I wull graduate something? 何を卒業するんだろう? 16
「なぁ、理絵が言っていた話ってどう思う?」
「どうなんだかなぁ?言える事は文系の佐倉が嫌いだってことだよな」
「あぁ、それは確かに」
「レディアイスだろ?なんだろうな。でも…あいつって笑わねぇから、そこんところ怖えよな」
「それは言えてるな。でもよ、今日聞いた話ってどうなんだろうな」
「さあ?どうせガセじゃねぇの?」
「…かな?学校にいるのが表の顔で裏の顔があるのならあり得そうじゃね?」
また…何かを仕掛ける気なんだ。私はそれを聞いてうんざりしていた。
「誰でも誘えばついていくって話だし…」
「本当だったら、一度お願いしてみるか…あはは」
私はその話を聞いて唇ときつく噛みしめた。
どんなビッチきゃあ裸になっているんだろう?
あの声はえぇっと…確かテニス部だ。
テニス部に潜入するコネは…なくはない。
一応調べておくに限るか。また…あいつか。
最近更に仕掛けてくる事が悪質なものになってきている。
今になると、中学の頃にされた事がとても幼稚に見えてくる。
ふと、とも君を見たら、とも君の顔が青く見えた。
彼には知られたくなかったのに…な…。
「ちい…今の酷過ぎるじゃないか」
「ん?何が?私がビッチだって言われた事?それともあいつが仕掛けてる事全て?」
私は努めて冷静に彼に聞く。
「何も…何もしないのか?」
「言った・言わない程度じゃ完全な証拠とは言えない。でも、私は…男の人とそう言った経験はないから広まると困るなぁ」
私がそう答えると、彼は呆れた顔で私を見ていた。
「気にする所ってソコ?それはそれで問題だけどね。でも、彼氏とキスした事あるじゃん」
「あぁ…とも君も知っているでしょうが。今の私にはそういった潤いは全くないのに…。キスの事は否定はしないけど…いつ見たのよ?過去の話はどうでもいいか」
「えっと…その…あの…」
私自身は過去の事を公開していないからいいけど、こうやって忘れた頃に蒸し返されたり、話を振られると本当は…困ってしまう。
自分で聞いておいて、そのリアクションは反則でしょう…ねぇ。
「ようやく、ちゃんを着けないで呼ぶようになったのね」
「…あっ、ごめん、ちいちゃん」
彼は慌てて、私をいつものように呼び始めた。
ずっとそのように呼んでいるのは分かるけれども、そろそろちゃんを付けて欲しくない自分がいる。
「もう…ちいちゃんは嫌だな」
「なんで?」
「私がお子様みたいなんだもの。それに、私達の差は1年ないのよ。ねぇ、人前が嫌ならせめて二人でいるときは…ダメ?」
彼が高校に入ってから、何度か彼にお願いはしているのだが、呼び方を彼は直してくれない。
「ちい?」
恐る恐る彼が私を呼ぶ。
「何?ねぇ、とも君そろそろ帰ろう。それから、今日の事はなお君には絶対に言わないで」
「なぜ?言えばすぐにこんな噂は…」
「ダメ。いつまでもなお君に頼れない。なお君が卒業したら、私が困るの。この事は私が自分でしょうにかする」
私は彼の目を見据えて伝える。
いつまでも彼の兄に頼るわけにはいかない。
そろそろ私も自立しないといけないのだ。