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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
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I willgraduate something? 何を卒業するんだろう10

「あの時のセリフはちいにしか言えないわ」

「本当の事でしょう?私…進んでそういう話はしたくなかったよ。まぁ、誰とかはともかく、私がキスしたことがあることを知っている人はいたと思う」

「誰とってなると限られた人になるけど。ちいに彼氏がいてって話もしていないし、しかも二人の男子と付き合っていた事は、私達は言っていないもの」

「うん。それを言われると、私が軽い子に見られかねないよ」

「そう。だから私達も言わなかった。むしろ、ひで君は重いものね」

「うん。そうだね。何も知らないって怖いって事は学んだわ」

私はそう言って、カップに入れたコーヒーを飲んだ。

「ねぇ、ちい。やっぱり恋は秘め事じゃないとだめ?」

そう、私は校内でバラされた時に、恋は秘め事だから、公表しなかっただけで、好きな人がいないとは一言も言っていないと反論したのだ。

もちろん、人の事を勝手に言う人が悪い事も。



「少なくても…理絵がいる限り、後3年は私の恋心があったとしたら知られたくない。もしも、好きな人が出来ても告白しない。気を引き締めないといけないと思ってる」

「ゆう君とはもう無理なの?」

静香が私に聞いてきた。ゆう君とはもう最後の授業から会っていないから、もうすぐで3週間位経つ。

その間、ゆう君からは連絡はないんだけど、私はゆう君がN高に合格したことは知っていた。

「うん、授業ではもう話す事も目を合わせる事もないままだったし。別れた今は連絡する事もないでしょう?そこまで縋るのも…なんか違う気がしたし。付き合っていること炉よりもヒートダウンしたのかもしれない」

「ちいがそこまで言うってことは、告白されて一気に燃え上がったって事になると思ってるの?」

「そうかもしれないな…ってね。一時的な熱病みたいなね。まだ、ゆう君の事は好きだけども、あの頃程じゃないんだよ。このまま時間がたてば忘れられるかもしれない。私はそう思ってる」

私は静香にそうやって答えた。

時間をかけてゆっくりと忘れられたらいいと思っていた。



「ねぇ。それとは別件だけど、広瀬と何かやり取りしている?」

急に静香は思い出したように言い出した。

「あれはね、広瀬先輩絡みなんだけどね。私、先輩の後輩になるから、ノートやテストの過去問を貰えるように頼んでたんだ。そのせいかな?」

「そうなんだ」

「何?それも変なことになっている訳?」

「そんな事はないよ。元々、ちいが広瀬兄弟と仲がいい事は知られているから問題はないのよ。年中行事として今年もバレンタインも上げたでしょう?」

「うん。もう4~5年になるかな。家に回収しに来るから。それが問題?」

「完全じゃないんだけども。弟君、チョコを拒否した子がいるんだって」

静香が苦笑交じりに話す。その拒否した理由がなぜなのか…私は知っている。



「その子って、チョコを渡す前に何かしたか聞いてる?」

「何でも告白したらしいよ」

「それだよ。広瀬って、なぜか本命チョコは受け取らないの。バレンタインにどうしても渡したいなら義理チョコにしないと」

「そうなんだ。ってことは、ちいのチョコも義理チョコなんだ?」

「私の場合は…義理よりも義務?さっきも言ったじゃない。毎年当日に家に回収に来るんだから。私の場合は、先輩の方が弟よりも2年位付き合いが長いんだよ。弟の方が兄貴だけズルイってなってから…現在にいたるって訳。お分かり?」

「なるほど。私の隣の家みたいなものか。それはそれで面倒だよね」

静香も私と同様に義務チョコを毎年隣の家の同級生の従兄弟に出している。

「本当にね。でも、先輩は彼女が出来たから、今年から上げてないんだ」

「へぇ?先輩にねぇ。どんな彼女?あったことあるんだ?」

「私は偶々ね。S高の生徒会長さんだよ。でもね、すごく優しくていい人だよ」

「ちいがそうやって人を褒めるってことは本当にいい人なんだろうね」

静香は私が先輩の彼女を褒めたことを意外そうに言う。

でも、私達、新一年生が学校に行くたびに先生の側でテキパキとお手伝いをしている所を見ていると凄い人だなぁと素直に尊敬する。



「とにかくね、誰かがチョコの事を聞いたら、ちゃんと言うんだよ?」

「うん、分かった。だけど私の事は結構知っていると思うんだけどな。本人にも言っておこうか?」

「そうだね。一度言った方がいいかもしれないね。ところで、別れた彼の事を兄弟は知ってるの?」

「別れる前に二人でいる所を見られたらしい。別れた事はどうかな?それも言った方がいい?」

「私は言うのが辛いと思うけど、言った方がいいと思うな。互いの為にね」

こういう時の静香の判断は正しいことを私は十分なほど知っている。

「別れた事は言った方がいいかもね、詳しくは言わなくていいから」

「言うのは面倒だけど、仕方ないか」

「それでいいよ。それよりも…ちい…痩せたよね」

「そうかな?ちびだからバランスが良くなったでしょう?」

「健康的じゃないよ。げっそりとやつれているように見えるもの」

やつれている…か。確かにそうかもしれない。



「あの日以来、何か食べられなくって」

「申し訳ないけど、胸なんてないじゃない。まさか…ブラジャー」

「してます!!ワイヤーが辛いけど。スポーツブラの方が楽だね」

一応、マナーとしてはしているけど…本音としては今の私には必要ないと思っていたりする。

「胸から痩せるのって良くないんだよ」

「静香。誰も私の胸なんて見たくないって」

私は自虐気味に静香に返す。

「時間がたてば、戻るのかな?ウエストもかなり細くなったんだじゃない?」

「そうなのよ。作った制服のスカートが凄くゆるいの…。どうしよう」

「セーラー服だっけ?」

「うん、でも2年生になったらブレーザーに変更するんだって。私達は半額で一式買えるらしいけど」

「ちいはどうするの?」

「多分…買うと思う。私が寒がりなの知っているでしょう?」

「確かにちいは寒がりだね。それにセーラー服って冬はキツイよね」

「でしょう?やっぱり、寒さは敵だよ」

お金がかかるのは辛いけれども、寒いのだけはやっぱり耐えられない。

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