I will graduate something? 何を卒業するんだろう?22
「疲れたあ」
「ちゃんと後ろでも聞こえたよ。凄い声量だね。このちっちゃな体にはどれだけのパワーがあるのさ?」
「アヴェ・マリアの時が見ものだな。ちょっと楽しみ」
「お疲れ様」
歌い終わって私達は、体育館の出口に近い所にいた。
創君が、何か聞きたそうにしている」
「創君…何?」
「トレーニングって大変か?」
「そんなでも…ないと思う。私は体力がとにかくないから、今は有酸素運動をしている位だよ」
「本当に?腹筋…絶対に割れてるんだろ?」
創君は疑いの眼差しを私に向ける。
確かに、泳いでいた時は腹筋は割れていたけど、入院して手術をしてからは腹筋は特にしていない。
「ふぅん、だったら…プール辞めてから、お前太ったか?」
「私?むしろ少し痩せたかな。協議していた時は食べたくなくても、食べないと体力を維持できないからその為に無理に食べていたけど、今は食べたい量だけでいいんだもの。もしかして…皆…」
私達のグループは、私一人が中2のシーズン終了で部活を辞めた以外、引退まで部活をしていた。
義人君と静香はバレー部で、雅子はソフト部で創君は野球部だ。
「わたし、もう高校ではソフトボールやらないんけど?体重を増やさない方法ってないの?」
「そうだね。ジョギングでもいいし、ストレッチもいいんじゃない?食事制限はしないで、食べる前にお茶を飲んだり、よく噛むことを意識してみたら?時間をかけて食事をするのもいいんだよ」
「じゃあ、サラダを食べたらいいの?」
「食物繊維は必要だけども、それよりも和食の野菜の煮物の方がしっかり野菜を食べるからそっちの方がいいよ。それか野菜炒めでもいいと思うよ」
「女子だけってずるくないか?」
「うーん、お肉食べるんだったら、ご飯を減らしても野菜を食べないとね」
「それはまた…俺らには難しい話じゃないか」
「そうだよ」
二人は今ひとつ納得していない」
「ねぇ、親を巻き込めば?自分でご飯を作る訳じゃないでしょう?私じゃないんだから」
「そうか。すっかり忘れてた」
「成程・・・な」
二人は感心していた。っていうか、親の存在を忘れちゃったら、叔母さん達が可哀そうだよ。
「それとね、ハンバーガーは食べてもいいけど、フィッシュバーガーやフライドポテトはあまり食べない方がいいよ」
「それは何となく分かる」
「その程度でもずっと続けるの。すぐに結果を求めないで夏休み位に結果が出ればいい位に考えるの。そこが一番重要なんだと思うんだ」
私はそう言うと、オードbるを取りに行く。
今日の謝恩会は立食形式になっている。
私は野菜サンドとハムチーズサンドを手にした。
まだ歌うのだから、今はこれで十分だ。
「何?その量。少なくない?」
「今はね。まだ歌うから、この位でいい。あんまり、油ものは好きじゃないんだ。だからローストチキンを少し食べたいかなって位。デザートのケーキなら、私はこっちがいい」
私はポケットからのど飴を出す。
おやつは基本的に食べないけれども、飴は好きだ。
4人はそんな私を呆気に取られて見ている。
「千里の道も…何とかか」
義人君がシミジミという。
「その通り。体重よりも見た目のバランスが大切なんだと思うけどね」
私が答えると、皆が一斉に私の胸元を見る。
「それは…」
「思い通りにはならないってか」
男子二人が顔を見合わせてため息をついた。
それって…ちょっとあんまりじゃない?年頃の女の子なんだけども…私。
「見てなさいよ。成人式には、そこそこな体型になってやるんだから!!」
「成人式?」
「ずいぶんと待たせるなぁ?ちい?」
「うるさい!!そんなに早く結果が出る訳がないでしょ」
私は二人と殴ろうとしたが、逃げられてしまった。
「それにしても、こんなにちっちゃい体であんな歌声が出るなんて…」
「さっきの歌の事?それと…ちびっこって言うな」
ちびっこと言われるのが嫌で私はむくれる。
「ほら、拗ねないの」
「ちっちゃいといい事もあるんだから」
「皆…私より大きいのに…。フォローにもなってないって」
「まあまあ…。あっ、何?お前の背中…」
私の背中を撫でてなだめていた義人君が気付いたようだ。
「すっげぇ…筋肉。現役並みには泳いでないよな?」
「そうだね。今は月に一度程度。フォームが崩れない程度だね。歌うのにも基礎体力がないと歌えないから筋力をつけているんだ」
「ちょっと…俺もいいか…。…負けたかも…」
静香はそんな男子二人を見て、クスクス笑っている。
ちょこっとダイエットの話とかシェイプアップ談義をしています。
当人たちは中学生なので健康的に効果が出る方法を実践させることにしてます。
(理論は分かってても、実践は難しい…)




