつはいつもこんな感じなんだ。悪いやつではないから許してやってくれ」


 シギルが申し訳なさそうに謝るがディスターと名乗った男はやや顔をしかめてご機嫌斜めだった。黒い髪と顰めた顔が相まって高圧的な印象を受ける。



 しかしメレスは特に気にした様子は無く、手を横に振って問題無いことを口にして伝えると今度は自分の番だと自己紹介を始めた。



 「私はメレスと言います。シギルさんと同じく剣士になりますね。今回は自身のランクのクエストがありませんでしたので参加させていただいて助かります」

 


 いつも通りの猫かぶり。口調を楽な者に変えたいが王族に女だと認識されているため自分の事を俺と呼ぶにはあとあと面倒になるかもしれないし、だからと言って私という一人称のまま言葉を崩したら本当に女のようでメレスにはいささか抵抗があった。だから人前ではこの堅苦しい口調を貫いていた。



 パーティーの皆がメレスの雰囲気に飲まれたように固まっていた。一見すれば物腰の柔らかな貴族のお嬢様だ。



 貴族でもない庶民の生まれである4人には貴族と接した機会は生まれてこの方一度もない。そのためもし無礼な事でもして不敬罪でもかけられたらどうしようかといまさらながら考えたのかも知れない。



 「あーっと…つかぬことを伺いますが、もしかして貴族さまでいらっしゃいますか?」



 シギルが今更ながら言葉を改めてメレスにうかがう。もしこれでそうだと言われたらさっきまでため口で話していた大問題だ。



 さっきまでCランクのクエストに冒険できることで浮かれていた自分達を殴ってやりたい気分になる。他の三人も同じ考えに至ったのか顔色が優れない。特にディスターは顔を青くしていた。



 「あぁ、いえ。私は貴族ではありませんので心配しないでください。ただの一冒険者ですので、先程と同じように接してくれてかまいませんよ」



 メレスはそう言うと4人は一気に肩の荷が下りたようにほっとした。特にディスターは一文字に固まっていた口を綻ばせて安心した。本来初対面の相手でも失礼な態度なのだ。それを貴族にやらかしてしまうなど命知らずというものだ。



 「はぁー。そいつはよかった。もしあんたが貴族様だったら俺らどうなってたか。」



 「ほんとよね。もしお堅い貴族様だったら今頃刑罰よ。特にあんたディスターはね」



 そう言ってミエルを挟んで立つ男の尻を蹴る。



 「うっ…悪い」



 ディスターは思いのほかいい蹴りだったのかお尻を抑えて小さく唸る。するとシギルが快活に笑う。



 「しかたねーよ。そいつは女に耐性なくてメンバー以外の女とはまともに話せないんだからな。これだけの美人さんともなれば目も合わせられねーよ」



 「お、おいっ!俺は…」



 自分の態度の秘密をあっけなくばらされたディスターは顔を赤くして慌て始めるが、マレスに弁明するのも恥ずかしくそれ以上何も言えず縮こまる。



 「大丈夫?ディスターくん。お顔真赤だよ?」



 「やめてくれ…」



 天然なのか、ミエルの思わぬ追いうちにディスターは手で顔を覆った。



 そのやり取りを目にしたメレスは声を出して笑った。



 「とても仲がよろしいんですね」



 「そりゃなんといってもがきん時からの付き合いだからな。もう10年以上になるんじゃないか?まっそれだけ長く付き合えんのもこいつらの人柄の良さあってこそだな」



 男はそういって笑った。その声には温かみが感じられた。それを聞いた3人も同じ感情なのかそれぞれが似た表情を浮かべていた。



 メレスもその反応を見てどこか懐かしいものを感じた。郷愁だろうか。自分もこんな感情が芽生えるとはあの頃の自分が知ったらどうおもうだろう。



 「そういえばあんたはCランクでいいんだよな?。さっき自分と同ランクって言ってたし。でもその割には装備が貧相な気もするが。」



 「えぇCランクですよ。装備の方は今事情があってこんなものですけど問題なく戦闘できますよ」



 「そうか。それだけ自信があるんなら戦力として問題なさそうだな。人柄もよさそうだし。これなら審査は心配いらないだろう」



 ギルドはパーティーの臨時加入や新規の加入には厳しい審査基準を設けており、それを通らなければ正式にパーティーへの加入は認められない。



 これは上級者が新人のランクを力づくであげる事の防止でもあり、犯罪を防ぐためのものである。新人が先輩におんぶで抱っこの状態でランクを上げれば当然いつかツケを払う場面が出てくる。それが怪我などで済めばまだいいが、死亡につながる事が多いため、確実に相応の力を付けさせることで人死を抑える。

 


 これが主な理由になるが、監視などの役割も同時に行っている。パーティーでの冒険というのは街の外、法や警備の届かない所での活動を主にするため犯罪を起こされても証拠がない限り突き出すことができないのだ。



 例えば外でパーティーメンバー全員を殺して身ぐるみを剥がしたとしても、魔物に襲われたと言えば誰も文句を言うことができないのだ。



 これが横行してしまえば有望株の新人も危険にさらされ、貞操の危険もある女性も冒険がし辛くなり、冒険者ギルドの発展に大きな妨げになる。



 そのことから冒険者のパーティー参加履歴や依頼達成数、魔物の討伐履歴など様々な情報を管理し、その履歴からそのパーティーとの力差がありすぎないか、パーティー側か加入側に問題行動や怪しい履歴は無いかを審査しそれを無事通った場合のみパーティーに加わる事が出来るのだ。



 面倒なシステムではあるが確かに効果はある。犯罪率と死亡率の低下から有望株が育ちやすく、犯罪に巻き込まれることも少なくなったため、冒険に出やすくなり冒険者の人口も増えたのだ。



 いまやこの制度が導入されてから中級~上級冒険者が着実と増えていったのだ。いまやこの制度は難易度制限制度と同じくらい重要な制度として機能している。すぐに冒険に出られないのは玉に瑕ではあるのだが。



 「あっと、そういえば何のクエストか説明していなかったが、いいのか?」



 「はい。さっき後ろから依頼の紙が見えちゃいましたので。職業付きのゴブリン討伐でよかったですよね」



 褒められたことではないがシギル達は特に気にした様子は無かった。



 「なんだ、知ってたか。なら話が早いな。そうだ、今回の標的は職業付きのゴブリンだ。しかも二次職のゴブリンもいたという報告もあったからCランクのクエストという形になる」



 人型の魔物には職業付きがいる種が存在する。基本的に数が多く弱い種の魔物がそれに当たる。弱い種といっても高ランクの職業にもなると侮れない相手になる。二次職ともなれば、ゴブリン=ザコという方式は成り立たなくなるくらいには。



 そのため職業付きは中級冒険者以上の仕事となる。Dランクの魔物では物足りなくなってきたシギル達は今回初めてCランクに挑もうとしたが、近場でのクエストが最近無く、ようやく見つけたクエストはCランクのものでも上位に当たるのか、先程のように断られてしまう始末。



 しかし自分達は達成できる自信があった。だから今回受付嬢に初めて駄目だと言われ、自分達が見くびられているような気がして声を荒げてしまったのだ。しばらくDランクで燻っていた分の焦りもあったのだろう。若さゆえの失態だった。



 クエストの確認の後、5人でしばらく話しているとようやく終わったのか、先程の受付嬢から声が掛かる。



 「お、やっとか」



 「やっぱり時間掛かっちゃうのよね」



 シギルとデビィは待ちくたびれたといいたげだった。やはり審査が重要なものだとわかっていてもすぐに出発したい気持ちを抑えている人からすると煩わしいものなのだろう。



 ミエルとディスターは何も言わないが、二人の表情にようやくかという気持ちが、メレスには透けて見えた気がした。それはメレス自身がそう思っているからであろうか。メレスもこんなに時間がかかるとは思ってもいなかった。



 シギルのパーティーとメレスは受付嬢のカウンターまで足を向かわせた。



 「大変お待たせいたしました。審査の結果問題は見られませんでしたので正式にメレス様のパーティーへの加入を認めます」



 そう言って受付嬢はカードをメレスに渡そうとするが手が一瞬止まってしまう。周りは疑問に思うがたった一瞬のものであったため特に気にしなかった。すごい美人さんだからだろうなー程度である。



 メレスは受付嬢の反応の理由に大方の見当がついていた。カードには個人情報がある程度載ってある。もちろん性別もだ。ということはつまりそういうことである。


 そんなこともありマレスを臨時に向かい入れたシギルパーティーはようやく待ち焦がれたと冒険に出かける事になった。

 

 


 


前話を修正入れて行きますがもし修正抜けがございましたら、テメーの目は節穴かァ?とお申し付け下さい

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