I will graduate something? 何をそつぎょうするんだろう?25
「ところで、そんな素敵な恋のお相手はどこかしら?」
「佐倉の恋の話は、私達も初耳だし…」
「校内の人じゃないので、今探しても意味がないですよ」
私は仕方なく、校内の人間ではない事を告げる。
「そうなの」
「でもさ、普通なら彼氏ができたら浮かれない?それすらなかったわよね?」
「そんな事はなかったと思いますよ。私なりににやけてましたから。時期的に誰かに言うのは躊躇いましたけどね」
「人に言えない時期って…まさか…」
「去年の12月からだもの。彼と付き合い始めたの。言えないでしょう?」
「確かに」
「だから、皆…違った。静香は知ってものね」
「うん」
「でも…別れても…まだ好き?」
「あの気持ちの入れ方は…ね」
先生達は、今の私の気持ちを聞いてきた。私のホントのココロ…。
「うん。まだ好き。そこまで割り切れるほど。私はドライじゃないよ。進学先も、同じ学校じゃないし、方向も違うから会う事もなくなるから。そのうち…忘れると思う。今はそう思う」
「佐倉は追いかけないの?」
「彼は決めたら曲げない人だから、会っても目を合わせてくれなかった。私達は終わったの。今は…そうするしか方法がないの」
先生に言いながら、言い聞かせる。私だけじゃどうにもならない。
「そっか。後悔は?」
「私は…後悔してない。彼に敢えて良かった。好きになれて良かった」
「本当に…校内じゃないの?」
「私、今まで好きになった人は…皆同じ学校じゃないもの」
そう言ってから私は下を出す。そんなに簡単に割り出されたら、私の方も困る。
「初恋の人も?」
「うん。そこって…そんなに大切なこと?気持ちが合わさっていたら、どんなに離れても平気だよね?」
「佐倉…ごめん。なんか、かわいくない」
「ごめんなさい。皆ってべったりと一緒じゃないとダメなの?少し離れた距離があるから互いに思いやれるし、客観的にも慣れると思うんだけど。それに学校の皆はくだらない事ばかり気にして子供見たく見えてた」
「あのねぇ」
「あんたも子供なの。佐倉」
先生は、そんな私を見て呆れているみたいだ。
「まあまあ。気にしないの。私は…多分大丈夫。もう、前に向かって歩けるから」
だって、私は一人じゃないって…皆が教えてくれたから。
私が答えると先生達は目を丸くした。
「さくら、相変わらず強いわね」
「今回のこの恋は私にとってのパンドラの箱だったの。全ての失ったと思ったら、友達が残ったから。今は側にいてくれる友達は大事にしたいの」
「そっか。辛かったら、相談位はのるわよ」
「そうそう。佐倉はすぐに溜めこむからね。さっ、続きを始めましょう。後はパンツスーツとハイヒール。もうちょっとしたら、スーツが似合う女性になるわ」
言われた通りに着替えるが、ウエストがゆるくて…少し困る。
「先生…ウエストが…ゆるい」
「佐倉…あんた9合じゃないの?」
「私…7号ですよ。それも最近ゆるくって…。子供服の方が楽なんだよね」
「佐倉…ちょっとその体系。。。どうやって維持しているの?」
先生達は、私のウエストを見てから大きな溜め息をついた。
「ストレッチと少しの運動と少しだけの栄養知識?」
「栄養知識?」
先生達はきょとんとしている。
「まず、たんぱく質を鶏肉と豆腐にして、揚げ物を控えるでしょ?野菜を多く取るの」
「それって、私達が本来やるべきなんじゃないの?」
「どうなんだろう?食べたいのなら、運動を増やすしかないでしょう?私は本来運動が苦手だから低脂肪を取るようにしているの。給食はバランス良いはずだから」
「そうか。そうだよね」
「生徒に言われてる私達って…」
「先生…先に進みましょう?」
私は何とかウエストの調整を済ませて、次の作業を促した。
「後は…口紅を塗るだけね。大人しくしててね」
そう言って、先生はリップパレットの口紅を取って私に彩りをつける。
「はい、おしまい。次の着替えは舞台横でするからね?分かった?」
「ドレスでしょう?みられない?」
「大丈夫よ。立ち入り禁止にしてあるから。安心しなさい」
「そうよ。深く考えない。楽しみなさい。個人的に歌っている佐倉は好きよ」
「先生にほめられると嬉しい」
「でも…いつもは腹黒だものね」
「失礼な…。あっ、皆の声がする」
廊下から皆の声が聞こえる。-遅いよな--いいじゃない-
私はゆっくりと相談室のドアを開けた。
「お待たせ…」
「何!!それ!!」
「ちょっ、触らせて!!」
「あははは…」
「義人。笑うなよ。悪いな」
四人に囲まれ、雅子ちゃんと静香に折角作り上げた胸をつつかれる。
「…すげぇ…」
「どれだけ入れたのよ?」
「あんたたち、5年後見てなさいよ!!」
私はむなしく叫んだ。