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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
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君が嘘をついた・・・8

ようやく涙が落ち着いた帰り道、4人でK学園を受験することにしたのか

話すことになった。

偶然にも義人君と私は同じ理由だった。ここだけの話なんだけども…

K学園って受験料も授業料も安いんだ。

本命のS高の合格発表日がK学園の一時納入金の最終日と同じと

言うことまでは皆知らなかったらしい。

自分のお金は自分で知らないといけないからね。私の場合は。

「ちい…ケチすぎる」

「うん、ケチだもの。私公立行きたかったけど辞めたからさ」

私は今まで担任以外には一度も口にしたことがないことを話した。



「何…それ?」

「ほら…私2年生の時に体調壊して入院して、退院してからも欠席が続いた

でしょ?トータルで50日あるんだ。だから公立だとレベルを下げないと

受けれないって…」

「どこに行きたかったの?」

「女子高か商業」

女子高は憧れで、商業は現実重視路線だ。早く自立したいからだ。

「それって…皆のせい?」

同じクラスで一番私のことを見てる静香は分かっているけど…今の私の話で

義人君も雅子ちゃんも…多分分かったよなぁ。



「もうさ、どんなに頑張っても、ちいのくせにって言われるの…疲れたんだ。

だから…誰も受けないような学校を選んだんだ。わざと」

静香は唇と噛んでいた。何度か助けてくれようとした彼女を止めていたのは

他ならない私だからだ。私は静香を巻き込みたくなかった。

「確かに…全てにおいてちいは巻き込まれたようなものだものね」

「ごめん、俺…気にしていないのかと思ってた。そんな訳ないよな…」

「いいんだよ。3人を責める気はないよ。でもね…ずっと言われるとね…

マヒするんだよ。親無し子は事実だからね。」

「ちい…それ以上言わなくていいよ。これ以上傷つくことはないよ」

雅子ちゃんはポンポンと私の頭を撫でた。

幼いころから変わらない正義感の持ち主だから…見抜けなかった自分を責めて

いたのかもしれない。



「もう…そのことは私はどうでもいいんだ。ただね、今日の事は誰にも言って

欲しくないんだ。…いいかな?」

私は3人にそのことを頼んだ。自分自身がぐちゃぐちゃで説明なんてできない。

「ちいはすぐに溜めこむから」

「ちいが言えるようになるまで待っててやるよ」

「言えるわけないでしょ?そこまで最低な人間じゃないわよ」

今はあまり話すことはなかったけど、幼いころから知っているから3人は

信じられる。



「ところで、ひで君ってさ…スイミングの彼でしょ?いっつも一緒でいたのは

私も覚えてるけど…二人って付き合ってたの?」

雅子ちゃんが、おもむろに聞いてきた。そこの所は…本当は触れて

欲しくないんだよな。

でも、さっきの私達の会話を聞いていたら聞かれるのは当然だとも思う。

過去の話だ。腹を括ろう。

「聞いてたでしょ?今は彼じゃないよ。2年生の冬から中1の8月前までは

付き合っていたから…だいたい4年半ない位かな?生意気?」

私は不安になって3人に聞いた。私達は一時期コースは違えど同じスイミングに

通ったからひで君を知らない訳じゃない。

日帰り遠足で同じ班になったこともあるし。



「あいつかぁ…。3年生に行った遠足でべったりだったって…そういうことか。

そういえば、K学園は屋根付きプールだな。スイミングが関係してるか?」

「そうだね。同期は皆受験してる。行くかどうかは別にしてね。私は通うことに

なったら、マネージャーになるんだ。スイマーは無理だもの」

「相変わらず…つるんでるのか?」

「うん、私のままでいられる所だから。最後に皆で会ったのは初詣かな?

3月になったら会う約束はしているよ」

ふと、私が泣いた理由を話したらどうなるんだろうか?と考える。

今、私とひで君の事でも固まっているんだから…詳しくは言えない。

「…でさ、ちい…あいつとはどこまで…」

義人君は直球で私に聞いてくる。付き合う・別れるってそうなるよね。

私もだけども…そう言うことには敏感なお年頃だもの。



「さすがに…その…最後までは…ないって」

「義人ってサイテー」

「ちいは、純情なんだから。ほっぺにチュッ位よね?」

どこまでというのはぼかして答えたけど、それじゃ答えにならないかな?

静香は断言しているけど…そんなことはないんだ。ごめん。

そして、昨日、ゆう君と最後にしたキスを私は思いだした。

私のことを欲しがるような熱くて火傷しそうなキス。

ああいうキスは大人のキス何だろうか?境界線が曖昧すぎてよく分からない。

多分…顔が少し赤いはずだ。



「ちい…何も言わなくていいからね」

私は頷くしかない。私はまだゆう君が好き。ゆう君は…分からない。

何がどうなっているのか分からないけど、私を陥れようとする何かが…

私の周りでうごめいていることだけが確実に分かった。

何が最終目的なのか分からない。私とゆう君が別れるのが目的なのか?

私を傷つけて笑って見ているのが目的なのか?はっきりしない。



言えることは、今回の事に対してはきっちりと片づけないといけない。

私だけが傷ついた今までなら…やり過ごせた。でも、今回は…大好きな人までも

巻き込んでしまっている。その事が許せない。

一度位は…不愉快だと口にしてもいいと思っている。

私は静香を見てゆっくりと口を開いた。

「静香…手を貸して欲しい。一人では難しいと思うから」

「言うと思ったわよ。言われなくても…手を貸すつもりだったわよ」

静香は私を見てニヤリと笑った。

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