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委員会

 結紀お姉ちゃんには教室に帰ると言ったが、私は生徒会室に向かった。


「失礼しまーす」

 私はノックもせずに生徒会室に入る。

「おー、お帰りー。振られちゃった?」

 荒野先輩はパソコンの前に座って何かをやっていた。

「はい。なので、ここでお昼食べても良いですか?」

「いいよ、いいよー。俺は食べ終わっちゃったけどね。ゆっくりして行って」

 そう言い、先輩はパソコンの前から立ち上がり、給湯室のカーテンをめくり中に入って行く。

「ありがとうございます」

 私はソファーに座り、お弁当を広げる。

 このお弁当は自分で作ったものだ。お母さんがお弁当を作らない代わりにおこづかいアップをしてもらっているのだ、お昼代として。

 お母さんがお弁当作るのめんどくさいと言うのを聞き、私は料理をするのは別に嫌いではなかったため、おこづかい稼ぎとして自分で作ることにした。


 少ないか多いかは分からないけど、うちは毎月貰えるおこづかいが三千円。それに、お昼代として三千円のプラスだ。食費とおこづかいの額が一緒なのは私も良く分からない。疑問には思ったが貰えるのだし良いかなと聞かなかった。


 お弁当の材料は冷蔵庫に入っているのを使うからほぼ食費ゼロ。冷蔵庫に食材が少ないときは行きのコンビニや、学校の売店で買おうと考えているから少しは使ってしまうが、儲けは出ると思う。この事はお母さんにも了承を得ている。

 そして、私は普段あまりお金を使わない。

 洋服とかも安いもので済ましているし、お母さんと買い物に行くと大抵買って貰える。買って貰うのも安い服だがそれで十分。

 そして、休みの日に滅多に遊びに行かない。行くとしても一人でか親とだ。理由は聞かないでも分かると思うが、一応言おう。

 そう、私には友達が居ない!!

 その為お金が貯まっていくのだ。

 別に友達が居なくても、お姉ちゃんが居れば私は満足なので気にはしてない。むしろお姉ちゃんと出掛ける時のためにお金を貯めていると、そう私は考えている訳だ。


「いただきます」

 両手を合わせてから食べ始める。

「ほい。どうぞ」

 先輩は私の前にお茶が入ったコップを出してくれた。

「あ、ありがとうございます」

「いいって、いいって。美味しそうなお弁当だね」

「……あげませんよ」

 私は先輩から遠ざける様に少しお弁当を自分の近くに引いた。

「そういう意味で行ったんじゃないって。上手にできてるなって思っただけ。それに俺はもうお腹いっぱいだしね」

 先輩は私の前方に座り、自分のお茶もテーブルに置いていた。

「あ、ありがとうございます」

 褒められてしまった。少し照れる……。

「……生徒会の仕事はいいんですか?」

 私は照れたのを気付かれない様、話題を変えるべく先輩に質問した。

「ん? 仕事は今ないよ」

「え? じゃあなんでパソコンの前に座っていたんですか?」

「あー、ネットサーフィンってやつだよ。スマホでやるより動きが早いからね。一人でこの部屋居ても、寝るかそれくらいしかやることないんだもの」

 この先輩は何をしにこの部屋に来ているのだろうか……。

「仕事をやればいいじゃないですか」

「ほんとにないんだよ! 信用してないね!!」

「……そうですか」

 まぁ、暇なら私にとっても都合がいいので、これ以上は聞くのはやめよう。

 忙しいならやめようかとも考えていたが、お姉ちゃんの彼氏について聞いてこうと思って生徒会室に来たのだ。先輩はアイツと話をする仲みたいだし。

「おっ、分かってくれた?」

「はい。では、暇な荒野先輩に聞きたいことがあります」

「……愛理ちゃん、先輩って言う言葉の意味分かってる?」

「はい? それくらい分かりますよ。学年が上の人を指す言葉ですよね」

「まぁそうだけどね……先輩を敬うってことを愛理ちゃんはしないのかい?」

「私が敬うのはお姉ちゃんと私が認めた人だけですよ?」

「何その、何でそんな当たり前のことを聞くんだ。的な返しは! その中に俺は入っていないの!?」

「入ってないです」

「ですよね!」

「でも、私の中の面白い人ランキング上位には入っていますよ」

 上位と言っても、そもそも私は交友関係が無に等しいから上位に入りやすいんだが、この事は言わないでおこう。

「そ、それは喜んでいいのか?」

「はいっ」

「そ、そうですか……。ま、俺も堅苦しいのは苦手だしな、愛理ちゃんみたいな人は話しやすい」

「それは……ちょっと……」

 私も先輩は話しやすいと思う。出会って間もないのにこんな冗談も言えるしね。

「…………」

 あら? 先輩が悲しみに満ちた顔に。

「冗談です、先輩。落ち込まないでください」

「落ち込んでなんてないやい!」

 先輩は投げやりにそう言うのだった。



「ごちそうさまでした」

 私はお弁当を食べ終えたので、お弁当袋にお弁当箱をしまう。

「…………」

 先輩はまだふてくされている様だ。

「話は変わるんですけど、お姉ちゃんの彼氏ってどんな人ですか?」

「唐突だな!?」

 流石先輩。突っ込みのためにふてくされから直ってくれた。

「良い反応ありがとうございます。で、どんな人ですか?」

「えっ? ……そうだな、平凡……でもないか、なかなか面白い奴だよ。普段は根暗みたいな感じだが、いざという時はやる男だ」

「いざという時が来ないと駄目な男ですね、分かりました。他には?」

「酷い言い様だな。他は帰宅部で、友達も少ないんじゃないか? 俺は一年の時同じクラスで仲良くなったんだが、俺以外に仲良く話してる奴は二、三人しかいなかった気がするぞ」

「一年間で?」

「おう」

 交友関係は少ないという事は、お姉ちゃんと何かあっても相談できる人が少ないと捉えて良いのかな?

「ちなみに、今は何組で?」

「四組だったかな。俺は三組だぞ」

  そう言いながら先輩はお茶に手を伸ばしている。

「荒野先輩の事は聞いてないです」

 お姉ちゃんのクラスの隣か。

「……そうっすか……」

 あっ! 荒野先輩、お姉ちゃんと同じクラス!?

「先輩! お姉ちゃんと同じクラスですか?」

「ぶっ。……いきなり声上げないでくれ。お茶吹き出すところだったぞ」

 お茶をすすっていた先輩はそんなことを言うので、私は率直な意見を言うことに。

「汚いですね」

「あのなぁ!」

 そして、言おうと思ったことを言う。

「先輩って良い人ですよね」

「ああ? いきなりなんだ? 話の脈絡が見えんぞ」

「お姉ちゃんに変な虫が付かないように見張っててくださいね」

「それってど――」


『キーンコーンカーンコーン』


 良いタイミングで予鈴が鳴る。やったね。

「じゃ先輩、そういう事で」

「おいっ、ちょっと」

 本日二回目である先輩の言葉を無視して、私は自分のクラスに戻った。



 5限もホームルームだ。

 何かを決めている様だが私はそれどころではない。どうやってアイツとお姉ちゃんを別れさせるか。それを考えなくては。

「あっ」

 良い事思いついた。

 アイツにお姉ちゃんの駄目なところを言って嫌いになってもらえば……ってお姉ちゃんに駄目な部分なんてないよ! 駄目な部分があったとしても、それはお姉ちゃんの個性だし、私はそれを駄目とは認識できてないかもしれないじゃん。

 う~ん……やっぱり地道な努力が一番かな!

「おーい、衣更月ー。何かに燃えているとこ悪いんだが、あとはお前だけなんだ。風紀委員しか残ってないから風紀委員な」

「へっ?」

 担任が私に向かって言った事はクラス委員と、係決めの事だった。

 パッと黒板に書いてあるのを見るが、私は特にやりたいと思うものは無く、やりたいとも思わなかった。やりたいのがあったとしても、もう選べないんだけどね……。

「これで全員何かしら役割に入ったな。委員会になった人は今日の放課後、各教室に行くように。黒板に場所書いた紙貼っておくからな。ちゃんと見て行けよー。今日はこれでおしまい。委員長、号令お願い」

「は、はい」

 委員長と呼ばれた女子生徒は、眼鏡におさげといういかにもな格好をしていた。

「起立、礼」

 さよーなら。

 みんな一斉に適当な挨拶を担任にする。

「おう。気を付けて帰れよー」

 担任はそう言うとさっさと教室から出て行った。


 ……委員会か。授業にちゃんと参加しておけば良かった。騒がしいとは思っていたけど委員決めをやっていたなんて。書記にでも立候補しておけば放課後は自由だったのに。失敗したなぁ。

「あのっ」

「ん?」

 この人誰?

 私に話しかけてきた男子生徒。髪型は前髪が揃っていてお坊ちゃまヘアーみたいだ。身長も低めで私と同じかそれより少し高い位。正直いうとカッコ悪いと心で思う。

「お、同じ委員ですね。教室は二年三組でしたよ。一緒に行きませんか?」

 お姉ちゃんのクラス!

「そうだね、行こっか」



 階段を上り二階へ。

 帰りのホームルーム終了チャイムはここまで来る途中で鳴っていたのでもう放課後だ。うちの担任、帰りのホームルームはすぐ終わらせてくれるから嬉しい。

 放課後になったせいか廊下に人が結構居る。帰宅やら部活やら遊びの計画を立てたり、実行しようとしているのだろう。あと委員会の人も居るか。

 人の隙間を縫って三組へ。

 三組を覗くとちらほら緑色のネクタイを締めている生徒が見える。上級生のクラスだからか、机に座り待っているだけなのにカチコチな人も居た。

 が、そんな同級生はどうでもいいんよ。お姉ちゃんは居るかなー?


「よう!」

 教室を見まわしていると横から声をかけられた。

「……何だ、荒野先輩ですか」

「何だとは何だ! でも俺は心が低いからな、そのくらい許してやろう」

 …………。

「先輩、そこは低いじゃなくて広いじゃないですか?」

 先輩の顔はみるみる赤くなる。

「か、噛んだんだよ! ……ま……間が空いたから見逃してくれると思ったのに」

 顔を赤くするという事は本気で間違えたのだろうか? 突っ込み待ちかと思ったのに。言い訳も今考えたような感じだし……。

 でも私は気にせず答えますよ。

「私の耳は誤魔化せませんよ。荒野先輩の粗を見つけ尽します」

「流石愛理ちゃん! 荒野の荒と粗をかけたのか! 面白いッ訳ないよ!? むしろ怖い!!」

「ぷっ」

 笑える。ナイスなノリツッコミ。

 先輩は赤かった顔を恐怖に染めている。

 先輩のリアクションは面白い。憎めないキャラというか……そう! いじられキャラはこういう人のことを言うのかも知れない。

「ところで愛理ちゃん、お姉ちゃんならもう居ないぞ」

 先輩は顔を、元の、普通の、平凡な、顔に戻してからお姉ちゃんのことを教えてくれた。

「……今失礼なこと考えなかったか?」

 先輩は心でも読めるのですか? 確かに先輩の顔は普通よりはカッコイイ系だと思いますけどね。

「気のせいですよ。では、お姉ちゃんはどこに行ったんですか?」

「さぁ、生徒会室じゃない? 俺も今から行くし」

 生徒会に入るって考えもあったのか。

「そうですか……」

「寂しそうな顔しちゃって。用が無くてもいつでも来るがいいさ。生徒会手伝いという称号を持つのも一つの手だな」

「生徒会手伝い?」

「おい荒野、そろそろ風紀委員のミーティング始めたいから下級生の女子に絡むのをやめて、今すぐに出て行ってくれ」

 私の質問に先輩が応える間もなく違う声が入って来た。

 風紀委員の人なのだろう。肩にかかる黒髪、つり上がった目、風紀を乱させそうな大きめの胸を持つ先輩は黒板の前に立ち、キリッとした表情で荒野先輩に注意している。

「な、なにその、俺が無理に絡んでいるような言い方は! 酷いよ! うわーん」

 先輩はそのまま走り去ってしまった。

 荒野先輩……なんて捨て台詞を。うわーん、は無いですよ、もっと面白い言葉がほしかったです。

「悪いな、めんどくさかっただろ。謝る」

「い、いえ」

 正直楽しかったです。

「開いてる席座ってくれ。では、第一回風紀委員会のミーティングを始める」

 他の立っていた生徒達も適当な席に座り始める。

 私は近くの開いている席に座った。横にクラスメイトも座っている。

 一クラス、大体三十人で、一学年七クラスある。この集まりに三年生は居ない。同じ委員は一クラス二人なので、全員椅子に座れる。

「私は今年の風紀委員長ではない。今日病欠で休みとなった風紀委員長の代理、里見(さとみ)美那子(みなこ)だ。去年、私は風紀委員だったから大体の事は分かるという理由で代理に選ばれてしまった。委員長ではないが私も風紀委員の一員だ。なので、これから一年間よろしく頼む」



 ミーティングは三十分程度で終わった。

 風紀委員はどういう事をやるかの説明と、学年の代表決めて解散した。

 勿論、私が代表になる訳がない。

 風紀委員の仕事内容も想像より楽そうだ。

 朝早く来て校門で服装チェックなどはやらない。この学校は制服の着崩しに割と甘いのだ。と言っても、まず着崩す人があまり居ない。やるとしてもスカートを少し短くしたり、ズボンを少し下げて腰パンとう状態にいるくらいで、パンツが見えるくらいやる人は男女ともに居ない。

 仕事は校内で悪さをしようとしている人を止めたり、喧嘩の仲裁など、やってはいけない事をやろうとしている人の注意だ。したがって仕事は特に無い!

「あのっ」

 委員会も終わったので早々に立ち去ろうとするが、クラスメイトに呼び止められた。

「なに?」

 名前なんだっけ……って聞いてないから知ってる訳ないじゃん。……まぁいいか。

「こ、これから帰るの?」

「ううん。寄るとこあるからまだ帰らないよ?」

 何でそんなこと聞くんだろうか。

「そ、そう」

「うん。じゃあね」

 そう言って私は今度こそ立ち去り、生徒会室に向かう。



 生徒会室に着いた。

 お姉ちゃんはまだ居るかな?

 今度はちゃんとノックをする。

「どうぞー」

 お姉ちゃんの声だ!

「失礼します」

 生徒会室に入る。

「あら、愛理。いらっしゃい」

「おう、来たか」

「うん? その子は?」

 生徒会室にはお姉ちゃんと荒野先輩、それに見知らぬ先輩が一人居る。見たくもないアイツも居た。

 今日一緒に帰ると言っていたけど、ここにまで居るとは思わなかった。

 お姉ちゃんが手招きで私をお姉ちゃんの横に座らせてくれた。

 ソファーにはドア側に荒野先輩とアイツ。テーブルを挟んで小河原先輩、お姉ちゃん、私と座っている。

 前を向くとアイツが目に入ってしまうのでお姉ちゃんの方を向くことにした。

「さっき話した会長の後輩ちゃんだよ」

 荒野先輩が説明をしてくれる。

 後輩ちゃんって……名前を呼べばいいのに。

「あー、この子が。わたしは小河原(おがはら)ね、よろしくー」

「は、はい」

 小河原先輩はさばさばした喋り方で髪が短い。前髪はアイツよりは絶対短い。そして、少し低い声で、声変わりしていないと言えば男の人と間違えるのではないかと思ってしまう第一印象を受けるが、制服の下はスカート。小河原先輩は女だ。

「わたしは生徒会会計をやってるんだ」

 お姉ちゃんは会長で小河原先輩は会計みたいだ。残りは副会長と書記かな?

「そうなんですか。……荒野先輩、何ですかその目は?」

 荒野先輩は目を細めて私のことを見てくる。

「えっ、な、何のことかな」

 荒野先輩はとぼけた様に返事を返してきた。

「こ、光也にも役職聞いてほしいんじゃないのかな?」

 あ、アイツが話に加わってくるとは。声も聞きたくないのに。

「そう! 良く言った草間。流石親友」

「そ、そんなことないって」

 ああもう、喋らないでほしい! お姉ちゃんを取りやがって。

「あ、愛理ちゃん?」

 荒野先輩はなにやら困った感じの表情で私に話しかけてきた。

「……はい?」

「どうしたのそんな怖い顔して……そんな俺のことが嫌いか……」

 えっ? 怖い顔なんてしてた? 心は憎しみでいっぱいだったが、表情に出していた気はないんだけど……。

「愛理は昔から思ったことが顔に出やすいからね。そこが可愛いところの一つなのよ」

 お、お姉ちゃんに可愛いって言われた……。

「お、ほんとだねー。荒野と喋ってたときと比べて良い顔だ。会長に可愛いって言われたのが嬉しいのかなー?」

「俺って……」

「まぁまぁ」

「小河原(つかさ)、慰めるなら俺と付き合っぶへっ」

「駄目って言ってるじゃん。あんたも懲りないねー」

「な、殴ったね。こんなにもすっづぅぐっあぁぁっ!!?」

「光也! だ、大丈夫か?」

 ガチャ

「失礼する」

「あら、委員会は終わり? 代理任されちゃって大変ね。こっちもあるのに」

「ああ。まぁ病気なのだから仕方ない。それより、始まる前にあいつ(荒野)が後輩にちょっかいを……何でちょっかいを出した張本人はあそこに倒れているんだ?」

「ああ、それ? ちょっとねー。……そういう事するから駄目なんだよ……」

「そうか、いつものやつか」

「ちょ、美那子! いつものって何よ、いつものってー!」

「ん? ちょっかい出された後輩がなぜここに?」

「って無視かーい! あ、後輩って愛理ちゃんの事だったの? 愛理ちゃーん……駄目だ、まだ帰って来ていない。さっきから固まってるのよねー」

「あら? 久しぶりにこの状態を見たわ。私に任せて。愛理、起きなさい」

「ん? おはよう、お姉ちゃん」

 お姉ちゃんが私を起こしてくれる。

 あれ? 私、寝てたっけ? でも、話し声は全部聞こえていたし……あれ? 私、どんな状態だったの? 昔からたまにあるんだよねこういう事が。最近は起こらなかったからすっかり忘れてた。

「「えーっ!?」」

 何を驚いているんだろう。あっ、途中では入ってきた聞き覚えがある声は里見先輩のものだったのか。

「ねっ」

 お姉ちゃんはどうだと言わんばかりで先輩達を見ている。

 そして気になる事がもう一つ。

「お姉ちゃん、荒野先輩はどうしてそこで伸びてるの? 悲鳴っぽいのは聞こえたけど」

 その横で荒野先輩を揺すって起こそうとしている人には目もくれずに聞く。

「あの状態で聞こえていたの!?」

「そうらしいのよ、愛理は昔から変わらないわね」

 そう言ってお姉ちゃんは私の頭を撫でてくれる。

「えへへ」

「いい笑顔だな。ところでその子は新メンバーなのか?」

「それ、わたしも聞きたい」

「えーと、まだ何も話してないから新メンバーではないわね」

「じゃー、いれよー!」

「良いと思うぞ。あいつにも抗体があるようだし」

 私が声を挟む間もなく話が進んでいるような……。

「……お、俺はき、菌ではな……い……ぞ、がくっ」

「こ、光也ー!」

 荒野先輩が最後の力を振り絞ったかのように声を出してまた倒れる。

「……自分でがくっていう奴が居るか?」

「あそこに居るじゃん」

「……そうだったな」

 二人の先輩の冷たいツッコミが荒野先輩に刺さった様に私は感じた。

 荒野先輩、ご愁傷様です。

「そうね。愛理、生徒会入ってみる? 一年生はお手伝いとしてになるのだけど」

 お姉ちゃんも居るしそれは嬉しい。でもアイツも居ると思うと……。

「こ、小春先輩も生徒会メンバーなの?」

「ん? 草間君は違うわ。私の手伝いをしてくれているだけよ。だから草間君も生徒会手伝いに入るわね」

 な、名前呼び。

 ムカつく、何であんな奴がお姉ちゃんに名前で呼ばれ――。

「――いり、どうしたの、愛理?」

 やばい、お姉ちゃんが呼んでいた。気付かないとは失態だ。私としたことが、アイツなんかのせいで……。

「……何でもないよ。お手伝いの事は考えてもいいかな?」

「もちろん。ね、みんな」

「うん」

「おう」

「う、うん」

「…………」

 未だに倒れている人だけ右手を上げ、親指を突き立てて私に目線を送っていた。


「じゃあ今日は帰るね」

「そう、分かったわ。気を付けるのよ」

「うん。お姉ちゃん、先輩方、お先に失礼します」

「お疲れー」

 私は家に帰ることにした。

 ここでどうするか考えても、あいつが目に入っただけで感情が動いてしまう。それだとしっかり考えられない。

 アイツはお姉ちゃんと帰るかもしれないが、今日は見逃してやる。


行間をどう開けるか考えていたら訳が分からなくなりました(笑)

文章は難しい……。でも書くのは楽しかったり。

読みにくかったら直しますので教えてくださいm(__)m

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