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In other word・・・  作者: トムトム
2章 歩いていこう ~Ich werde gehen.~
80/134

緩やかな前奏曲 1

これからは少しずつですが、進めます。

「……で、皆揃ってどうしたの?」

私は私の家に揃った皆に聞いてみる。縁側にお茶やポットを置いて、レジャーシートを敷いて、亡くなった父の親戚が作ったと聞いている池の周りの桜の木を眺めている。先月は梅の木を書きたいと言った来た時の雅子ちゃんとの光景を再現しているようだ。

「えっと、私は前に言った通りにスケッチを少々……池に桜とかいいじゃない」

雅子ちゃんは写真を撮りつつ、スケッチブックにデッサン画を描いていく。

「私は今日が部活のオフなの。で、明日から朝練が始まるから暫く会えなくなるの」

春休みまでは伸ばしていた髪の毛をボーイッシュなショートカットに戻った静香が答える。

「やっぱり、高校はレベルが高いのか?」

「うん。うちの学校はそんなに強くはないけど、練習の質は高いと思う。義人は部活やるの?」

「いいや。運動部は考えてない。授業の進みが早いからな」

中学ではバレー部同士だった静香と義人君が話している。静香のショートカットは制服に合わせたのだろうか?制服を着ていたらキュートで可愛いと思う。

「静香。制服を着たらすごくキュートだと思う」

「うん、そうだね、お姉さまってまた言われないように寝」

「……っていうか、静香、俺よりも短くはないか?」

私と雅子ちゃんで静香のヘアースタイルを褒めていた所に義人君が水を差す事を言う。

「よっちゃんは言い過ぎ!!その髪はどうにかしなよ」

「はいはい、分かったよ。そのうち切るよ」

「バリカンならあるわよ。やってあげようか?」

私はにっこりと微笑む。いわゆる坊主頭位ならできるけどなあ。

「いいえ。結構です。俺は親から届けてくれって……これな」

義人君は私に封筒を渡してくれる。中身は分かっているから、目を通したら目に触れない所に隠そうと思う。

「御苦労さま。じゃあ、ここでお茶でもしてから帰る?」

「じゃあ、そうしようかな。ってことで、入らせて貰うぜ」

義人君はそう言うと靴を脱いでシートに座る。


「義人。高専はどうだ?女子はいたか?」

「分かってはいたけど、男の園だな。女子はクラスに5人。核燃でも20人か。今年はこれでも多いんだってさ」「ご愁傷様」

「工業高校も、そんな感じみたいね。デザイン科になると女子がもう少し増えるみたいだけど」

私達女子組は、そんな義人君を慰めた。

「これから暑くなると、部室と同じような空間が教室に出来るって事だよな」

「それは、ある意味で悲劇だと思うけど……ちい?ところでよっちゃんってどういう事かな?」

創君に言われて、私は干しとくんん尾事をよっちゃんと呼んでいた事に気が付いた。

春休みに君塚に出かけていら、子供の頃の呼び方に戻していたからうっかり出てしまったようだ。

「そりゃあ、よっちゃんって俺以外にいないのは分かっているだろう?創?」

よっちゃん(もう、こう呼ぶ事にする)は、創君に対して意地悪ないい方をした。

「ちい……お前。義人とまさか……」

創君の顔色はあっという間に青くなった。どうしたのだろう?

「よっちゃん、創君をいじめない。よっちゃんと私は元々はとこなのよ。それだけなの」

「あはは……はとこかあ。そう言えば、親戚って言っていたものな」

「うん。学校で呼ぶと変に言う人がいるからね。あえて呼ばない様にしていただけなのよ」

私が創君に説明していると。創君は安心した表情をする。暫くするとはっとした顔をして。静香と雅子ちゃんを見ていた。

「静香、雅子……お前ら分かっていて見ていたって事だよな?」

「……って言うか、よっちゃんと呼ばなかったのは中学の間だけよ」

「私達は、幼稚園も同じだから久しぶりに聞いた位」

二人はニヤニヤしながら創君を見ている。創君以外は幼馴染と言える位に同じ時間を過ごしている。

だからこの二人が何を考えているのか、何となくわかってしまい、私はどうしたらいいのか困ってしまった。


「まあ、それはそれとして……皆は何しに来たのかな?」

「私は知っているでしょう?」

雅子ちゃんが絵が書きたいから来るって昨日電話があった。

「俺はお使いで来ただけ」

確かに、よっちゃんも単なる偶然だ。

『私は暫くゆっくりとしたオフがないから、ちいの家に久しぶりに花見でもいいかなって思ってね』

静香が私の家に来た理由を始めて明かしてくれた。私のアルバイトは土曜日と日曜日が原則なのだけど、学校に慣れるまで……4月一杯は日曜日のアルバイトはない事になっている。

まあ、お金稼ぎがメインじゃないからそれで十分なのだけど。

だったら……創君は?どうして来たんだろう?」

「創は?何が合ったの?」

「俺の話はちょっとしてからでいいさ。これだけ綺麗に咲いている桜でも見ないか?」

庭の桜の木は今は六分咲き位で見応えがあるのは事実だ。


「それに、地位の事だから暇を持て余していそうだったし……」

創君に言われる。確かに皆より長い春休みを正直に言うと私は持て余していたのだ。

「明日、入学式でしょう?クラス分けは分かっているの?」

「うん。木曜日にガイダンスがあったからね。私は加勢君と博子ちゃんと同じクラスなんだって」

「そのまとまりは……凄いわね」

「それより……理恵はどうなの?」

「理恵はね……私達は3組なんだけども、理恵は5組だったの」

「それっていい事か?それとも違うのか?」

皆は私に矢継ぎ早に質問をして来る。そんなに早く言われても困っちゃうよ。

「それが、前半クラスは1組から4組までが前半クラスなんだって。数学と英語のクラス分けはこれだから一緒になる事もないし、体育は4組と同じなの。芸術も数学とかと同じだから一緒にもならないらしいの。あるとしたら、必修のクラブと委員会と部活位かな」

私はようやく皆に説明をした。

「そっか。それなら一緒になる可能性は低いっていいのね」

「そうだな。クラブと部活が一番の難関になるのかもな」

「ちいは……部活はどうするの?」

静香たちの顔に安心が見て取れる。私に事を心配してくれる人がいるって……凄く嬉しい。

「出来れば、写真部に入りたいけどね。写真は部活じゃなくても一人でも出来るものだから」

「確かに。ちいの写真は私も好き。一番好きなのはちょっと青く見える月を写してあるやるやつ」

「それか。俺も好きだな、あの写真。アレってブルームーンって言うんだろう?」

創君は私に尋ねる。

「うん、ブルームーンで正解」

「青く見えるから?」

「そうだね。それも正解。あの写真は偶々青白く見えるなあと思って撮影しただけね」

「他にもあるのか?」

よっちゃんが私に聞いてくる。天体が好きじゃないと、知らないのは当然だよね。

「もう一つは、一ヶ月の間に満月が二回ある時があるの。その月もブルームーンって言うわ。今年の夏にもあるはずよ」

私は簡単に皆に説明をした。


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