I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 18
間延びしてすみません。これからコツコツやります
その後、何事もなく卒業式は終わった。
感極まって涙が出るかと思ったけれども、私に涙はなかった。
…多分、一か月前に相当使ったみたいだ。
あれから、ひで君からは電話があった。
ひで君は最終的に公立のS高に通う事になった。
公立のS高は、私の家から一番近くて水泳部が無い。
ひで君の進路はK学園に行かないときはクラブに専念だった…はず。
私はひで君の様に明確な進路がない。
なるべく早く自立したい。それだけしか考えていない。
私自身が揺らいでいるのが、全ての悪循環のせいかもしれない…そんな事を想っていた。
ただ、それがいまではない事だけは分かっていた。
私は…どうしたいんだろう?
式が終わった後の教室はいつも以上にそうぞうしい。
これからの事もあるし、謝恩会もある。
先生が一応前で話をしているんだけど…聞こえない。
-何かあったら、一人で解決しようとしないように-
…って、先生は行っていたけど、その通りだと今の私は思う。
けれども…あの日から私は前に進む気になっていなかった。
何の希望もなくて、どうかしたいという願望もない。
会えて言える事は…地味にひっそりと暮らしたい…それしかない。
そっとしておいてほしい…ただ…それだけ。
S高に合格してから始めたヴォイストレーニングは、私なりに楽しい。
歌う事は好き…けれども、感情をこめて歌う事ができない。
自分自身が立ち止っているせいだろう。
あれだけたくさん泣いたのに、まだ…終わることが出来ない。
いつになれば思い出にかわるんだろう?
歌詞の通りになら歌う事は出来る。
でも、人の記憶に残るような歌は…今の私には歌えない。
私自身が歌えないと思っているせいなのか?
その答えを私は見つけることが出来ていなかった。
「静香、もう一度練習したいんだけども」
「ちい、焦ってない?私は付き合うのは構わないけれども…」
静香が言葉を濁すのは分かる。静香が何を言いたいのかも。
「何かね…さっき掴めたの。私自身へのヒントが」
静香は目を丸くして私を見ていたけど、にっこりと笑いかける。
「いいよ。泣いたっていいじゃない。結果はともかく、皆が思っているよりも大人な地位を見せつけたらどうかな?ねぇ…アドリブでアカペラにする?音程は取れているんだから、声だけで勝負しようよ」
「いいのかな?そんな事をして…」
静香の大胆な提案に私はつい躊躇ってしまう。
「先生にチェックしてもらってから決めようよ。それならちいもいいでしょ?」
「うーん、そうなんだけども。私が苦手な音が今回は譜面にないからそんな強気な事が言えるんだよね。ラッキーと言えばラッキーなんだろうね」
「ちいは、本当は…両方とも歌えるよね?なのに…どうしてシューベルトにしたの?」
静香が疑問に思っていたであろう疑問を口にした。
「そこの所はね…あんまり意味がないんだよ。こっちの方が知ってるよね?程度なんだよ」
「そうなんだ。だったら、先生が来る前なら両方できる?」
「いいよ。両方とも歌えるから。先生の話が終わったら、すぐに練習しようよ」
私と静香は、担任の話を無視して話していた。
謝恩会編に向かいます。




