I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 4
「そうなんだ。木下君が来るってことは余程アピールしたってことか」
「そうだね。あの時、静香は理沙とどこかに行っていたから結果しか知らない。
あいつってば、国語と社会は余裕だったって大きな事を行ったの。ねぇ、ちい
今年の問題ってそんなに易しかったの?」
理絵が言ったことって、元はと言えば面接時間待ちの間に、私と和重君と
博子ちゃんで話したことをまんま言っていただけ。
人が言ったことを自分が言ったことにするなんて…アホすぎる。
「それはね、私達が言ったことを理絵が自分が言った様に言っただけよ。
今回は自滅するから放っておくよ」
智子ちゃんと静香は呆れているみたいだ。
「今回の件で気付いたんだけどね、理絵って自分の発言が無いよね」
「私もそう思った。ねぇ、ちい。そこのところを突っ込めば、理絵が自滅するかな?」
二人は理絵に対しての対策を考え始めているみたいだ。
何かないかな…私は考える。そしてあるアイデアが浮かんだ。
上手くいけば理絵が恥をかくかもしれないが、荒療治としてはいいと思う。
S高の社会の問題で私が間違えた問題は、あの時点では理絵はさっぱり理解していなかったはず。
復習していなければまだ理解していないはず。そこから更に突っ込んだ質問をすれば…
「二人で協力してもらえるなら、アイデア出せるけど。いい?」
私は思いついたアイデアを二人に伝えたのだった。
6時間目の社会の時間は自習の時間になった。グループ課題で解いていいという事で、
私は静香と一緒にやることにしていた。
「ちい、ここ教えてくれないか?」
創君が私の所にプリントを持ってきた。私はプリントの問題に目をとめた。
そこには、智子と静香の計画にのっかる。智子が聞いてきたら、理絵に聞けと
ふるんだぞと書いてあった。
「全くもう。ねぇ、楽しんでない?その前にしっかりあの分野マスターしてるの?」
「昼休みに二人で図書室で勉強したみたいだぜ。二人の役者に任せてみようぜ」
そう言うと、私の前の席から椅子を出す。勝手にしていいのかな?
「大丈夫。持ち主には話をつけてある。心配すんな」
創君は、私のおでこを軽くつついた。
「それならいいや。で、本人は?」
「屋上で昼寝するってさ」
進路が決まった人は、それなりに課題をやっている。見た限りだと、きちんと課題を
こなしているのは公立高校を控えている子達だ。後10日で本番だものね。
智子ちゃんや創君は今が一番体制綱のに。
「創君はいいの?こんなことをしてて」
「別に。こんなに五月蠅くて集中できるかよ。家でやってるしな。で、頼みなんだが
分からない所があったら電話で聞いてもいいか?」
「問題と答えが分かれば解説できると思う。同じ問題で揃えようか」
「悪いな。お前だって実力テストあるんだろう?」
「あれは3月の末だから。その前に静香の提出課題もお付き合いもあるから平気だよ」
私は創君に微笑んだ。そんなこと大したことではないと私は思ってる。
「あのさ、理絵がしていることがそろそろ限界でな。俺達の事を下に見る態度がな」
私は言葉を失くした。今度はN高受験組にシフトしていたようだ。
これだけ人を不愉快にさせて何が楽しいんだろう?やっぱり私には理解できない。
「皆に対して言ってるの?」
私は聞くだけ無駄かもしれない事を創君に聞く。
「ま…な。私立の方がレベル高いのに、なんでそうしないのかなってな」
「自分のことを言ってるだけなのに。馬鹿な女。クラス分裂しても…いいのね?」
「俺も智子もそのつもり。それとな、B高組にも言ってんだよ。あんなにお金が高い
学校でなくっても…て」
創君は更なる発言をした。なんですって?自分が受けた学校の子まで言ってんの。
「私、理絵には学費この事は」
「大丈夫。それはお母さんが言ってたもんって言っていたから平気」
「そうなんだ。そこの所ももっと派手に自爆して欲しいな。そこもつつけるといいなぁ」
「やれれば、やってみる」
創君は智子ちゃんを見た。計画を実行するつもりらしい。智子ちゃんが私の所に
やって来る。それらしくプリントを持って。
「ごめん、社会で理絵の苦手な所って分かる?」
「S高では国会の辺りは解けていないよ。それも検察審査会は全く理解してなかった。
確か…3年前位のI高の過去問にあるはず。それと憲法何条って聞くのも駄目ね。これでいい?」
「了解。ちい、頼むから教えてよ」
「ダメ。今は創君に数学を教えてるから。そのレベルなら理絵に聞いてみなよ。
創君、智子ちゃんに教えてもいい?」
「勘弁してくれよ。ちい、頼むからさ。もう少しゆっくり教えてくれよ」
「全く…じゃあゆっくりね」
わざとらしいセリフを言いながら私は二人を見る。
私から見える二人は悪戯を企んでいる子供の様だ。全く人が悪い。




