I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 14
卒業式に居眠りをした夢オチがあります。
淡々と進んでいく式典。それに比例して温かくなる体育館。
外は、ピクニックをしたくなる位に温かい。
創しても眠くて仕方がない。こういう時は寝るに限る。
私は隣に座っている同級生に『おやすみ』と告げてから寝ることにした。
そ手も気持ちがいいから、いい夢が見れそう。
ここの所夢を見ていないし…。
私は目を閉じて、意識が遠のくのを感じるのだった。
私は暗い所で一人うずくまって泣いていた。
「なんで、私ばかり…何もしていないのに…」
唇ときつくかみしめて、必死で涙を堪える。
今回、広められた噂は私にとっては全く当てはまらない。
それよりも、佐多氏の性格じゃそんな事しないし、そう言う事を出来る人が正直羨ましい。
男に媚びてレポートは他力本願だぁ?
私が提出前に移した人の方がはるかに多いのにな…。
かと言って、それを言ってしまうと困る人がまだ出てしまう。
その人たちを巻き込むわけにはいかない。
今の自分ではどうにもならない。一人じゃ解決策が見つからない。
「こんな繰り返し…もうやだ」
そう呟いた途端、涙が廊下にぽたりと落ちた。自分自身もう限界かもしれない。
本当は泣いても何も解決しない事も分かっている。
全てに対して嫌悪を抱いていたのかもしれない。
「元を辿れば、今回もあいつだというのはほぼあいつだと分かっているのに…」
今回の事も誰が仕掛けたのかはだいたい分かってはいる。
皆が忘れた事rにこういう事をするから、一度でも巻き込まれたら、二度とあいつを信じなくなるだろう。
あいつがずる賢く自分の周囲にひろめるのではなく、~らしいって聞いたこととして、責任の所在を上手くぼかして人を罠に仕掛けようとする。
今回の罠は、仕掛けた時には失敗していたんだけど、あまりにも悪質すぎる。
真相を暴いてしまいたい気分だが、その事によって不利益を被る人がいる事が分かっているから泣き寝入りするのが一番大人の対応になると思うと悔しくてたまらない。
少し泣いた分、スッキリした気がする。
いつまでもこんな洞穴の様な所でぐずっていても仕方がない。
「ちい…ここにいたんだ」
寮方を背後から掴まれる。
私の事をちいと呼ぶのは、3年生が自由登校になった今になると校内ではほとんどいない。
しかも、この低くて、私が落ち着く声なのは一人しかいない。
私は振り返って肩に置かれた手をほどいた。
「広瀬?どうしてここ?」
私が辛い時にこの校内の洞穴といえる、物理室前にいるのは部活の仲間にだって、生徒会仲間にだって話した事は一度もない。
しかも、広瀬は息が切れている。相当走ったみたいだ。
「生徒会がらみで何かあった?」
「そんな事はないわ。なぜ?」
「部活で練習中、凄い顔で体育館前を走りぬけたから気になって…校内中探したんだ」
そんな事をしたら、どんな噂が飛び交うか…分かってないようだね、この人は。
「ダメだよ。部活に戻って。変な噂を流されるから」
私は慌てて彼に週に戻るように促す。
「俺は噂なんて気にしないよ。それよりも、ちい…時計を見てみなよ」
私は自分の腕時計を見る。時間は午後7時。
部活も終わっているし、もうすぐ最終下校時間だ。
「だったら、なおさら…帰らないと」
泣いた後の顔を彼に見られたくないから私は足早に逃げようと試みたが、彼に引き寄せらてしまう。
「泣いてたの?濡れてる」
目尻に残っている涙を指で拭う。
「ともくん…何も聞かないで…」
「そんなに泣き腫らして。目なんてウサギみたい。何もないなんて訳がないだろ?章代先輩とけんかした?」
「アキとはけんかしていないよ。それにアキは健とすぐに帰ったもの」
「…ったく。ちい、ちゃんと本当の事を言えよ。いずれは分かるんだぜ」
彼の強い目の力に私は射抜かれて動けなくなる。
言葉にしたいとは思う。けれども、どこまで彼に話していいのか…その線引きが分からない。
「ごめん。俺も今日…聞いたんだ。レポートの噂」
「どこからその話を仕入れたの?どうして…」
「章代先輩達も…知ってるだろう?何も対処しないのかよ?なんでだよ?」
ともくんは…多分噂を真相を掴んでいるような言い方をする。
「その話ね、文系クラスには一切流れていないの、理系の5組にも流れていないの。他のクラスは…私にコントロールするルートがないから…私にはどうにもならない」
私はそう言うとため息をついた。
今回は私に接点がないルートからなので、誰が仕掛けたかまで分かるのに、時間がかかった。
全てが分かったのが彼が私を見かけた時だったのだから。
「ちいが今回利用したのは…空手部ルートですか?須田先生に入ってもらって…違いますか?」
私は言葉が出ない。とも君が言った通りだからだ。
普段使わないルートだった故にその分手間がかかってしまった。
居眠りは良くないんだけどね…温かいと誘惑に負けるよね。
夢オチは次回も続きます