I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 7
「ちいは何が目的なの?」
「私?そうねぇ。今後、私には一切係わらないで。理絵は単なる同級生。それ以上もそれ以下もないから。それを高校卒業するまでは実行してもらう。それが出来るのなら、私個人は一切手を引く。皆とはちゃんと話しあいなさいよね。だからと言って理絵の事は許していないから。絶対に許さないから。覚えておきなさい」
「分かった。その条件を飲む」
理絵は私が出した条件を飲むと言った。後は、やったことを認めさせることだけだ。
「飲むってことは、私に対してやったことは認めたって事でいいのよね?」
「そうよ。私がやったのよ。それが何よ?」
「そうすることで、理絵にメリットがあるんだろうけど、何でしたの?理由は何?」
「ちいの癖に目障りなんだよ」
私の問いに理絵は乱暴に返した。でもその答えは本来の答えではない。本当の答えは他にあることだけは確実に分かっていた。ただ、理絵の答え方からするとその答えは聞けないだろう。今、追及してもその答えを私が得ることは不可能だろうから、今はこれ以上追及することを止めることにした。いずれは真実は分かるだろうとそんな程度に考えていた。
「その言葉は今後の免罪符にはならないからね。皆聞いたよね」
私はその場にいる皆に確認した。
「ちいは、それでいいの?」
「過ぎた時間はもう戻ってこないから、私個人は…もうこれでいい」
「彼とはどうするの?」
「あの日の彼の態度が彼の答えなんだよ。彼も頑固だから答えを曲げることはないと思う。どんなに辛くても受け入れるしかない。恋は甘くて切なくて、キラキラしているだけじゃないもの。彼といられたことについては後悔していない。期間の長い・短いでもない。二人でいられた時間の濃さだけは自信がある。あの時は、互いに思い合ってた。それだけ」
本当は辛いんだよ。泣きたいんだよ。でも…涙が出ないの。枯れるまで泣いたからかな?
ゆう君といた時間が、ついこの間の事のはずなのに、ずいぶんと前に感じる。
皆の前では強がっているけれども、一人でいるとつい…ゆう君といた時間を思い出す自分がいた。
「後は、皆で話し合ったら?私との事は皆が証人だし、皆の事には私が証人になるよ。これから話し合ったことをレポート用紙にまとめて、皆+先生で持っていたらいいよね?」
私は皆に提案する。皆での話し合いの結果を共有する。
そのことによって理絵による個人攻撃はきっとなくなる。
「俺もそれに乗った。ヤスは?」
「あぁ、それでいいよな?」
創君が賛成して、安井も同意する。皆も頷いている。
「ただ、ちいに対してのことはホームルームの議題にするよ。クラス全員が同罪だから。でも…静香は違ったみたいだね」
クラス委員でもある智子ちゃんは、私と静香の関係に気付いたようだ。
「人には多少なりとも表と裏の顔があってもいいと思うの。でもそれは、人間関係をよりよくするためよ。ただね、私はクラスの皆の事は何とも思ってない。中学を出てからどう付き合うかは、私が決めることだから」
「ちい、俺らを切るつもりだったのか?」
「今は一部の人は切ることだけは決めてるよ。その位当然でしょ?いつまでも友達ごっこができると思っていたんだ。だとしたら、よっぽどおめでたいわ」
「気持ちは分かるけどさ」
「お前、言ってる事がさり気なく怖いから」
「そう?皆もそれだけの事をしたんだって、自覚を持ってもらいたいわね。さあ、残りの話し合いを始めようか?あんまり遅くまで学校に残っていられないでしょう?」
私達は次の話題で理絵を更に追い詰めたのだった。
通常よりも少し短めですみません。一応、理絵との事はコレで解決の方向に向かいます。




