番外 side智 The mornig when I noticed that there was not you. 君がいないと気付いた朝 3
それからは、ずっと彼女の後について回るナントカの様にくっついて歩いていた。
俺がそうしたことで、彼女が同級晴雨からいじめを受けたということも俺は知っている。
けれども、彼女はいたってマイペースを貫き通していて、気がついたらいじめも消えていて・・・俺は彼女の弟分といういまのポジションができていた。
それはなぜか?彼女自身が、俺のことを弟みたいな存在と答えたことが一番の理由だとは思うけれども、本当は彼女には他校に彼がいたから。
要は、最初から俺の場合は恋愛対象外だったという訳だ。
あの当時の彼氏のことを知っている人は本当に少ないだろう。
彼女の口から聞いた人が果たして何人いたのだろう?
小学校対抗の水泳大会にわざわざ彼女の応援に来ていた位だから、自宅はちょっと離れていたのだろう。
ギャラリーをぼんやりと眺めていた彼女が、一点を見つめていて。それから、体が冷えたからと着替えたいといって控え室になっている体育館に戻って行った。
自分のレースの最終結果を見て、男子のレースが終わってからのタイミングは不自然ではない。
けれども、何かがおかしいと思った俺は、いけないと思いながらも彼女の後をこっそりと後をつけた。
そして、俺は見てしまった。体育館の片隅で知らない男と額をくっ付けて微笑んでいた彼女の姿。
その表情は、いつも見知った、厳しい表情だったり、練習後のさっぱりとした表情でもなかった。
その男にすべてを任せているといったような無防備な表情。
そして、そんな彼女を受け入れている男は、ゆっくりと背中をトントンと一定のリズムで叩いていた。
俺はその光景に魅入られてしまった。結果的に、俺に見られたことに気づかれて顔を真っ赤にした彼女から彼氏を紹介された訳だ。
聞くと、どちらかが試合の時には必ず見に行くんだと頬を染めている彼女を見た時は、本当に辛かった。
そんな二人の間に入り込む隙間なんて一ミリもない位だから、完全に俺の失恋は確定することになった。
失恋したショックもあったけれども、俺は彼女より好きになれた女の子はいなかった。
彼女の側にいれば、彼女と話をして、たまに見せてくれる笑顔があればそれだけで良かった。
それだけで幸せなんて言えるんだから、当時の俺もかなりイカレタものだ。
だけど、本当の所は・・・ほんの少しだけでもいいから、俺を未定帝欲しいと思っているのもまた事実な訳で。彼氏と別れて、彼女がほかの男に恋をしていても、俺は彼女に姉のようにずっと甘えているのだった。
小学校時代の彼氏がひでくん。次の恋の相手がゆうくんになります。




