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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
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I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 6

話が全く進まなくて、皆が困っている中、扉が開いて理沙が入ってきた。

「ちい…ごめん。私、ちいに謝りたいの」

「理沙。何を謝るの?理沙は何もしていないでしょ?」

「違う。私が美紀に言ったの。ちいが美紀と彼が別れるように仕向けたって聞いていたから。だから美紀に話したの。美紀にそのことを話す前にちいに確認すれば良かった。それがきっかけで二人が別れたのだったら私どうしたらいいのか…」

そう言うと理沙は泣きだした。

扉の向こうには雅子ちゃんと昨日高専の受験が終わった義人君の姿。

二人のサポートがあったことに、私は今気がついた。



「理沙。彼と別れたのは、そんな理由じゃないよ。それにね、二人が別れてからすぐに私達は付き合っていた訳じゃないから。私が相当長い間彼の事を好きだったのは、美紀ちゃんは知らなかったらしいけど、あの塾に通っていたら知っていたんじゃない?ねぇ理絵?」

私は理絵を見た。理絵と違うのは、睨むのではなく、まっすぐ見ていた。

ただ、それだけ。

「ちい、今サラリと理沙が言った事は?」

「あぁ、そんな事があったって事でいいかな?本音言うと、深く追求されたくない話題って事で」

静香と創君は引きつって笑っている。

私だってまさか今バラされるとは思っていなかった。

「そうそう。人の恋より、今は進路だし。それよりもまずはこの問題を解決させるのが先。理沙、変な話を聞くけどいいか?」

「うん」

創君が理沙に切り出した。もしかすると、私が知りたいことが見つかるかもしれない。



「理沙は、ちいの男の話を誰に聞いたんだ?」

「私は理絵から聞いた」

「分かった。ありがとうね。理沙は悪くないから。気にしないでね。大丈夫だよ」

「本当に?」

「うん。そんな事で別れたんだったら、多分その程度だったんだと思うからね」

「ちい…そう思いたいんでしょう?」

「静香。そうなんだけど、それよりも理絵、何が目的なの?」

「何が?」

「私に対して悪意のある噂を流してくれてるよね?」

「私は言ってない」

理絵は若干顔が硬直しているような気がする。でもまだ認めないようだ。

「じゃあ理沙が言ってくれたことは何?私にお金があるからって変に安井に吹き込んだのは?」

「それは安井の勘違いじゃないの。何でも私のせいにして欲しくないけど」

理絵の顔色が少しだけ悪くなったような気がする。まだ認めないんだ。



「私より、学費にお金がかけられる安井はどうな訳?」

「ちい、その言い方ないよ」

「だって、事実でしょ?私の倍のお金を入学諸経費で使う人が何を言うのよ」

私はワザと明るく安井に話を振ってみた。

「本当に、許してくれよ」

「い・や・だ。許さないもん」

本気で困っている安井に対して私はわざと軽く言って答えた。

「ちい、目が笑っていない。それ怖いからやめろ。ヤスは誰から聞いたんだよ?」

「俺も理絵からだ。本当に悪かったな」

安井は理絵の顔を見て言う。その表情は怒りしか見えない。



私は一つだけ確信した。全ての騒動を起こしたのは理絵。

でもその目的が全く見えて来ない。

だけど、私はそんな理絵と高校3年間同じ学校に通わないとならない。

これからの事も考えていかないといけない。



「何が目的なの?理絵。はっきりと言いなさい」

私は今までにない位、きっぱりと言い切った。

えっ?」

「目的がなければそこまではしない。しかも、私は言ってもいないのに、公立は大したことないとまで言ったことにしてくれたよね。そこは一体どういう説明をするつもり?」

「そっ、それは」

理絵は言葉に詰まっている。

「自分の想い通りに物事を動かしたい気持ちは分かる。でも、やり方がある。正直に言って、理絵のやり方はやってはならない方法だよね。その位は分かっているでしょう?」

「そうだね。本来、触れてはならない領域に土足で踏み込んでいるんだから」

智子ちゃんが私が言ったことに同意する。

「で、そこまでする目的は何?私達にはどこにも接点はないでしょう?友達でもないし」

「ちい、ちょっと言い過ぎ」

理絵に対してキツイ言い方をする私を創君が窘める。気持ちは分かるけど今は察して欲しい。

「そうだね。でも、本当のことだよね。私は理絵が理沙と安井の背後にいることは分かってた。ただ、目的ははっきりしていなかったから。このまま、友達ごっこをするつもりは私には一切ないから。馬鹿じゃないんだから言っている意味は分かるよね?あれだけクラスをかき回した気分はどう?楽しかった?それとも、気がつかれたことでプライドがボロボロ?そんなつまらないプライドなら捨ててしまえ」

私は理絵の目を見据えて言い捨てた。

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