私の、俺の17歳。
ちょっと暗いお話しです。
これは、今日が誕生日の友達のために書きました!…暗いですが。
『私の、俺の寿命は17歳。』
「よく聞きなさい。辛いでしょうけど、両親を殺したのは…あなたよ、響ちゃん。」
5歳の時。私は泣いた。初めてだったから、ぎこちないけれど。声を、いっぱいだして泣いた。
ーーーこの時、私は両親を殺したらしい。
「急げっ!」
今日の天気は「晴れ」。天気予報通
り。
今日の運勢は「最悪」。占いの通り。
遅刻した。目覚ましをかけるのを、忘れたのだ。でもなんとか仕度を急いで、間に合った。で、家を出て10分くらい歩いた時、ふと思い出した。
「お弁当っ‼‼」
そう、お弁当を、キッチンに置き去りにしたことを。
『ガララッ』
「おっ、遅れてすみません‼」
「おっ、きたきた響ちゃん」
「よかったぁ、休みかと思ったよ!」
「ごめん…えへへっ」
「おいっ、朝野!早く座れ!」
「はっ、はひぃ!」
走って疲れて、暑くてだるい。そんな私、朝野 響の体に、先生の雷声がいつもより響く。
「もぅっ、先生!」
「早く済ませろよ。」
「は~い」
早く済ませる…の意味がわからない。なにを?すると、小さな「せーのっ」と言う、声が聞こえた。
(えぇと…なにをしたらいいのかな?)
「誕生日、おめでとう‼‼」
………………。
「あっ……ありがとう‼みんな‼」
「先生、えっとお腹いたいんで帰ります!」
「えぇ⁈響ちゃん⁇」
「ありがとねっ、みんな‼えとぉ…ねっ。
私、みんながだぁいすきだよ!」
「おいっ、朝野‼」
『誕生日、おめでとう‼‼』
この言葉が、辛い。
誕生日。今日が私の誕生日。そんなこと、覚えていた。でも、嘘だろうって思いたくて、学校に行った。
今日、私が寝坊した時点で、お弁当がつくられていなかった時点で、嘘じゃないことなんて、はっきりしていた。
だって、時間になって起きなかったらいつも、夏子おばさんが起こしにきてくれる。
お弁当も、お手伝いさんが作ってくれる。
それに、恭がいなかった。
それが答えだ。
私と恭は、17歳になったのだ。
私が5歳の時、大好きだったおばあちゃんが死んだ。一切泣かなかった私だったけど、その時は、異常なほどに泣いた。
そして3日後に、お葬式が行われた。みんな、お母さんもお父さんも、真っ黒だった。でも私は、ピンクのワンピースを着た。おばあちゃんが、作ってくれたものだ。 そして、ほどなくして、お坊さんがよくわけの分からない言葉を話しはじめた。花のいっぱいあるところに、おばあちゃんが笑っている。それを見て、また泣いた。お母さんとお父さんが、ぎゅっと、してくれた。
そして、3日後。お母さんとお父さんが死んだ。朝起きると、二人とも、息をしてなかった。でもなぜか、泣けはしなかった。すると、チャイムがなった。
「あなただったのね…。あなたの事、教えてあげるわ。」
そこには、お母さんと同じくらいの年の女の人と、私と同じくらいの年の男の子がいた。
「よく聞きなさい。辛いでしょうけど、両親を殺したのは…あなたよ、響ちゃん。」
「私を信じて。家にきてくれるかしら」
そして、私はすべてを聞いた。私には、能力があって、泣くと、大切な人を殺してしまうらしい。だから、決して泣いてはいけない。ずっと笑ってなさいと言われた。
そして、そこにいた男の子、恭も同じで、笑うと大切な人を殺してしまうらしい。だから、決してわらってはいけない。
さらに、私と恭は、同じ日に生まれた。
それから私は、この人たちと暮らすようになった。
そして、それからは、泣けない私のために、何かあったら恭がかばってくれた。だから、自然とだった。恭が、大切な人になった。
そして、私と恭が生きられるのは、17歳まで。
そう…今日なのだ。
「恭っ、恭‼」
「…響。…おめでとう。」
「恭!おめでとう。」
…これで最後だ。
そう。今日は、悲しいばかりではない。
だって、
「泣いて、いいんだよね!」
「うん。俺も、笑える。」
「でもっ、そうしたら恭が…」
私が泣くと、大切な人が死んでしまう。
「いいよっ。どうせ死ぬのが今日なら、死に方くらいは、良いのがいいよ。」
死ぬのに、良いなんて。
「それに、俺だって同じ。俺が笑えば…」
もういいかっ!
「じゃあっ、せーのっで、やろっか!」
今まで、お互いずっと我慢したんだし。
「うん。」
「じゃあっ、いくよ!」
大きく息を吸い込む。
「せーのっ」
私が泣いた。
恭が笑った。
表情は違うけれど、感情は同じ。
「誕生日、おめでとう?」
最後まで、ありがとうございました‼
短編にうまくまとめられているか心配です。
そして、誕生日。おめでとう‼